新着論文
2025年3月17日
【New publication】レアアース不要・安全・低コスト!「カーボンドット」を用いた次世代内視鏡向けの透明ガラス蛍光体の作製に成功!

従来、医療用内視鏡の先端に組み込まれる高輝度な白色光源(蛍光体)には、「レアアース(希土類)」を含む材料が使われてきました。しかし、レアアースは非常に高価であるだけでなく、製造に1000℃を超える高温が必要であり、人体や環境への毒性の懸念もあるため、より安全で低コストな代替材料の開発が強く求められていました。
本研究では、毒性がなく生体適合性に優れた「カーボンドット(炭素からなるナノサイズの光る粒子)」に着目し、これをシリカガラスの中に均一に分散させた新しい透明蛍光体の作製に成功しました。

通常のガラス製造プロセスでは高温のためカーボンドットが壊れてしまいますが、室温付近でガラスを合成できる「ゾル-ゲル法」を用いることでこの問題をクリアしました。さらに、カーボンドットを混ぜることでガラスの乾燥時の「ひび割れ(クラック)」を防ぐ効果があることも発見し、数センチメートル規模の好きな形状(内視鏡の先端に収まる細いロッド状など)の透明なガラスを簡単に作ることにも成功しています。

作製した透明ガラス蛍光体に青色LEDやレーザー光を当てると、内視鏡での観察に最適な明るい「白色光」へと効率よく変換されます。レアアースを使わず、環境負荷も少ない(サステナブルな)画期的なアプローチです。
本研究成果は、より安全で高性能な次世代内視鏡の開発に直結するだけでなく、今後はプロジェクターや自動車のヘッドライトなど、さまざまな強力な光源デバイスへの幅広い応用が期待されます。
本成果は、社会人ドクターの岩林氏を筆頭著者とし、富士色素株式会社との共同研究により得られたものです。
[論文情報]
Hirohisa Iwabayashi, Kenji Okada, Arisa Fukatsu, Kazumasa Suzuki, Ryohei Mori, Masahide Takahashi
Carbon Dot-Doped Silica Xerogel Phosphors Excited by Blue LEDs and LDs for the Brilliant White Lighting of Endoscope Tips.
Advanced Materials Interfaces (2025).
https://doi.org/10.1002/admi.202401015