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2026年3月23日

  • 学生

都市型キャンパスで学ぶ栄養学 ―森之宮で始まる新しい学び―

森之宮キャンパスに移転した生活科学部・食栄養学科の神谷重樹先生にインタビューさせていただきました!
食栄養学科の特色や先生の研究についてはもちろん、学生へのメッセージについてもたくさん語っていただきました。
ぜひ最後までお読みください!

※本取材は2025年10月に行いました。

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生活科学部食栄養学科とは?神谷先生はどんな研究をしているの?

本学の生活科学部は、居住環境学科と人間福祉学科、食栄養学科の3学科が設けられており「ニュートリション(栄養)」を軸にそれぞれ個性的な研究が行われています。神谷先生は食栄養学科に所属し、特に口腔内細菌と生活習慣病の関連性、およびその改善に役立つ食品成分の探索を中心とした研究を進められています。

食栄養学科の研究分野は実験系、臨床系、実践系に大別され、健康寿命をそれぞれのアプローチから伸ばそうと尽力しています。実験系に類別される神谷先生は、一般にイメージされるマウスやラットではなく、メダカを実験動物に用い、国際的な動物愛護の潮流を意識した研究活動を行っておられます。

神谷先生は大阪府立大学(現:大阪公立大学)工学部応用化学科出身で、修士課程から生物学(細菌学)に転向されました。その後、製薬会社で抗菌薬や循環器系の薬の開発・基礎研究に約10年間従事され、大阪大学を経て本学の羽曳野キャンパスに原点回帰、食中毒や食品衛生学、細菌毒素の研究から、現在の研究へ移られました。

森之宮キャンパスに移転した利点としては、実験機器や設備の更新、今までになかった新たな機器の導入ができたこと、教員同士の情報交換が簡単になり、研究の利便性が向上したことを挙げておられました。

近年、ディスバイオーシス(腸内細菌等の体内にいる常在微生物のバランスが乱れること)や時間栄養学、人の一生における栄養状態の推移と健康の関係などが注目されています。食品のみならず食習慣などはそれらに様々な影響を与える可能性があり、神谷先生の研究もそのトリガーとなることが期待されています。

森之宮キャンパスでの今後の展望

MORINOMIYA Journal学生編集室(以下学生編集室):

森之宮キャンパスで今後先生が取り組みたいことや、キャンバスがこうなっていってほしいという展望などはありますか?

神谷先生:

学科長をしていますので、まずは次の世代の教員にとって研究教育活動が十分にストレスなく行える環境を森之宮キャンパスに整えていくということが僕の使命かなと思っています。

もう一つは、立派な設備を備えたキャンパスを都市部に開設することができたので、それを最大限活用して、いろんなことができればとも考えています。森之宮キャンパスでしかできないこともあるはずです。

 

学生編集室:

学術だけでなく、学生や教員が楽しめる場も必要ですね。

 

神谷先生:

そうです。学術だけではなく、学園祭やサークル、部活動なども森之宮にあった方がいいと思います。将来的には森之宮キャンパスが全ての学部の1年生が集まる場というだけではなく、学祭やサークル活動、部活動が集まるようなエクスチェンジの場になってほしいと思います。

 

学生編集室:

様々なバックボーンをもつ人々が集まる森之宮キャンパスのポテンシャルを最大限に活かすということですね。

 

神谷先生:

そうですね。僕がいる間に何か新しく打ち出していけることがあればいいのですが、簡単ではないですね。ただそこは学生ファーストですし、学生側からの提案も大切です。思う存分キャンバスを使ってほしいですし、そこで必要な交渉には、僕も協力したいと考えています。

 

学生編集室:

我々学生と先生方で森之宮キャンパスを盛り上げていきたいですね。

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学生への期待とメッセージ

学生編集室:

今後、学生に期待することはどんなことでしょうか?

 

神谷先生:

学生の皆さんには視野を狭めることなく大学4年間のうちに色んなことを知って、経験することを大切にしてほしいと考えています。

自分の専門分野だけにとどまらず、自分の興味のあることをいろいろ結びつけてより幅広い経験をしてほしいと思います。

 

学生編集室:

他学部の学生にも通じる話ですね。

 

神谷先生:

そうですね。MORINOMIYA Journalのお二人は法学部ですが、法学部といっても全員が司法分野に進むかというとそんなことはなく、金融や行政、政治などいろんな分野に興味を持つ人がいるわけです。つまり「学ぶ」ということにも様々な手段があり、何か目的を達成するための手段は一つではなく多岐にわたるというのが僕の考えです。

例えば「健康」や「栄養」という目的があった場合、僕たち研究者は実験や研究を通して目的達成を目指すことが多いですが、他にも教育を通して人間そのものに直接介入するアプローチや、行政としてルールを整備することで目的達成を目指すことアプローチもあるわけです。イギリスでは「国民の血圧を下げる」という目的のために、国が段階的な減塩目標をガイドラインで定め、食品産業への協力を求める「食の環境改善」を実施し、人々が知らないうちに減塩できるということで国民全体の血圧を下げることに成功しています。

このように同じ目的をもっていても、それを達成するためのルートというのは多種多様です。そうした意味で学生のうちに色々なことを知って経験を積むというのは重要だと思います。

 

学生編集室:

様々なことを経験することで、一つの視点に縛られることなく目的達成に取り組むことができそうです。

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神谷先生:

関連する話にはなりますが、「与えられたことをどれだけ面白いと思えるか」ということも大切です。これから皆さんが社会に出た時に、自分が好きなことや100%面白いと思えるようなことができるかと言えば、とても難しいことです。

そこで重要なのが「面白がる」ということです。与えられたことがあまり面白くなくても自分で面白い部分を見つけたり、こうすればより面白くなるという提案ができたりすれば、自分の能力を上げることにもつながりますし、他者からの評価も上がっていくと思います。もちろん簡単なことではなく、物事から面白いところを見つけるという能力が必要です。そのため先程述べたように、学生の皆さんには色々な経験をして色々な面白がり方を身につけてもらいたいと思っています。

 

学生編集室:

面白いことを探すだけでなく、物事の“面白い部分を探す”ということを意識していきたいと思います。
他に学生に身につけてほしい力などはありますか?

 

神谷先生:

もう一つ、学生の間に全く未経験の「未知のこと」に挑戦してそれを完結させるというということも重要だと考えています。例えば卒業研究であれば、所謂PDCAサイクルの一連の流れの中で、全く未知のことに対して一つの結論を得るという経験を積むことができます。ここで必ずしも成功する必要はなく、あくまでもやり遂げたという経験そのものが重要で、一回でもやり遂げることができれば“1”になります。これに努力をかけ算していけば得られるものは増えていきます。一方で完遂させられなければ“0”のままで、これにいくら努力をかけても0になってしまいます。

小さいことであっても完遂させたという成功体験を積むことが重要で、これが次に何かに挑戦するときにドライビングフォースやモチベーションになります。こうしたことが皆さんの人生において役立つ場面があると考えています。

 

学生編集室:

0から1を生み出すことの重要性をものすごく感じました。

 

神谷先生:

最後に、最新の技術や設備などを最大限に活用することも大切にしてほしいことの一つです。AIの進化によって翻訳技術が進歩し日本語と多言語の境界は曖昧になっています。こうなると重要になってくるのは、英語技能そのものよりも母語である日本語でどれだけのことを理解し表現することができるかということだと思います。

また科学や技術の発展によって世の中には情報があふれています。学校で学ぶ内容は年々増えていますし、SNSには価値があるかわからない情報が流布されています。そのため皆さんにはより深い理解と正しい情報の選択が求められています。

こうした情報社会においてAIは非常に有用ですが、AIが提供してくれる情報も全てが正しいわけではありません。そのため、そこをしっかりと取捨選択する必要があります。大変ですが、AIに限らず森之宮キャンパスに備わっている最新の設備なども含めて、使える技術をより良く活用していくことが重要なことだと思います。

 

学生編集室:

新しいキャンバスもAIも、使えるものをフル活用して学生にはより良い学生生活を送ってほしいですね。
本日は貴重なお話をたくさん聞くことができました。ありがとうございました。

 

神谷先生:

ありがとうございました。

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結び

今回のインタビューでは、食栄養学科がどのような学びを提供しているのか、そして神谷先生のユニークな研究について知ることができただけではなく、あらゆる分野の学生にとって大切なメッセージもいただくことができました。
ぜひ、皆さんのこれからの学生生活に活かしてみてください。

 

〈ライター:確かに不確か、オツキミ〉