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2025年5月29日
新規ハトガンマコロナウイルスに関するプレプリントを公開しました!A new preprint about pigeon gammacoronavirus is now open!
公共データベースの探索による新規ハトコロナウイルスの発見に関するプレプリントをbioRxivにて公開しました。
Detection and genetic characterization of pigeon gammacoronavirus
Hiroko Kobayashi, Mai Kishimoto, Sakiho Imai, Yasuko Orba, Hirofumi Sawa, Masayuki Horie
https://doi.org/10.1101/2025.05.22.655467
本研究では、公共RNA-seqデータの網羅的な検索・解析を通じて、ハトガンマコロナウイルスのほぼ完全長ゲノム配列を決定し、そのゲノムの特徴を詳細に解析しました。
ハトガンマコロナウイルスは、これまで欧州や中国でその存在が報告されていましたが、得られていたゲノム情報は部分的な配列に限られていました。本研究は、公共データベースに登録されたRNA-seqデータを活用することにより、このウイルスのほぼ完全長に相当するゲノム配列を初めて決定したものです。
ゲノム解析の結果、本研究で配列決定したハトガンマコロナウイルスは、ガンマコロナウイルス属の他の近縁ウイルスでは保存されているORF3遺伝子を欠損していることが明らかになりました。さらに、複数のハトガンマコロナウイルス間でゲノム構造に多様性が存在することも示されました。
これらの解析結果と国際ウイルス分類委員会(ICTV)の分類基準に基づき、本ウイルスをガンマコロナウイルス属イガコウイルス亜属に属する新種として提唱しました。
本研究で得られた知見は、コロナウイルスの多様性に関する理解を深めるうえで重要な貢献をすると考えられます。また、本研究の成果は、公共データを活用することで、部分的な配列情報しか存在しなかったウイルスの(ほぼ)全長ゲノムを決定し、解析することの重要性を示しています。