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2026年2月22日

ブラリナトガリネズミからの新規パラヘニパウイルス発見に関する論文が公開されました! Our paper about a novel parahenipavirus has been published!

ブラリナトガリネズミからの新規パラヘニパウイルス発見に関する論文が公開されました!
Our paper about a novel parahenipavirus has been published!

Detection of a Novel Parahenipavirus From Northern Short-Tailed Shrews (Blarina brevicauda [Say, 1823])
Sakiho Imai, Mai Kishimoto, Masayuki Horie
https://doi.org/10.1111/1348-0421.70043

パラミクソウイルス科に属するパラヘニパウイルスは、主にトガリネズミやげっ歯類を自然宿主とするウイルスです。近年、このグループに含まれる一部のウイルスがヒトに感染し、発熱などの疾患を引き起こす新興感染症の原因として報告されるなど、公衆衛生上の新たな脅威として非常に注目を集めています。しかし、パラヘニパウイルスの世界的な分布や、自然界の野生動物におけるウイルスの多様性については、依然として未解明な部分が多く残されていました。

本研究では、公共のデータベース上の膨大な遺伝子データを活用し、網羅的なウイルスの探索・解析を実施しました。その結果、北米固有のトガリネズミの一種であるブラリナトガリネズミ(Blarina brevicauda)のデータから、これまで報告されていない新種のパラヘニパウイルスを検出しました。さらに、トガリネズミとパラヘニパウイルスがはるか昔より共生していた可能性が示唆されました。

本研究により、ヒトに疾患を引き起こす可能性のあるパラヘニパウイルスが、多様なトガリネズミに存在している可能性が強く示唆されました。新興人獣共通感染症対策や今後の感染リスクを評価する上で、野生の小型哺乳類における本ウイルスの継続的な疫学調査、さらにトガリネズミにおけるウイルス探索がいかに重要であるかを改めて示すことができました。

なお、本論文のプレプリント公開後、外国の研究グループから同じデータを用いたウイルスの発見についての論文がEmerging Infecious Diseases誌に出版されました。しかし、その論文ではヘンドラウイルスやニパウイルス等、ヒトで極めて致死率の高いウイルスが属する「へニパウイルス」であると記載され、「パンデミックの新たな脅威か」と一部海外メディア等で大きく報道され話題を呼びました。しかし、私たちのプレプリント・論文に記載されているとおり、さらには直近の専門家らにも指摘されているとおり、「パラ」ヘニパウイルスは致死率の高いニパウイルスとは分類上もウイルス学上も明確に区別されるものであり、不正確な報告は過剰な不安を煽る可能性があります。本研究の過程において、私たちも当初はヘニパウイルスであると考え解析を進めていました。しかし、詳細な系統樹解析や最新の分類情報を慎重に検討した結果、パラヘニパウイルスとして正確に同定するに至りました。私たちは今後も、単なる話題性にとらわれることなく、科学的根拠に基づく厳密な解析と誠実な情報発信に努めてまいります。

なお、卒業生である今井さんがファーストオーサーです(学部時代の仕事)。