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2026年7月8日
鳥類の新規ヘパシウイルス発見に関する論文が公開されました! Our paper about novel avian hepaciviruses has been published!
鳥類の新規ヘパシウイルス発見に関する論文が公開されました!
Our paper about novel avian hepaciviruses has been published!
Identification of novel hepaciviruses in rock pigeon (Columba livia [Gmelin, 1789]), rusty-margined flycatcher (Myiozetetes cayanensis [Linnaeus, 1766]), and Hispaniolan amazon (Amazona ventralis [Statius Muller, 1776])
Sae Kawano, Mai Kishimoto, Sakiho Imai, Tomohisa Tanaka, Kohji Moriishi, Masayuki Horie
Archives of Virology, 171, Article number 222, 2026
https://doi.org/10.1007/s00705-026-06680-8
ヘパシウイルスは、フラビウイルス科に属するRNAウイルスの一群です。このグループには、ヒトに慢性肝炎〜肝がんを引き起こすC型肝炎ウイルスが含まれています。一方で、近年の網羅的な遺伝子解析により、哺乳類だけでなく鳥類からも多様なヘパシウイルスが発見されつつあります。しかし、鳥類ヘパシウイルスについては、これまでに報告されているウイルスが限られており、その多様性や進化の歴史については未解明な点が多く残されていました。
本研究では、公共データベースに登録されている鳥類のRNA-seqデータを活用し、ヘパシウイルス様配列の網羅的な探索を行いました。その結果、ドバト(Columba livia)、キバラヒタキモドキ(Myiozetetes cayanensis)、およびミミグロボウシインコ(Amazona ventralis)のデータから、3種の新規ヘパシウイルスを同定しました。これらのウイルスは、それぞれ rock pigeon hepacivirus(RpHV)、rusty-margined flycatcher hepacivirus(RfHV)、Hispaniolan amazon hepacivirus(HaHV)と命名されました。
さらに、本研究では、同定された新規ウイルスと既知のヘパシウイルスとの関係を詳細に解析しました。その結果、鳥類由来のヘパシウイルスは単系統である(一つのまとまった系統を形成する)一方で、ウイルスの系統関係と宿主である鳥類の系統関係は必ずしも一致しないことが示されました。このことは、鳥類ヘパシウイルスの進化の過程で、異なる鳥類間での宿主転換、すなわち過去の種間伝播が起きていた可能性を示唆しています。
また、RfHVとHaHVについては、国際ウイルス分類委員会(ICTV)の種判定基準の一部を満たさず、明確に別種と判定されない点もありました。しかし、両者の全ゲノム配列は大きく異なり、さらに宿主鳥類が目レベルで異なると考えられることから、鳥類ヘパシウイルスの分類については、今後さらに多くのウイルス情報を蓄積したうえで慎重に検討していく必要があると考えられます。
本研究により、鳥類にはこれまで認識されていた以上に多様なヘパシウイルスが存在する可能性が示されました。公共データベースに蓄積されたRNA-seqデータを活用することで、野外サンプルを新たに採取することなく、未発見のウイルス多様性を明らかにできることも改めて示されました。今後、さらに幅広い鳥類種や地域のデータを解析することで、ヘパシウイルスの宿主域、進化、種間伝播の実態がより詳しく明らかになることが期待されます。
本論文の筆頭著者は卒業生の川野さんです。