お知らせ
2025年7月4日
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賀茂川支流貴船川に同所的に生息するミツトゲマダラカゲロウの遺伝的二型についての論文がAquatic Insects誌にて公開されました(2025年7月3日)
貴船川に生息するミツトゲマダラカゲロウDrunella trispina (Uéno, 1928)(カゲロウ目:マダラカゲロウ科)の遺伝的構成を調べたところ、2つの異なる遺伝系統が共存し、ほとんど交雑が見られないことが示されました。(Hamamura et al. 2025, Aquatic Insects, https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/01650424.2025.2505721)
2024年に報告した日本産トゲマダラカゲロウ属のcox1遺伝子系統解析の結果から、ミツトゲマダラカゲロウには、生息場によって異なる二系統(形態的に識別されない)が存在することが知られていました(Wakimura et al. 2024, Systematics and Biodiversity, https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/14772000.2024.2383214)。
今回の研究で、ミツトゲマダラカゲロウの二型は、一方が源流~上流を好む個体群、もう一方は上流~中流域に見られる個体群とされましたが、これらは貴船川では共存していることが分かりました。貴船川では、約60年前ごろから砂防ダムの設置が進み、源流型河川域の中に、局所的に中流域環境が成立しています。このような領域に、上中流域を好む個体群の侵入が起こりつつあることを示唆する結果と考えられます。