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2026年9月11日

  • 職員

災害支援ナースとして被災地へ―熊本地震の現場で見えた支援のかたち―

地震や豪雨などの大規模災害が発生した際、避難所や被災地で被災者の健康を支える「災害支援ナース」。災害支援ナースは、日本看護協会が定める研修を修了した看護師で、被災地ではけがや病気への対応だけでなく、避難生活による体調不良の予防や心のケアなど、さまざまな支援を担います。今回は、令和8年熊本地震の被災地へ派遣された医学部附属病院看護部の看護師お二人に、災害支援ナースになったきっかけや現地での活動、今後の目標について話を聞きました。

大阪公立大学医学部附属病院看護部 Mさん、Wさんの写真
大阪公立大学医学部附属病院看護部 Mさん(左)、Wさん(右)

「困っている人の力になりたい」 災害支援ナースを目指したきっかけ

Q. まず、看護師を目指したきっかけを教えてください。

Mさん

2011年の東日本大震災がきっかけです。避難所で活動する看護師の方の姿をテレビで見て、「有事の際に役に立てる人になりたい」と思い、看護師を目指しました。

Wさん

人の役に立つ仕事がしたいという思いと、身近に看護を学べる環境があったことがきっかけです。

Q. 災害支援ナースはどのような役割を担うのでしょうか。

Wさん

災害時には、被災地の医療従事者自身も被災者になります。そのため不足する人員を補ったり、避難所で医療的な支援が必要な方を見つけたりすることが大切な役割です。

Mさん

避難所での健康管理や災害関連死を防ぐ役割もあります。DMATが急性期を担うのに対し、災害支援ナースは避難所や医療機関で比較的長期間にわたって活動します。

Mさんの写真

Q. 災害支援ナースの資格取得を目指した理由は。

Mさん

若手の頃に上司から制度を紹介されたのがきっかけです。臨床経験を積んだら挑戦したいと思い、研修を受講しました。

Wさん

南海トラフ地震への備えの必要性が言われる中、学生時代から災害看護に関心がありました。何か自分にできることを身につけたいと思ったのが、資格取得を目指した理由です。

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熊本地震の現場で感じたこと 被災地での活動と課題

Q. 今回の派遣先ではどのような活動を行いましたか。

Mさん

私は8月9日から12日まで、八代市内の避難所で活動しました。災害支援ナースには決められた業務があるわけではなく、その場の状況に応じて必要な支援を考えながら行動します。
健康相談室を設置し、血圧測定や体調相談に対応したほか、新型コロナウイルス感染者への感染対策も実施しました。足のむくみや血栓症予防が必要な方への支援も行いました。

Wさん

私は8月24日から27日まで、日奈久小学校の避難所で活動しました。避難者の健康観察や見守りに加え、要介護高齢者の支援や熱中症が疑われる方への対応などを行いました。

新型コロナウイルス感染者用のスペース
新型コロナウイルス感染者用のスペース

Q. 被災地で対応が難しかったことはありましたか。

Wさん

避難所生活が1か月近く続いており、すでに避難所内の生活スタイルが出来上がっていました。感染対策の面では、パーティション付きの段ボールベッドを活用した方が良いと感じる場面もありましたが、「顔が見える方が安心する」という理由から、あえて段ボールベッドを使用しない方もいらっしゃいました。安全面や衛生面への配慮と、地域のつながりや避難者の希望をどのように両立させるか。その人らしい生活を尊重しながら支援することの難しさを感じました。

Mさん

病院では当たり前にできる処置でも、避難所では工夫が必要でした。例えば排便ケアを行う際は、プライバシーを確保できる場所を探し、備品の代用品を使いながら対応しました。限られた環境で安全にケアを行う難しさを実感しました。

Q. 印象に残っている出来事を教えてください。

Mさん

入浴ができず困っていた方のシャワー介助を行った際、「久しぶりに入れた。ありがとう」と感謝の言葉をいただきました。少しでも役に立てたと感じた瞬間でした。

Wさん

避難所を運営されていた自治体職員の方から、「医療職がいてくれるだけで安心できる」と言っていただいたことですね。避難者だけでなく、運営スタッフの支えにもなれているのだな、と思いました。

避難所内のシャワー施設
避難所内のシャワー施設

経験を次につなげるために 今後の目標

Q. 今回の経験を今後の看護にどう生かしたいですか。

Mさん

避難所では、病院の患者さんではなく、地域で生活する方々と看護を通して関わることができました。退院支援や他職種連携の重要性を改めて実感したので、日々の看護にも生かしていきたいです。

Wさん

避難所でも病院でも、「その人が自分らしく生活を続けられるよう支援する」という考え方は共通していると感じました。退院後の生活を見据えた支援につなげていきたいです。

Q. 今後の目標を教えてください。

Mさん

今回の経験で終わらせず、研修などにも積極的に参加して知識や判断力を高めていきたいと思っています。

Wさん

避難所では血栓予防など、普段の業務ではあまり触れない分野の知識の大切さを学びました。これを機に新しい分野も勉強していきたいです。

Q. 災害支援ナースを目指す後輩へのメッセージをお願いします。

Mさん

私自身、病棟経験しかなく不安もありましたが、実際に活動してみると普段の看護業務で培った知識や経験が生かせました。日々の看護の延長線上に災害支援があります。自分らしく臨んでください。

Wさん

災害支援は特別な人だけが行うものではありません。研修では実際の災害時に何が起こるのかを学ぶことができ、視野も広がります。少しでも関心があれば、ぜひ一歩を踏み出してみてください。

※ 所属は取材当時