研究内容(稲田)

植物アクチン脱重合因子の機能解析

細胞骨格の一種であるアクチン繊維は、細胞の形や伸長の制御、細胞内の物質輸送に働いています。アクチン繊維の機能は、アクチン繊維の構造や動態を制御するさまざまなアクチン結合タンパク質によって制御されており、アクチン脱重合因子(ACTIN DEPOLYMERIZING FACTOR、ADF)はそのようなアクチン結合タンパク質の一つです。私たちの最近の研究によって、シロイヌナズナのADFは、病害応答や植物成長など、植物の様々な生理機能の制御に関わっていることがわかってきました。私たちは、ADFがどのようにしてそれらの多様な植物生理機能を制御しているのかを明らかにし、「病気に強く大きく育つ」植物を作るための研究を進めています。

230406_ADF

アクチン繊維の脱重合・切断を担うADFのシロイヌナズナ変異体はうどんこ病に対する抵抗性の亢進、植物サイズの増大など多様な表現型を示す。

細胞内温度イメージングによる細胞応答機構の解析

温度は生物にとって非常に重要な物理量ですが、細胞という非常に狭い空間における温度分布や温度変化についてはあまりわかっていません。私たちは、新しく開発した蛍光温度イメージングの技術を使って、温度という新しい観点から細胞の応答、環境応答の機構を理解する研究を進めています。

図3INADAs panel

蛍光温度イメージングによる動物培養細胞内の温度分布。