お知らせ

2025年6月18日

新歓エクスカーションを実施しました(2025年6月7日)

 202567日、恒例となっている新歓エクスカーションを開催し、新たに地理学教室に加わった2回生をはじめ、3回生、研究生、大学院生、教員が参加しました。3回生が主体となって企画・運営を行い、自ら準備したコースにおいて、訪問地域の特色やその背景について解説を行いました。参加者は2つのコースに分かれてフィールドワークを行い、終了後には全員が合流して交流会を実施。学年や立場を越えて、教室内の親睦を深める貴重な機会となりました。

<尼崎・西宮コース>

 尼崎・西宮コースでは、「工業都市尼崎と住宅都市西宮」をテーマに、両市の臨海地域を訪れました。

 午前の尼崎では、工業地帯で展開されている環境共生型のまちづくり「尼崎21世紀の森構想」に注目し、全国で初めて整備された大気汚染対策緑地である元浜緑地、尼崎運河を活用した環境学習施設「北堀キャナルベース」、そして構想の拠点地区である尼崎中央緑地などを見学しました。加えて、工場や物流施設の立地からは、環境に配慮した都市整備の背景として、産業構造の転換による工場の集約・移転といった変化があることも学びました。

 午後の西宮では、住民の暮らしと地域産業に焦点を当て、御前浜橋をめぐる住民と港湾利用者の議論や、現在の住宅都市としての姿に至る「文教住宅都市宣言」の経緯、マリーナパークシティにおける都市開発の動向、さらにマリーナ・マリンスポーツ産業や宮水を活用した酒造産業について学習しました。これらを通して、住民の生活を意識したまちづくりのあり方を確認することができました。

 どちらも阪神都市圏の臨海地域に位置しながら、工業都市として発展した尼崎と、住宅都市として形成されてきた西宮という対照的な歩みをたどっており、両地域を比較しながら学ぶことができました。(3回生:篠田)

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<光明池・中津コース>

 「大阪の都心と郊外」をテーマに、午前は大阪府和泉市および堺市南区、午後は大阪市北区中津を巡見しました。

 午前は、和泉市のニュータウン「トリヴェール和泉」から堺市南区の泉北ニュータウンへ向かうルートをたどり、途中では両市にまたがる光明池を訪れました。ここでは、池の築造から現在に至るまでの経緯や利用形態の変化、光明池土地改良区の役割と活動について学びました。あわせて、泉北ニュータウンが抱える少子高齢化や施設の老朽化といった課題、そしてその再生に向けた取り組みについても考察し、郊外住宅地の現状と将来像について理解を深めました。

 午後は、淀川にかかる十三大橋を渡り、十三から中津7丁目、3丁目、2丁目、1丁目、茶屋町へと大阪都心部に向かって歩きました。このエリアでは、新淀川の開削や大阪大空襲などの歴史的要因によって二分化された街並みに注目しながら巡見を進めました。1丁目周辺では再開発が進み、高層マンションの建設や交通インフラの整備が進行する一方で、戦災を免れた3丁目周辺には狭い路地や昔ながらの民家が多く残されています。こうした地域では、面的な再開発ではなく、一軒ずつのリノベーションを通して、新旧の建物が混在する独自の街づくりが展開されていました。

 新2回生の皆さんには、大阪の郊外と都心部の景観や暮らしのあり方の違いを、自らの足で歩き体感してもらいました。(3回生:田邉)

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