センターのミッション

センターのミッション注1

秋田 成司(大阪公立大学副学長・アドミッションセンター長)

 

センターの設置

2022年4月に開学した大阪公立大学は文系・理系・医療系まで幅広く学ぶことができる1学域・11学部、大学院では15研究科を擁する日本で最大規模の公立大学です。多様な価値観・視点を持った学生が集い学ぶ環境が整っています。本学での学びを希望する方々を各学部・学域・研究科のアドミッション・ポリシーに従って受け入れるにあたり、それぞれの入学者選抜試験の基本方針等を審議・決定し、具体的な方策を実施するために入試推進本部が設置されています。

 

センター設置の背景

今後の本学の入学者選抜を考える上で現在の大学入試を取り巻く社会的情勢とそれに対する課題は何かを考えることは非常に重要です。例えば、情報ネットワーク社会の進展にともなう情報のグローバル化、高性能な人工知能の出現、18歳人口の減少等、大きな社会変動の中にあり、このような状況下で自ら問題を発見し、答えを生み出し、新たな価値を創造する力が重要になっています。このため、入学者選抜においては、「知識・技能」に加えて「思考力・判断力・表現力等」「主体的に学習に取り組む態度」といったいわゆる「学力の3要素」を踏まえた選抜の実施が求められています。さらに、従来のいわゆる一点刻みの評価でなく総合的に受験生の能力を評価することで多様な学生の受入れ方法の改革が求められています。

 

これに対応するため、従来の一般選抜に加え、高等学校から優秀な生徒を推薦する学校推薦型選抜やアドミッション・ポリシーと学生とのマッチングを見るため、時間をかけ丁寧に選考することを目的とした総合型選抜の実施が求められています。例えば国立大学全体でこれら特別選抜による入学者の割合を3割とすることを目標として入試改革が進められています。また、2025年度入試では上記のような社会情勢を生き抜く力の教育に軸足を置いたいわゆる「新学習指導要領」を経た高校生に対応した入学者選抜の実施・検討が必須です。

 

センターの目的

この様な背景のもと、本学においても多様な能力や個性を持つ志願者の学修に対する意欲や能力、適性などを学力の3要素の評価を基に多面的・総合的に評価し、アドミッション・ポリシーに合致した学生を広く受け入れたいと考えています。また、海外から本学へ学びの場を求める方々や社会人として活躍しながら学びの意欲のある方々に対しても、より一層門戸を開いて行こうと考えています。そのためには、入学者選抜の現状や将来を見据えた分析や、それに基づく新しい評価方法の開発、全学的な方針も必要となってきます。さらには選抜結果の検証およびアドミッション・ポリシーと選抜の整合性の点検、また、それを基にした入学者選抜の改善など入学者選抜に関するPDCAサイクルを継続して回し、より良い入学者選抜を実施していくことが必須です。

 

そこで本学では、開学と同時にアドミッションセンター(以下、本センター)を新設いたしました。本センターでは入学者選抜に関する研究、調査、企画等の業務を行うとともに、各学部・学域・研究科で実施する入学者選抜を専門的立場から支援し、本学の教育研究の充実発展に寄与することを目的としています(大阪公立大学アドミッションセンター規程)。

 

センターの役割

以下、本センターの役割について詳しく見ていきます。本センターの役割は基本的に3つに分けることができます。

1つ目は前述の様な社会からの要請に応える新しい入試の企画・立案です。各募集単位のアドミッション・ポリシーを基に制度設計の支援を行います。例えば学校推薦型選抜や総合型選抜における「学力の3要素」を多面的・総合的に評価する入試の提案や具体的な評価方法、新学習指導要領への対応支援、ネットワークを利用した入試の実施など新しい入試のあり方について提案していきます。さらに、入試担当者への先進事例や問題作成等の研修および高大接続改革に関するシンポジウムなどの企画立案を行っていきます。

 

2つ目は入学者選抜におけるPDCAサイクルを回すうえで非常に重要となる調査・分析です。全学の選抜結果の検証および入学者の追跡調査、それを基にした改善方策の提案、アドミッション・ポリシーとの整合性の点検、および学部・学域の入学者選抜のアセスメントの支援を行っていきます。また、大阪府立大学、大阪市立大学からの変化を読み解くことも重要な課題の一つであり、在校生の追跡調査も継続して行っていきます。

 

3つ目は入試広報活動に関するものです。効率的な入試広報には詳細な全学の志願者動向の分析に加え、高校訪問などを通した進路指導現場のニーズ把握などが重要です。これらを基にした学生募集広報活動の企画・立案を行い、全学だけでなく各学部・学域の広報活動の指針を与えます。

 

注1:本稿は「大阪公立大学アドミッションセンター年報」第12022年度, p.3p.4に掲載された「大阪公立大学アドミッションセンター年報発刊に寄せて」を一部編集して転載しています。