研究内容 (Kameo Group)
触媒作用の学理の追求
人類がこれからも発展していくためには、“触媒” の力が極めて重要です。皆さんの身の回りにある化成品の約 85%は、触媒を使って作られています。環境にやさしく、より高性能な材料を生み出すためには、新しい触媒の開発が欠かせません。では、良い触媒はどうすれば作れるのでしょうか?そのための大切なポイントは、触媒と反応する分子との間でどんな相互作用が起きているかを理解することです。相互作用をしっかり理解できれば、分子レベルで触媒をデザインし、今までにない反応を作り出すことができます。私たちの研究室では、遷移金属と分子のあいだで生じる 新しいタイプの相互作用に注目しています。独自に設計した金属錯体を合成し、その相互作用を利用した効率的な化学反応やリサイクルに役立つ触媒の開発に挑戦しています。
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ケイ素資源循環への貢献を目指して
ケイ素は地殻中に豊富に存在し、低毒性かつ低環境負荷であることから、持続可能な材料科学を支える中核元素として注目されています。とりわけ有機ケイ素化合物は、無機的性質と有機的性質を併せ持つユニークな特性を有し、光・電子材料、高耐久性樹脂、医農薬中間体、電池電解質、エネルギー材料など、極めて幅広い分野で利用されています。これらの機能性材料の基盤骨格を形成するケイ素–酸素結合やケイ素–フッ素結合は、高い安定性を材料に付与する一方で、その強固さゆえに選択的な変換は容易ではありません。しかし、これらの結合を触媒的に変換することが可能となれば、ケイ素材料の合成効率を飛躍的に向上させるのみならず、使用後材料の再資源化やリサイクルといった新たな展開も期待できます。我々の研究グループでは、ケイ素–酸素結合およびケイ素–フッ素結合を切断する独自の触媒技術を蓄積してきました。本研究では、これらの知見を基盤として、ケイ素資源循環に資する新たな触媒反応の創出を目指しています。
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