お知らせ

2026年2月16日

  • 研究室の活動

明石実久さんがデンマークで建築を学ぶ国際教育プログラムJaDAS2025に参加しました

以下は明石実久さんの報告です。
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デンマークで建築を学ぶ国際教育プログラム、JaDAS(JaDAS2025)に参加しました。
本プログラムは、日本全国の大学から集まった建築学生が学年を越えてチームを組み、デンマークの実在する地域を対象に、公共空間や都市のあり方について提案を行う国際教育プログラムです。2025年8月8日から27日までの約3週間、デンマークを拠点にスタディプログラムが行われました。
プログラムの中心となったのは、デンマークで社会的な課題を抱える地域を対象に、現地のまちづくり組織に対して、公園や広場といった公共空間の短期から長期にわたるプランを提案するワークショップです。地域の歴史や背景、社会制度を学びながら、グループで建築やデザインで課題を解決する設計に取り組みました。

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研修期間中は、貸しマンションの一室で、4人で共同生活を行いました。日々の買い物や食事、住まい方を共有しながらデンマークで暮らす経験は、プログラムと密接に結びついており、建築を通して社会や生活を考える視点を養う重要な要素となっていました。街を歩き、空気を感じ、人々の振る舞いや空間の使われ方を観察する日常そのものが、学びの一部として位置づけられていたように思います。

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また、ワークショップに加えて、デンマーク各地の設計事務所を訪問し、代表や実際に働く建築家から、設計の考え方や社会との関わり方、プロジェクトの詳細などについて直接話を聞く機会が設けられました。さらに、デンマーク国内の他都市やスウェーデンを訪れる機会もあり、北欧の都市や建築文化を多角的に触れる時間となりました。

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本研修を通して印象的だったのは、建築に限らず、デンマーク社会全体に根付く「議論」のあり方です。デンマークでは、議論は対立や優劣を決めるものではなく、高い社会的信頼を前提とした対話のプロセスとして捉えられています。相手は誠実であり、率直に意見を交わしても関係が損なわれないという共通認識のもと、異なる意見も一つの視点として尊重されます。こうした文化は、政治や教育、職場といった社会のあらゆる場面に浸透しており、建築における議論もその延長線上にあるものだと感じました。
JaDASが重視しているのは、こうした社会の中に身を置き、実体験を通して学ぶことです。パンデミックや国際情勢の不安定化、気候変動、AI技術の急速な進展など、現代社会は予測困難で複雑な課題に直面しています。そのような時代において、既存の知識や理論、インターネット上の情報だけでは対応しきれない状況も多く、現場に立ち、自ら考え、判断する力の重要性が高まっています。本プログラムでは、現地の人々や専門家、共に参加した仲間と対話しながら試行錯誤を重ねることで、状況に応じた判断力や応用力、他者の立場を理解しようとする共感力を育むことが重視されていました。コペンハーゲンの街を自分の目で見て歩き、音や空気、匂いなどの体験を積み重ねることは、建築への理解を深めるだけでなく、今後の学びや進路選択を考える上でも大きな意味を持つ経験となりました。

研修終了後も参加者同士の交流は続いており、関西の参加者を中心に設計コンペへの挑戦を行うなど、学びを次の行動へとつなげています。また、2026年3月末には、参加者全員による展示会を開催する予定です。展示会のテーマは、「重なる、あいだの視点 ―デンマーク留学を経験した建築学生が考えていること―」です。本展示では、日本とデンマークの社会・文化・建築の違い、そしてJaDASでどのような活動を行い、何を考えたのかを展示します。複数の視点が重なり合う展示を通して、来場者一人ひとりが自身の視点を見つめ直すきっかけとなることを目指しています。ぜひお気軽にお立ち寄りください!