かつて、黄色ブドウ球菌にも、ペニシリンが効いていた時代があります(図8)。しかし、ペニシリンが使用されて間もなく、ペニシリン耐性の黄色ブドウ球菌が出現します。PC1というペニシリナーゼ(ペニシリン分解酵素)を産生する菌の登場です(図9)。初期型のペニシリンであるペニシリンG(PCG)は、次第に黄色ブドウ球菌に効かなくなりました。
黄色ブドウ球菌の進化に対応し、人間もペニシリンを改良します。特殊加工のメチシリンです。
メチシリンは、ペニシリナーゼに溶かされないような工夫がしてあります。日本では、メチシリンが使えないため、第一世代セファロスポリン系薬のセファゾリン(CEZ)を使います(図10)。こうして、黄色ブドウ球菌との攻防が繰り広げられた結果、人間の勝利であるかのように見えました。
ところが・・・