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2025年6月18日
- 研究関連
光ダイオード効果に関する論文がPhys. Rev. Mater.に掲載されました。昨年度修了の越知さんが中心となって進めた研究です。
光ダイオード効果は、光の入射方向を反転すると物質の透過率が変化するという特異な光学現象であり、光アイソレータなどへの応用が期待されています。可視光から近赤外領域におけるこの効果は、磁性イオンの電子遷移によって引き起こされます。これまでに様々な磁性体で光ダイオード効果が観測されてきましたが、最もありふれた磁性元素である鉄を含む磁性体で観測された効果は、非常に小さいものでした。本研究では、二価の鉄イオンを用いることでこの効果が大きくなる可能性を提案し、リチウムイオン電池材料としても知られる反強磁性体「LiFePO4」の単結晶を用いた実験により、その提案を実証することに成功しました。さらに、外部電場により光ダイオード効果の極性(透過率の強弱)を制御することにも成功しました。この成果は、アメリカ物理学会(APS)が発行する学術雑誌Physical Review Materialsに、速報版(レター)としてオンライン公開されました。