お知らせ

2021年11月2日

  • イベント案内

教室案内

アジアは昔から文化、言語、宗教などにおいて多様性に富んだ地域でした。人々の暮らしもそれぞれの地域の伝統に根ざすことで、豊かな生を育んできました。しかし、いまアジアは大きく変化しています。近年のグローバルな文化交流によって西洋的な、さらには無国籍的な文化が広く浸透するなかで、人々は最先端のライフスタイルを楽しみ、モバイル端末を片手に近未来的な景観の街を闊歩しています。多様な伝統文化がファッショナブルな現代性のなかに姿を変えつつあるところ——現在のアジアはそんなダイナミックな様相を呈する場所なのです。 

 

アジア文化コースは、このようなアジアの文化的ダイナミズムをテーマとする総合的なコースです。アジアにたいする深い理解と共感、現代の文化状況への鋭い感性、文化にアプローチするための専門的な知識などをもとにしながら、それぞれの地域や社会の特性を学び、それ応じた文化の活用を考えていきます。 

 

文化の活用といっても難しく考える必要はありません。私たちの身の回りを見渡しても、抹茶がアイスクリームやスイーツに取り入れられたり、アジアの伝統工芸が素敵なインテリアとして活用されたり、あるいは、イスラームの「ハラール・フード」が新しいビジネス分野として注目されたりなど、文化活用の事例は数限りなく見ることができます。本コースの守備範囲は無限に拡がっています。文化の身近な利用から経済的な活用まで、あるいは文化や文学についての哲学的な思素から実践的な応用まで、アジア文化のさまざまな活用を考えてみましょう。 

 

アジア文化の活用を考えるために、アジア文化コースでは「地城」「共生」「比較」という三つのコンセプトを掲げています。 

 

「地域」とは、多様な文化を生み出した地域的特性であったり、いままさに文化の新たな活用がなされていたりする現場のことです。文化を理解するためには、文化だけを切り取って考えるのではなく、文化や文化現象の母体である「地域」についての理解が欠かせないのです。 

 

「共生」とは、多様な文化が文字通り共生を果たしている状態であり、またそのような状態へ向かおうとする価値のことです。文化間の共生、伝統と現代性との共生など、アジア地域では文化の「共生」が大きな課題として存在しています。ある文化に固執すればそれは文化の対立や衝突しか生み出しません。いかに共生的な文化を構築していくのか。アジアへのアプローチには「共生」への志向が欠かせません。 

 

「比較」とは、アジア文化を理解する上での大切な視点です。文化をひとつの視点から理解しようとするだけでは、ときとして一面的な見方にとどまってしまいます。地城間の比較はもちろんのこと、過去と現在との比較、研究対象とする文化コンテンツ同士の比較など、さまざまな「比較」をとおして、物事を相対化してとらえることが大切です。 

 

世界の中の日本という観点から見れば、アジアの人々との交流は、さまざまな分野で今後ますます重要になっていくでしょう。「地域」「共生」「比較」をキーワードとしながら、アジア文化の現代的様相をともに学んでいきたいと思います。