認知症病態学

基本情報

老年医科学大講座 認知症病態学

代表者 富山 貴美研究教授

私たちの研究室は1998年に『脳・神経系分野』として開設され、2000年に『脳神経科学』、2016年に『認知症病態学』へと名称変更して現在に至っています。2015年4月からは現研究教授である富山が責任者となりました。当研究室では、トランスレーショナルリサーチ(基礎と臨床の橋渡し研究)に重点を置き、アルツハイマー病を始めとする変性性認知症および神経変性疾患の発症機序解明と治療薬開発に取り組んでいます。世界的に重大な社会問題となっている認知症の克服に向けて、一日も早く真に有効な予防・診断・治療法を世に出すことが私達の使命であると考えています。

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場所
学舎 18階
連絡先
TEL:06-6645-3921 MAIL:gr-med-neurosci@omu.ac.jp

 

教育方針

学部教育

医学部の「原因と病態1」、「機能系実習」、「医学研究推進コース3(修業実習)」、大学院修士課程の「生体構造機能学」、「臨床病態学」などの授業を担当しています。単なる知識の伝授ではなく、考え方・ものの見方を伝えるようにしていきたいと思います。

 

臨床教育(研修医の育成)

該当せず

研究指導

将来優れた臨床医、医学研究者となることを目指して研究に専念する責任感のある学生を歓迎します。研究生活を通して、人とのコミュニケーション能力と社会人としての礼儀を身につけさせ、英語論文の読解・作成はもとより、英語での学会発表・討論ができるように指導したいと考えています。

研究について

概要

私たちの研究室では、これまで、主にアルツハイマー病をターゲットとして、

  1. 老人斑を作らない遺伝子変異(Osaka変異)の発見とその遺伝様式(劣性遺伝)の機序解明
  2. 新しいタウ抗体の開発、リファンピシンのドラッグ・リポジショニング、天然物由来の新しい抗認知症食品の開発
  3. Aβの生理作用の解明

などの研究を進めてきました。
現在は、これらのプロジェクトに加え、神経変性疾患全般を対象とした新しい機序・視点からの予防薬・治療薬・診断法の開発を進めています。

教室を代表する業績

  1. C9orf72 Hexanucleotide Repeat Expansion-Related Neuropathology Is Attenuated by Nasal Rifampicin in Mice.
    Hatanaka Y, Umeda T, Shigemori K, Takeuchi T, Nagai Y, Tomiyama T. Biomedicines. 2022 May 6;10(5):1080. doi: 10.3390/biomedicines10051080.
  2. Peripheral Aβ acts as a negative modulator of insulin secretion.
    Shigemori K, Nomura S, Umeda T, Takeda S, Tomiyama T. Proc Natl Acad Sci U S A. 2022 Mar 22;119(12):e2117723119. doi: 10.1073/pnas.2117723119. Epub 2022 Mar 15.
  3. Nasal Rifampicin Halts the Progression of Tauopathy by Inhibiting Tau Oligomer Propagation in Alzheimer Brain Extract-Injected Mice.
    Umeda T, Uekado R, Shigemori K, Eguchi H, Tomiyama T. Biomedicines. 2022 Jan 27;10(2):297. doi: 10.3390/biomedicines10020297.
  4. Oligomer-Targeting Prevention of Neurodegenerative Dementia by Intranasal Rifampicin and Resveratrol Combination - A Preclinical Study in Model Mice.
    Umeda T, Sakai A, Shigemori K, Yokota A, Kumagai T, Tomiyama T. Front Neurosci. 2021 Dec 13;15:763476. doi: 10.3389/fnins.2021.763476. eCollection 2021.
  5. Nasal Rifampicin Improves Cognition in a Mouse Model of Dementia with Lewy Bodies by Reducing α-Synuclein Oligomers.
    Umeda T, Hatanaka Y, Sakai A, Tomiyama T. Int J Mol Sci. 2021 Aug 6;22(16):8453. doi: 10.3390/ijms22168453.
  6. APP Osaka Mutation in Familial Alzheimer's Disease-Its Discovery, Phenotypes, and Mechanism of Recessive Inheritance.
    Tomiyama T, Shimada H. Int J Mol Sci. 2020 Feb 19;21(4):1413. doi: 10.3390/ijms21041413.
  7. Intranasal rifampicin for Alzheimer's disease prevention.
    Umeda T, Tanaka A, Sakai A, Yamamoto A, Sakane T, Tomiyama T. Alzheimers Dement (N Y). 2018 Jul 14;4:304-313. doi: 10.1016/j.trci.2018.06.012. eCollection 2018.
  8. Mutation-induced loss of APP function causes GABAergic depletion in recessive familial Alzheimer's disease: analysis of Osaka mutation-knockin mice.
    Umeda T, Kimura T, Yoshida K, Takao K, Fujita Y, Matsuyama S, Sakai A, Yamashita M, Yamashita Y, Ohnishi K, Suzuki M, Takuma H, Miyakawa T, Takashima A, Morita T, Mori H, Tomiyama T. Acta Neuropathol Commun. 2017 Jul 31;5(1):59. doi: 10.1186/s40478-017-0461-5.
  9. Rifampicin is a candidate preventive medicine against amyloid-β and tau oligomers.
    Umeda T, Ono K, Sakai A, Yamashita M, Mizuguchi M, Klein WL, Yamada M, Mori H, Tomiyama T. Brain. 2016 May;139(Pt 5):1568-86. doi: 10.1093/brain/aww042. Epub 2016 Mar 28.

主な研究内容

現在の主な研究テーマ

認知症・神経変性疾患の新しい予防薬・治療薬の開発

当研究室ではこれまで、新しいタウ抗体の開発、リファンピシンのドラッグ・リポジショニング、天然物由来の新しい抗認知症食品の開発等を行ってきました。現在は、これらのプロジェクトを継続して進めるとともに、神経変性疾患全般を対象とした新しい機序・視点からの予防薬・治療薬の探索研究を行っています。薬の研究で重要な役割を果たすのが、疾患のモデル動物です。当研究室では、アルツハイマー病モデルマウス3種類、前頭側頭型認知症・筋萎縮性側索硬化症モデルマウス3種類、レビー小体型認知症・パーキンソン病モデルマウス1種類を保有し、モリス水迷路、ロータロッド、ワイヤーハングなど種々の方法を用いて、これらマウスの認知機能、運動機能を調べています。

認知症・神経変性疾患の新しい診断法の開発

他大学・企業と研究チームを組織し、AMEDの支援を受けて、PIB-PETに代わる新しい画像診断法の開発を進めています。また、認知症・神経変性疾患の新しい診断法も独自に研究中です。ここでもまたモデルマウスが重要な役割を果たしています。

Aβの生理作用の解明

運動、学習、食事などの生活習慣や、糖尿病、脂質異常症、高血圧などの生活習慣病は認知症の発症に影響することが知られています。当研究室では、高コレステロール血症との関係から、Aβには細胞および脳からのコレステロール排出というこれまで知られていなかった生理作用があることを発見しました。また、糖尿病との関係から、末梢Aβは膵臓からのインスリン分泌を負に調節する因子であることも明らかにしました。現在は、インスリンの脳内作用に着目した研究を進めています。

臨床への取り組み

当研究室では、疾患の基礎研究にとどまることなく、その研究成果を予防・治療に結びつけるためのトランスレーショナルリサーチに力を注いでいます。数年内の臨床試験入りを目指して、企業との共同研究を積極的に推し進めています。

スタッフ

研究教授 富山 貴美
特任講師 梅田 知宙

 

参考写真

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