黄色ブドウ球菌菌血症(S. aureus bacteremia, SAB)のバンドル
血液培養から黄色ブドウ球菌やカンジダ属が検出されることは、比較的遭遇する機会が多く、適切な治療により予後が大きく異なることが知られている。そのため、治療マネジメントとして、複数の実施すべき項目を束(bundle)にしたものが診療の支援に用いられている。以下は、SABのバンドルの項目である。
- 血液培養フォロー
S. aureusとCandida albicansの菌血症では、初回治療開始から48~96時間後に血液培養を行う。陰性化を確認することが必要である。陽性が持続する場合は感染性心内膜炎や深部膿瘍などの感染源のコントロールが不十分であることを示唆する。
- 早期の感染源コントロール
感染源としては感染性心内膜炎、カテーテル関連血流感染症、皮膚軟部組織感染症、骨関節感染症(化膿性脊椎炎を含む)、肺炎などが挙げられる。
- 感染性心内膜炎の評価
経胸壁心エコー(transthoracic echocardiography, TTE)、経食道心エコー(transesophageal echocardiography, TEE)を実施する。
- 適切な抗菌薬選択
MSSAかMRSAか分からない場合は、MRSAをカバーする必要がある。また、MSSAに対しては、VCMよりもCEZが優れていることが示されているため、感受性が分かるまでは、VCM+CEZで開始し、感受性が判明次第、単剤に切り替える。
- 適切な治療期間の設定
非複雑性菌血症の場合には10~14日間、感染性心内膜炎、人工物など複雑性の菌血症では4~6週間の治療を行う。
参考文献等