研究紹介_02

OUR RESEARCH
計算科学で
生体分子の機能を理解し
創薬に活かす
計算分子生物学研究室 森次 圭 教授

当研究室では、分子シミュレーションや情報科学、AI・機械学習といった計算技術を活用し、生体分子が細胞内でどのように構造を変化させながら働いているのかを原子レベルで解析しています。構造データベースやAIを用いて分子や複合体の立体構造を再現し、分子動力学シミュレーションによってその動的なふるまいを予測することで、実験データと照らし合わせながら分子の機能や薬との結びつきを明らかにします。特に、核酸やタンパク質といった生体分子が細胞内でどのような立体構造をとり、どのように動いて機能しているのかを計算科学的に解明する研究を進めており、実験的知見と計算モデルを組み合わせることで、複雑な分子機構をより深く理解することを目指しています。

さらに、スーパーコンピュータなどの大規模な計算資源を活用し、タンパク質の大きな構造変化や柔軟性を効率的に捉える新しいシミュレーション手法の開発にも取り組んでいます。こうした方法論の進展により、従来の計算創薬で課題となっていた分子の揺らぎや自由エネルギー変化を精密に扱うことが可能となり、AIと組み合わせた分子スクリーニングを高度化することで、結合様式の予測精度を高めています。このように、構造モデリングから動態解析、手法開発、そしてインシリコ創薬応用に至る一連の研究を推進することで、生体分子の機能をより的確に制御できる薬の設計を目指しています。