日本社会の課題
10年間の推移が示す日本社会の課題
「ここに居たいと思う社会」は「産み育てたいと思う社会」の基盤です。「出生数」は、約100万人から約68万人へと大幅に減少しています。「不登校者数」は、特に小学生・中学生で急増しています。出生数が減少している一方で、不登校者数が増加していることは、子どもたちの生きづらさが高まっている可能性を示しています。「自殺者数」は2万人前後で高止まりしており、さらに中学生・高校生の自殺者数は増加傾向が続いています。
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出生数※1 |
不登校者数※2 |
自殺者数※1 |
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小学校 |
中学校 |
高校 |
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2015年 |
1,005,721 |
27,583 |
98,408 |
49,563 |
23,152 |
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2016年 |
977,242 |
30,448 |
103,235 |
48,565 |
21,021 |
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2017年 |
946,146 |
35,032 |
108,999 |
49,643 |
20,468 |
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2018年 |
918,400 |
44,841 |
119,687 |
52,723 |
20,031 |
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2019年 |
865,239 |
53,350 |
127,922 |
50,100 |
19,425 |
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2020年 |
840,835 |
63,350 |
132,777 |
43,051 |
20,243 |
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2021年 |
811,622 |
81,498 |
163,442 |
50,985 |
20,291 |
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2022年 |
770,759 |
105,112 |
193,936 |
60,575 |
21,252 |
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2023年 |
727,288 |
130,370 |
216,112 |
68,770 |
21,037 |
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2024年 |
686,173 |
137,704 |
216,266 |
67,782 |
19,608 |
※1人口動態調査(人口動態統計 確定数 出生、死亡)、※2児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査
世界幸福度ランキングが示す日本社会の「人生選択の自由度」の低さ
国連の世界幸福度ランキング2026において、147か国中、日本は61位となっています。特に、「健康寿命」は世界2位と高い水準にある一方で、「人生選択の自由度(人生で何をするか選択の自由があるか)」は85位と極めて低い水準にあります。
The World Happiness Report dashboard
社会的価値観と社会規範
- 社会的価値観(Social Values)
社会的価値観とは、社会において望ましいとされる考え方や信念のことです。社会的価値観は、時代の変化に応じて変容します。
近年では、ジェンダー平等・公平性、包摂(インクルージョン)、自己決定、多様性(ダイバーシティ)、多文化共生などが重要な社会的価値観として重視されています。これらの価値観は、「誰一人取り残さない社会」の実現を支える基盤となっています。
- 社会規範(Social Norms)
社会規範とは、社会において「当たり前」とされる行動やふるまいの基準のことです。社会規範は、社会的価値観を具体的な行動として表現するとともに、社会における協力や秩序の維持に寄与します。
一方で、社会的価値観が変化した場合でも、既存の社会規範は地域社会や組織、家族などの社会的関係の中で維持・再生産されるため、変化には時間を要することがあります。
「現代の社会的価値観」と「既存の社会規範」とのミスマッチ
現代社会では、包摂や自己決定など、「誰一人取り残さない社会」の実現を支える価値観が重視されています。しかし、固定的な性別役割意識、同質性・均一性(「普通」「標準」)の重視、強さや忍耐の美化、失敗への厳しさといった既存の社会規範との間にはギャップが生じている場合があります。「現代の社会的価値観」と「既存の社会規範」とのミスマッチは、社会に対する閉塞感や生きづらさにつながる可能性があります。
- ミスマッチの具体例
- 固定的な性別役割意識
既存の社会規範では、性別によって進路や就労、家事・育児・介護などの役割、さらには家族形成のあり方までが固定的に捉えられることがあります。その結果、自分自身の希望よりも性別に基づく期待が優先され、生き方に関する自己決定が制約される可能性があります。
- 同質性・均一性(「普通」「標準」)の重視
既存の社会規範では、「普通」や「標準」とされる枠組みに適合することが重視される傾向があります。その結果、その枠組みに当てはまらない人が排除されたり、生きづらさを感じたりすることがあります。また、「普通はこうあるべき」という外部からの期待が優先されることで、自己決定の機会が制約される場合があります。
- 強さや忍耐の美化
既存の社会規範では、「強くあること」や「我慢すること」が重視される傾向があります。その結果、弱さや脆さを抱える人が支援を求めにくくなったり、困難を一人で抱え込んだりすることがあります。
https://doi.org/10.1146/annurev-psych-033020-013319
社会規範(ジェンダー規範)とメンタルヘルス
日本の高齢者を対象とした大規模研究において、「地域のジェンダー規範が保守的だと感じている」人は、そうでない人と比較して、うつ症状、自殺念慮、自殺未遂歴などのリスクが高いことが示されています。
- この研究では、「住んでいる地域の人は『男のくせに』『女なんだから』といった男女を区別する言葉をよく使っているか」という質問に、「そう思う」「どちらかと言えばそう思う」と答えた人を「地域のジェンダー規範が保守的だと感じている」と定義しています。
- 主要な結果は以下のとおりです。これらの結果は、地域における固定的なジェンダー規範が、個人の行動やメンタルヘルスに深刻な影響を及ぼすことを示唆しています。
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- 助けを求める際の心理的抵抗 男性:1.4倍 / 女性:1.4倍
- うつ症状 男性:1.9倍 / 女性:1.8倍
- 自殺念慮 男性:2.0倍 / 女性:2.1倍
- 自殺未遂歴 男性:2.2倍 / 女性:2.6倍
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(Int Psychogeriatr, 2024) https://doi.org/10.1017/S104161022300087X