日々の活動
2026年1月19日
【日々の活動】だんじり――地域計画と多世代コミュニティ
みなさんの住んでいるところには、お祭りはありますか?
地域の祭りはどんどん少なくなっているのではないでしょうか。
私の地元である神戸・灘には「だんじり祭り」があります。だんじりといえば大阪の岸和田を思い起こすと思いますが、実は兵庫にも広く深く根付いているんです。
でも、少し雰囲気が違います。岸和田のようなスピード感よりも、子供たちが曳き手として集まり、大人と一緒に町中をゆっくりと巡る。そんな多世代の交流が灘のだんじりの魅力です。
なぜ、ここでだんじりの話をしているかというと、建築や街づくりにおいて「地域のあり方」は切り離せないテーマだからです。だんじりという存在を、地域計画やコミュニティの視点で紐解いていくと、これからの街づくりのヒントが見えてきます。
だんじりと神社 ・自分たちの町に変える巡行
地域計画において、町を区切る境界線は地図上の線や道路に過ぎません。しかし、だんじりが町内を練り歩くルートは、住民にとっての生きた境界線を可視化させます。 自分の家の前をだんじりが通り、角を曲がって隣のブロックへ行く。その道筋を辿ることで、住民は「自分たちの町なんだ」という帰属意識を身体感覚として持ちます。現代の都市計画では置き去りにされがちな「土地への愛着」や「範囲の感覚」を、だんじりは毎年描き直しています。
地域を巡行する様子 ・「だんじり小屋」という、街の交流拠点
街の中には、ひっそりと「だんじり小屋」が点在しています。一見すると窓のない背の高い不思議な建物ですが、ここは祭りの時期になると、準備のために多くの世代が集まるコミュニティの核に変貌します。 住宅でも職場でもない、この第3の居場所は、多世代がフラットに繋がる貴重な建築的装置です。1歳の子供が祭りの音に触れ、90歳の高齢者が知恵を伝える。こうした多世代共生の仕組みが、小屋を起点に街の中に組み込まれています。
だんじりが並び、人々が写真を撮る様子設計課題では、建築のカタチだけでなく、地域との関係についても考え、計画します。今回、改めて自分の身の回りの地域コミュニティを見つめなおしてみることで、だんじりが地域にどのような影響を与えているのか気づくことができました。
マンションが増え、隣人の顔が見えにくくなった現代だからこそ、だんじりのようにすべての世代が同じ目的で集まれる風景をどう維持していくか。灘の街をゆく一際大きなだんじりの姿は、私たちがこれからの街を考える上で、最も大切にすべき「人との距離感」を教えてくれている気がします。
投稿者 / 島田みのり(建築計画・構法研究室 学部4年)