粗面乱流の計測実験

表面形状の変化が粗面乱流に与える影響の調査 

 機械の表面は流体力学的になめらかであることは稀で,様々な特徴を有する粗さが生じています.身の回りの粗面を例に挙げると,船舶底面に海洋生物が付着することで生じる粗さ,内燃機関などの不燃物の堆積による粗さ,航空機への着氷などが挙げられます.このような表面粗さは,高レイノルズ数乱流境界層においては,たとえ微小な粗さでも,流動抵抗や伝熱性能を大きく変化させ,機械の大幅な性能・寿命低下をもたらすといわれています.これらの問題を適切に対処するためには,表面粗さを有する壁面の熱流動(摩擦抵抗,熱伝達率)を正確に予測することが必要となります.本研究では,粗さを表す様々な幾何パラメーターの中でも特に流動に及ぼす影響の大きいパラメータに着目した実験を行っております.具体的には,粗さの幾何パラメータを系統的に変化させた粗面を3Dプリンタを用いて作成し,流動計測実験を行うことで,表面形状の変化が摩擦抵抗にどのような影響を与えるのかを調査しています.

粗面

実験に用いる粗面の一例

感温性塗料を用いた乱流熱伝達の計測

 表面粗さは,運動量輸送のみならず熱輸送を増大させるため,壁面の熱伝達率を大幅に向上させることができます.この性質を利用して,壁面に人工的に粗さを設置し,熱交換機の性能向上を図る取り組みが古くから行われてきました.しかし,粗さの構造と熱伝達率の相関関係に関しては十分に理解されておらず,少ない流動抵抗で高い熱伝達率をもたらす機能性の高い粗面を設計することは決して容易ではありません.そこで本研究では,温度に依存して励起光強度が異なる感温性塗料の性質を利用し,3Dプリンタで複製された粗面の熱伝達率を計測することで,壁面に設置された粗さ形状と熱伝達率の関係を明らかにすることを目的としています.