Human人権問題NEWS

2026年2月18日

報告 2025年度 後期委員研修 (2025年11月18日開催)

【テーマ】 精神障害(者)観の変遷 当事者視点を中心に
講 師 : 三田 優子 先生(現代システム科学研究科准教授)
司 会 : 伊藤 一弥(看護学研究科教授)
日 時 : 2025年11月18日(火)9:00~10:30
会 場 : Zoom(オンライン講演)
報告者 : 松原 勤(医学研究科准教授)

 

 

概要
 本研修では、医療モデルから社会モデルへの移行、エンパワーメントモデル、そして精神障害・依存症に関する内容を中心に障害者に関する講演が行われました。
 ご講演では、まず精神障害者福祉の発展について詳しく説明され、1993年の障害者基本法の施行前には精神障害者は福祉の対象になっていなかったこと、学生たちとの交流から得た教訓について話され、精神障害者支援における教育の課題を説明されました。また、医療モデルから社会モデルへの移行についても言及され、障害者が克服して参加するのではなく、社会が障壁を取り除く必要があるという観点を示されました。
 次に、精神障害者の定義と支援について説明され、「健康か、障害か」ではなく、「健康と障害の間のグラデーション」として障害者を捉えるべきだと述べられました。
 また、当事者視点の重要性を強調し、医療モデルではなくエンパワーメントモデルを用いた支援が必要だと説明されました。加えて、精神障害の治療には、薬が中心的な役割を果たしているが、薬以外の支援も重要であることを指摘され、フィンランドのアプローチ等について紹介されました。
 さらに、精神障害者と依存症に関して説明され、学生や教員の依存症に対する理解と支援の必要性、そして一括りすることで当事者の生きづらさが増すことについて等の事例が示されました。三田先生は、「障害」と「健常」の境界線を引いて「精神障害者」として扱うことの問題点を指摘し、「精神障害」の支援について説明されました。
 最後に、精神障害者支援における医療モデルからの脱却について、医療モデルでは、人格と病気を混同し、患者を「病気」として扱う傾向があるが、実際には、人々は社会的参加を図る能力を持っているため、支援者としての社会性、市民性、専門性を兼ね備えて判断することが重要だと説明されました。三田先生は医療的エビデンスの必要性を認めつつ、患者を線引きするのではなく、全体的な人としてみる重要性を強調されました。