同窓会

2006年3月4日

大阪市立大学地理学教室同窓会第6回総会ご案内

 この冬はことのほか寒さの厳しい毎日が続いておりますが、同窓生の皆様におかれましてはご健勝にてお過ごしのこととお慶び申し上げます。
さて、平成11年の大阪市立大学地理学教室創立50周年を契機に設立された『大阪市立大学地理学教室同窓会』も活動六年目を迎えました。
同窓会の役割は、地理学の研究と教育の振興、地理学教室および現役学生等への支援など多岐に及びますが、最も大切なのは同窓生相互の交流と親睦にあると思われます。そのために、一昨年度より地理学教室の卒論・修論発表会にあわせて年に1回の総会を開催することとし、新たに同窓会に参加する卒業・修了予定者を交えた会員相互の交流を計って参りたいと存じます。なお、総会に引き続き本年度卒業・修了者を新たに同窓会のメンバーに迎える予餞会を兼ねた懇親会の開催を予定しております。
つきましては、下記の通り第6回総会ならびに懇親会(予餞会)の開催と同窓会会費についてご案内申し上げますので、ご多用のこととは存じますが、総会へご参加賜りますとともに、会費の納入へのご協力をお願い申し上げます。


1 第6回同窓会総会について
日 時 平成18年3月4日(土) 午後4時30分~ 
場 所 大阪市立大学学術情報総合センター1階 文化交流室
(JR阪和線「杉本町」駅下車、東に徒歩5分)
次 第 (1)会計報告
(2)今後の活動について
(3)その他

2 予餞会・同窓会懇親会について
日 時 平成18年3月4日(土) 午後6時~ 
場 所 大阪市立大学学術情報総合センター1階「レストラン・ウィステリア」
会 費 5,000円(ただし平成15年度卒業・修了生は2,500円)

*なお、同日午前10時より大阪市立大学学術情報総合センター1階・文化交流室(総会会場と同じ)にて、恒例の平成17年度大阪市立大学地理学教室卒論・修論発表会が開催されます。あわせてご参加くださいますようご案内申し上げます。
3 同窓会会費について
一時払い会費 1人5,000円(新卒業・修了生は3,000円)
通信費、総会会場費など同窓会事業の諸費用に充当します。
なお、同窓会会費は終身会費ですので、既に納入済みの方は再度お支払いいただく必要はありません。

お願い 同窓会会費ならびに懇親会費につきましては、同封の振込み用紙の通信欄に明細をご記入の上、お支払いください。なお、懇親会にご参加の方は、会場準備の都合上2月24日(金)までにお申し込みくださいますようお願い申し上げます(懇親会費の振込みをもって出席とさせていただきます)。

問合わせ先
大場 茂明 (大阪市立大学文学部)
電話:06-6605-2402,FAX :06-6605-2408,e-Mail:oba@lit.osaka-cu.ac.jp 携帯:080-3110-5250

☆同窓会だより
[第5回同窓会総会報告]
第5回同窓会総会が、平成17年2月19日(土)午後5時より大阪市立大学学術情報総合センター1階文化交流室にて開催された。約40名の教室大学院・学部学生ならびに同窓生が参集し、午前10時より開催された卒論・修論発表会では、卒業論文12編、修士論文2編の発表が行われ、活発な質疑応答が行われた。
総会では、第4回同窓会総会以降の会務報告ならびに、次期役員(任期:平成17年2月~平成19年2月)の選出、今後の事業計画に関する議論が行われた。引き続き同日6時より、大阪市立大学学術情報総合センター1階「レストラン・ウィステリア」にて懇親会(予餞会)が行われた。地理学教室草創期の卒業生から、修了・卒業予定者、現役の大学院・学部学生まで、幅広い年齢層の約40名が参加し懇談の輪が広がった。

大阪市立大学地理学教室同窓会役員(任期:平成17年2月~平成19年2月)
会 長 白石 太良
顧 問 高山 龍三 杉本 尚次 山岸 和一郎 石原 照敏 中村 泰三
運営委員長 大場 茂明
運営委員 秋山 道雄 岡森 哲也 川端 基夫 岸本 智洋 小島 靖司 島田 奈緒子 松下 任久 松本 博之 山元 良平 吉田 容子
会計監査 井上 寛和 橋本 征治


平成17年度 大阪市立大学地理学教室 卒論・修論発表会 プログラム

<卒論発表>
10:00 市町村合併 ―広島県豊田郡瀬戸田町を事例に― 岩木 拓也
10:20 棚田オーナー制度と観光活性化 ―明日香村を事例にして― 太田 真仁
10:40 京都府船井郡日吉町における観光とまちづくり 横尾 篤志
11:00 大阪市立大学生の日常行動 清水 文子
11:20 都心部での小学校跡地利用について 中西 慧
11:40 EU政策URBANⅡからみた都市再生事業の展開 田中 靖記
―ドイツ・ドルトムントの地区マネージメント事務所を通じて―
12:00 野宿生活者施策と支援運動の関係性の展開とその変容 山西 麻衣
―川崎市と大阪市の支援運動を事例として―
休憩(12:20~13:20)

13:20 情報化による商店街活性化 伊藤 良
13:40 大阪府北摂地域におけるマンション開発と居住者の意識 清水 友香
―大阪市都心地区と比較して― 
14:00 JR東西線開業と新駅設置による大阪市西淀川区及び淀川区加島地区の 金武 正仁
変化 ―JR東西線御幣島駅と加島駅を事例にして― 
14:20 ライブハウスの存在意義 ―大阪のライブハウスを事例として― 臼井 泰子
14:40 日本における「大麻」をめぐる言説と生産地域との関係性 福田 淳
休憩(15:00~15:15)
<修論発表>
15:15 集中する大阪市西成区の生活保護受給者の特性と現状及び居住の実態 阿部 祐輔
―近年における生活保護行政運用の転換を通じて
15:50 A Comparative Study of the Policy and Support for the Housing Islam Mohammad Nazrul
Poor in Asian Cities: the Case of Bangkok and Dhaka

☆平成17年度卒業論文題目・要旨

市町村合併 ―広島県豊田郡瀬戸田町を事例に―
岩木 拓也
本稿では、「市町村の合併の特例に関する法律」で定められた住民発議の制度化に着目し、この「平成の大合併」において地方自治体がどのように合併に向かっていったのかを、広島県豊田郡瀬戸田町を事例に調査し、合併に関して住民投票をすることができるシステムの導入が、市町村合併の進展にどのような影響を与えたか、その深層について述べていく。そして、「直接民主主義」を瀬戸田町に持ち込んだことによって、地方自治体独特の「ムラ」的な政治形態を浮き彫りにする。

棚田オーナー制度と観光活性化 ―明日香村を事例にして―
太田 真仁
農業保全などの目的で、明日香村でも棚田オーナー制度がはじめられた。しかし、本制度は持続性が懸念されるので、第一に持続可能性や問題点、課題の考察を目的とした。また、明日香村は有名な観光地であるから、第二に棚田の観光活性化の考察を目的とした。その結果、オーナー制度の持続、活性化いずれの為にも質の高い人材の導入が必要だと分かった。また、最後に現実の姿として調査地での観光活性化の姿や地元や地域の活性化への意識も提示する。

京都府船井郡日吉町における観光とまちづくり 横尾 篤志
1998年、京都府船井郡目吉町で日吉ダムが完成した。この「地域に開かれたダム」の完成後、ダム周辺では、スプリングスひよしを中心に施設整備が進められ、ダム周辺を核とした地域活性化が図られるようになった。結果、観光客数は劇的に増加し、観光が一躍町の基幹産業となった。しかし現在では、オープン人気も一段落し、観光客数も頭打ちの状況になっている。さらなる交流人口の拡大に向けて、観光基本計画が策定され、観光協会が設立されるなど、ダム周辺だけでなく、町全体の活性化を目指す取り組みが進められている。現在の日吉町は、それまでの行政主導から、住民を含む地域全体が主体となって観光振興を進めていくという段階に入ったのである。

大阪市立大学生の日常行動
清水 文子

《要旨未着》


都心部での小学校跡地利用について
中西 慧
少子高齢化により全国各地で学校統廃合が行われている。学校がなくなることで地域が衰退することを防ぐためにも跡地をどのように活用するかということは大変重要である。本稿では、まず学校統廃合の問題について触れ、その後関西の3都市について見ていく。そして、跡地活用に熱心な京都市の取り組みを紹介し、事例として京都芸術センターを報告する。跡地活用の際には、地域の特色を活かし、地元住民の自治活動の場を保障しながら、積極的に先駆的・実験的な事業を行っていくべきである。

EU政策“URBANⅡ”からみた都市再生事業の展開 -ドイツ・ドルトムントの地区マネージメント事務所を通して-
田中靖記
EU統合の流れの中で、都市に対する支援の枠組みは大きく変化した。産業構造転換によって大きく衰退したドルトムント市ノルトシュタット地区では、EU主導政策URBANⅡに採択され、都市・州・連邦政府・EUと異なる行政主体から支援を受けることとなった。継続的に支援が行われることにより、住民活動に対する障壁が取り除かれ、様々な箇所で支援の最適化、ガバナンスの改善が見られる。また、地区マネージメント事務所や活動基金などの総合的な都市再生に向けての取り組みが導入され、住民側にたった施策が推進されている。行政主体が財政面での問題を抱える中で、地区住民にとっては継続的に参加・協働できる支援体制作りこそ、塔Tステイナブル狽ネ発展であるといえるだろう。

野宿生活者施策と支援運動の関係性の展開とその変容―川崎市と大阪市の支援運動を事例として―
山西 麻衣
本論においては、1990年代に入ってからの急激な国内の社会構造の変動が原因で可視化された野宿生活者の行動と、彼らを支援し、共に権利や空間資源を拡大する運動を展開してきた支援組織の行動に着目する。特に行政の施策に対して支援組織がどのように対応し、支援や活動を空問的にどのように変化させたのかを、川崎市と大阪市において支援活動を行っている組織を事例に分析をすすめていく。川崎市の事例では、当初対立していた行政と共同で諸活動を行うに至る過程を明らかにする。対して、大阪市の事例では、行政と対立した状況下での諸活動を追うものである。

情報化による商店街活性化 伊藤 良
インターネットをはじめとする情報化の進展は多くの利便をもたらし、時間や空間といった制限を超えて、社会経済や日常生活の構造を変化させてきた。かっては生活におけるあらゆる面で重要な役割を担ってきた商店街が非常に苦しい状況に置かれている。長引く不況や大店法廃止による大型店の進出や、インターネット普及による消費者の購買行動の変化、少子高齢化による後継者不足など要因は様々である。こうした状況の打開策として商店街は活性化の方向を模索し続けている。その活性化の手段のひとつとして情報化の推進が挙げられる。本稿では、停滞する地域商店街のあるべき姿、そして活性化のための情報化の現状とその効果をいくつかの事例を交えて考察する。

大阪府北摂地域におけるマンション開発と居住者の意識 ―大阪市都心地区と比較して―
清水 友香
近年のマンション開発は、大都市都心部において顕著にみられ、人口回帰にも影響を与えている。一方、郊外地域におけるマンション開発について、大阪府の北摂地域を例に、その特徴を明らかにするため、居住者にアンケート調査を行った。大阪市都心地区での同様の調査結果との比較を加えて考察した。北摂地域の新規分譲マンション居住者の特性としては、核家族世帯が多く、3LDKや4LDKが主流である。「交通の便」や「生活の利便性」の良さを理由に北摂地域を選択し、初めからマンション購入希望の世帯が大多数である。大阪市都心地区と比較すると、近隣環境の満足度、定住意識ともに高い。問題点としては「騒音」が最多。北摂地域内での転居移動が目立ち、地域への愛着も強い。今後も北摂地域におけるマンション供給は、需要の多様性とともに受け入れられるだろう。

JR東西線開業と新駅設置による大阪市西淀川区及び淀川区加島地区の変化 ―JR東西線御幣島駅と加島駅を事例として―
金武 正仁
大阪市北西部・西淀川区東部と淀川区加島地区に関して、1995年開通したJR東西線とその新駅が開業される前と後の変化を主として交通の面から研究し、2005年秋頃の様子と1995年当時からの変化を資料・現地調査・住民聞き取り調査などを基に示し変化の具体例を取り上げ、変化の原因と結果を明らかにする。当該地域においては、鉄道新駅開業後から工業地が減少し、住宅地が急増し、人口が増加した事がこの研究で明らかになっている。

ライブハウスの存在意義 ―大阪のライブハウスを事例として―
臼井 泰子
ライブハウスという場所に集まる人々。彼らはなぜここに集まるのか。ライブハウスという場所がもつ特質性を読み解き、ライブハウスの存在意義を明らかにすることが本稿の目的である。ライブハウスに集う経営者・出演者・観客は、それぞれの理由でライブハウスに訪れる。ライブハウスは彼らにとって趣味の場であり、活動の場であり、ストレス発散の場であり、アイデンティティを示す場である。単なる商業主義的な場所ではないライブハウスが存在する意義とは、音楽文化を創造し、発信していくことなのである。

日本における「大麻」をめぐる言説と生産地域との関係性
福田 淳
現在、日本において大麻は大麻取締法等の法規制等によって麻薬取締り行政の規制の対象となっている。しかしながら大麻は規制が行われる以前の日本において繊維採取目的、いわゆる「アサ」として盛んに栽培が行われていた植物であった。現在、その栽培面積は衰退の一途を辿っているが、伝統工芸品などの特殊需要に支えられ今なおその栽培を続けている地域が存在する。本稿ではその大麻生産地域ならびに「アサ」としての語られる大麻言説と社会に様々存在する大麻解放論、麻薬取締り行政などをめぐる言説との関係性を見ていこうとするものである。


☆平成17年度修士論文題目・要旨

集中する大阪市西成区の生活保護受給者の特性と現状及び居住の実態 ―近年における生活保護行政運用の転換を通じて―
阿部祐輔
本研究は、1995年以降の大阪市西成区における生活保護行政の運用転換の時代に焦点を当てて、生活保護受給者層の特性が変容している状況をとらえ、また生活保護者集中によって登場する簡易宿泊所転用共同住宅をはじめとした、「福祉住宅」の状況と居住の実態把握を目的としている。1998年の退院・施設退所者への敷金支給、1998年以降の簡易宿泊所転用共同住宅の登場、そして2003年からの野宿生活者、日雇労働者への敷金支給を契機として、西成区の生活保護事情が受給者・居住面で変容していく過程を、高齢被保護世帯1245件を対象としたアンケート調査で明らかにしていく。

A Comparative Study of the Policy and Support for the Housing Poor in Asian Cities: the Case of Bangkok and Dhaka
Islam Mohammad Nazrul
The aim of this study is to find out the appropriate policy for the housing poor by comparing the policy and support for the housing by the enabling and securing approach through the community organization in Bangkok and Dhaka as the case study. In Bangkok housing policy was practiced since 1940s and initiated the community organizations from 1960s. Since the early 1990s began to provide housing through community savings group and cooperative by enabling and securing approach which expanded in the whole Thailand by Community Organization Development Institute (CODI) in 2003. The secure housing program of CODI is enabling the housing poor to access the secure land in the city and pay back the housing loan by installment. In Dhaka city, some shelter policies were taken just after the independence of Bangladesh in 1971, and then there were not found any practical policy improvement trend to provide housing to the poor, though a national housing policy has been approved since 1993.
In Bangkok the housing poor are being supported through the community organizations with the coordination of the government, the local government authorities and NGOs etc. In Dhaka, the NGOs are supporting the community organizations by providing social mobilization and leadership development training to protect the violent slum eviction and also to be able to get the housing. The local government authority is providing urban basic services but there is a lack of coordination with the government agencies, NGOs, community organizations and other development organizations.
The community organizations in Bangkok are well organized; they are getting income generation support and savings money for the housing, which make them able to get secure housing. In Dhaka, the community organizations are gaining some knowledge about the urban basic facilities like how to protect eviction, get electricity and access to water and sanitation etc.
In Bangkok, though the housing poor are getting housing through the community organization, emphasize should be given to the relatively more poor and unorganized communities. In Dhaka, the government agencies should be more cooperative with the local government, NGOs and the community organizations to make enable and secure the housing poor to get housing.