多孔体乱流の計測実験

多孔体界面乱流のスケーリング

多くの空孔を有する多孔体構造は構造上比表面積が大きく,熱物質輸送や化学反応の促進効果に優れているため,燃料電池ガス拡散層や自動車の触媒反応体など様々な工業製品に利用されています.また,森林やビルの立ち並んだ都市も巨視的に見れば多孔体と見なすことができ,多孔体界面の乱流現象の理解は工業的な観点からだけでなく医学や環境工学の観点からも求められています.多孔体に接する流動は,多孔体の空隙率,透過率などの構造パラメータに大きく依存することが知られております.本研究グループでは,多孔体界面乱流の流動特性を明らかにするため,構造パラメータを系統的に変化させた様々な多孔体を用いた乱流計測実験を実施しています.具体的には,多孔体の透過率テンソル,空隙率,表面の空孔径を用いて対数速度分布のスケーリング,多孔体乱流に見られるケルビンヘルムホルツ不安定波に起因する渦構造のスケーリングを議論してきました.現在は,特に低空隙率多孔体の界面乱流に着目し,空隙率の違いで多孔体上を流れる流体へどのような影響があるかを系統的な計測を実施しています.

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使用多孔体の一例

「抵抗低減能力を有する多孔体」の設計と実験的検証

多孔体は多くの空孔を持ち,比表面積が大きいという特徴があります.その構造から熱物質輸送や化学反応を促進させるため,燃料電池内のガス拡散層(GDL)等のように工業製品として数多く利用されています.通常,多孔体界面上では摩擦抵抗が増大し,工業製品の効率低下が課題となっています.そこで,工業製品の効率向上のために摩擦抵抗を低減させる多孔体の考案が必要となります.これまでに本研究グループは,透過率等のパラメータを変えながら様々な多孔体を考案し,粒子画像流速測定法(PIV)によって多孔体上の流動現象の解明を行ってきました.現在は,壁面垂直方向(y)と比べて主流方向(x)に流体が非常に流れやすい多孔体のPIV計測を行っています.抵抗低減条件下で滑面と同程度にまで抵抗が下がることがわかっており,その多孔体上の流動現象の解明に取り組んでいます.

多孔体断面図

多孔体断面図