事業の目的

2019年11月、ブタペストで開催された「世界科学フォーラム2019」宣言において、科学技術が目指すべき方向性の第1の柱に「Science for Global Well-Being(世界の幸福に貢献する科学)」が掲げられた。

新型コロナウイルスのパンデミック(感染症の世界的大流行)の猛威は世界で分断や格差等の社会の脆弱性を露呈させ、地球温暖化と気候変動をはじめとする地球環境問題や生物多様性の喪失、人口問題、食糧問題など人類共通の課題解決が突きつけられている「グレート・リセット」時代の中、いかに科学技術の力がそうした課題解決に貢献し、持続可能な未来を築いていくか。いま「Science for Global Well-Being」の理念が問われてきている。

我が国においては、文部科学省を中心に「持続可能な開発目標達成のための科学技術イノベーション(STI for SDGs)」が推進され、多様な分野の課題解決に不可欠な優先的要素としてSTIが位置づけられている。また、「科学技術基本計画」は2021年度から「科学技術・イノベーション基本計画」へと名称変更し、SDGsと連動した我が国の未来ビジョン「Society 5.0」の実現に向けた取り組みを加速させる中、科学教育の面においても、科学的視点で様々な社会課題を捉え、SDGs Society5.0 で描く持続可能な未来社会に科学で貢献する科学人材、イノベーターの育成が重要である。

本学未来の博士育成ラボラトリーは、科学に対する高い意欲・能力を有する中学生を対象に大学が実施する多彩なSTEAM教育プログラムを通して高度な科学に触れる機会を提供することで、以下の科学的能力・資質を獲得していくことを目的として活動する。同時に科学で人類の幸福に貢献する「Science for Global Well-Being」の理念で未来社会を支える科学人材の育成を図るものとする。

1.科学に対する強い探究意欲を持ち、高度で未知の課題に主体的に挑戦する能力

2.自ら創意工夫し、主体的に独創的な研究を推進できる能力

3.論理的な思考力と優れたプレゼンテーション・ディスカッション能力

4.個を尊重しながら共同で科学研究を進めていく能力