新着論文

2026年8月28日

【New publication】高い柔軟性を示す「多孔質MOFガラス繊維」の作製に成功!〜ナノベルトの精密複合化による新しい紡糸技術〜

MOFglass_alooh

内部に無数の孔を持つ「金属有機構造体(MOF)」を加熱・冷却して作る「MOFガラス」は、優れたガス吸着・分離材料として注目されています。しかし、溶融状態のMOFは粘度が高くネットワーク構造が硬いため、一般的なガラスのように細長く引き伸ばす「繊維化(紡糸)」は極めて困難でした。

本研究では、MOFZIF-62)の結晶合成時に、一次元形状の水酸化アルミニウム(γ-AlOOH)ナノベルトをわずか1重量%だけ均一に組み込む手法を開発し、MOFガラスの飛躍的な紡糸性の向上に成功しました。高温での引き伸ばし時にナノベルトが一方向に整列して応力を緩和するとともに、ナノベルトとMOF間の強固な水素結合が液体の構造を安定化させることが繊維化の鍵となっています。

作製した太さ70マイクロメートルのMOFガラス繊維は、従来のバルク状MOFガラスの弱点であった「脆さ」を克服し、曲げても折れずに元に戻る高い柔軟性を示しました。また、MOF本来の優れた二酸化炭素(CO2)吸着能も完全に維持されています。

本成果により、柔軟で機械的強度に優れた高性能なガス分離フィルターや、多孔質ガラスウール断熱材、さらには複雑な3Dプリント多孔質構造体など、新たな機能性デバイスへの幅広い応用が期待されます。

 

[論文情報] Yusuke Ito, Kenji Okada, Arisa Fukatsu, Masahide Takahashi
Structural Engineering of Spinnable MOF Glasses via Shear-Induced Alignment of Embedded Metal-Hydroxide Nanobelts.
Precision Chemistry (2026).
https://doi.org/10.1021/prechem.6c00098