極軽量構造物の応答予測法に関する研究

概要

ソーラーセイル,インフレータブルアンテナ,サンシールドのような薄膜で構成される宇宙構造物は軽量性・収納性・展開性に優れ,宇宙空間に大規模な構造物を構築するのに適した構造様式として期待されています.しかし,薄膜は圧縮に対する抵抗力が小さく,その柔軟さゆえに容易に変形や振動が生じます。そのため,打上げ前や軌道上で薄膜の変形や振動を適切に把握することが必要となりますが、大面積の薄膜の挙動を詳細に把握しようとすると計算コストが高くなり実用性の点から問題が生じます。そこで,我々は計算コストを抑えて大面積の薄膜の挙動を適切に推定するための方法論について研究を行っています。また、最近はこれらの成果の一部を薄肉シェルの大規模構造へ応用する研究も行っています。

研究テーマの一例

    • 宇宙展開膜面構造物の非線形ダイナミクスにおける最大振動応答の簡易推定法の構築
    • 張力場理論を利用した薄膜の形状推定技術の構築
    • 極軽量構造物の座屈後挙動のスケール則の構築
    • 薄膜構造や円筒シェル構造の座屈モードを表現する確率モデルの構築
    • 薄肉円筒シェルの座屈強度のリアルタイム推定法の構築

展開膜実験    皺解析

  格子投影法による展開型薄膜構造モデルの展開計測実験の様子        せん断負荷を受ける矩形膜の皺解析

参考文献

  1. T. Iwasa, K. Nakamura and R. Marumoto,``Verification of Wrinkle-Scaling Law using Photogrammetry for Rectangular Membranes," AIAA Journal, Vol. 59, Issue 8, 2021, pp.3186-3194.
  2. T. Iwasa,``Wrinkle-Reduction Law for Rectangular Membranes under a Shear Load,'' AIAA Journal, Vol. 56, No. 7, July 2018, pp.2870-2876. 
  3. T. Iwasa,``Experimental Verification on Wrinkling Behavior Given by Wrinkling Analysis Using the Tension Field Theory,'' International Journal of Solids and Structures,  Vol. 136-137, April 2018, pp. 1-12. 
  4. T. Iwasa,``Experimental Verification on Simplified Estimation Method for Envelope Curve of Wrinkled Membrane Surface Distortions,'' Thin-Walled Structures,  Vol. 122, January 2018, pp. 622-634.
  5. T. Iwasa,``Approximate Estimation of Wrinkle Wavelength and Maximum Amplitude Using a Tension-Field Solution,'' International Journal of Solids and Structures,  Vol. 121, August 2017, pp. 201-211.