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2024年4月1日

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ライブラリートーク!石川 雅之さん(『もやしもん』作者)×大木 理教授(生命環境科学域)

※本記事は、大阪府立大学Webマガジン「ミチテイク・プラス」(2015年6月5日公開記事)から転載しています。掲載されている情報は公開当時のものです。

写真:会場とイベント告知のボード

2015年4月24日(金)、図書館が主催する新入生向けシリーズ企画「Library Month」の一企画として、人気漫画『もやしもん』の作者・石川雅之さんによるトークイベントが後援会の協力のもと図書館ロビーにて行なわれました。石川さんと講談社編集の三村さん、そして植物ウイルスの研究者で本学の生命環境科学域長でもある大木 理教授による3人が登壇され、たくさんの楽しいお話をお伺いできました。

写真:登壇者3名

中百舌鳥キャンパスのすぐ近く(徒歩10分とおっしゃっていました!)にご実家のある石川さん。白鷺駅に行くときはいつもキャンパスを通り抜けたりなど、幼少のころから中百舌鳥キャンパスに親しんでいたそうです。

そんな石川さんと、『もやしもん』の学術的要素を高く評価し、この作品を「参考書」として蔵書に加える事を図書館に働きかけた大木先生(図書館に初めてマンガが参考書として置かれたそうです!)という、ご縁あるお2人によるトークイベント。会場には開演30分前から溢れる期待感と共に徐々に人が集まり、開演時間にはたくさんの学生・教職員が詰め掛けました。

写真:石川さん
写真:大木教授

写真:トークに聞き入る観客

『もやしもん』は、菌が見える主人公の大学生・沢木 惣右衛門直保(さわきそうえもんただやす)が、某農業大学を舞台に様々な個性的なキャラクターとともに菌や醗酵を学びながら、活力ある学生生活を繰り広げる農業系物語です。

もやしもんイラスト

この作品の舞台である「某農大」については、「東京農大と大阪府立大学がモデルになっているらしい」という噂は常々耳にしており、コミックス第1巻に出てくるキャンパスマップでも「自給自足」と刻まれた石のモニュメントや高層の放射線実験棟など、府大生にはなんとなく既視感を感じるフォルムで描かれている構造物なども登場していて、とても親しみを感じることができる作品です。

嬉しい事にトークの中で石川さんは、「この物語の構想はこの中百舌鳥キャンパスでほぼすべて固まっていった」と教えてくださいました。「菌」をテーマにした漫画を書くという方向性が決まってから、朝から夜まで府大の図書館にこもり菌類の専門書を読み込んで専門知識を積み重ねる日々が続き、そして昼食はいつも生協食堂だったそうです。この食事の時に耳に入ってくる大学人(学生・教職員)のよもやま話がヒントとなって、「菌」と自主自律ある「学生生活」をテーマにした作品にしようという構想が固まっていったそうです。

「この場所が原点ですね」とご本人の口から聞けた時は、広報担当者としてとても嬉しい気分になりました。

写真:登壇者3名

また、コミックス第3巻にも登場した世界一臭いと言われているニシンの缶詰「シュールストレミング」。そのにおいの強さは納豆の約18倍と言われています!あまりにも強烈なにおいのため屋内で開けることを禁じられているこの最強の発酵食品を、石川さんが取材を兼ねて実際に開けてみたのはなんと深夜の白鷺門前だったというエピソードも登場。缶が固くて缶切りが壊れ、釘と金づちで開けたところ残念ながら汁をかぶってしまったなど、作品と本学との意外な縁に参加者からも笑いがこぼれました。

もちろん、府大だけでなく堺との縁も深い石川さん。5年ほど前に東京に居を移されましたが、今でも地元との関わりは強くあるそうで、この中百舌鳥周辺の伝統的祭礼・ふとん太鼓のお祭りには帰ってこられることも多いそうです。

写真:談笑する大木教授と石川さん

続いて、会場からは登場人物のファッションについても質問が寄せられましたが、作者の思いとしては流行や時流に影響されて経年劣化しないものにしたかったという事で、ボンテージなどの個性的なファッションに設定したそうです。などなど、ご紹介したいエピソードはまだまだたくさんありますが、そろそろ ページが終わりに近づいてきました(笑)。

最後に石川さんは、漫画家として作品を創る際に意識している点として、「1つのテーマを扱っていると、別の業種(テーマ)の事を知らないといけなくなる。興味を持って領域を拡げていく事はとても重要」ということと、「専門書はとにかく難しい内容を難しく書いている。それを読み解いて自分的に『こうい うことか』と、腑に落としたことを分かりやすく書いて世に出そうと思い作品を創っている」とまとめられたことが、広報担当者の強い印象に残りました。アカデミックの世界で過ごしている学生にも大切なエッセンスとして届いたことと思います。

写真:話しをする石川さんと聞く大木教授

そんな楽しく、熱気あふるる時間の中、学生にたくさんの刺激を与えてくださった石川さんと大木先生、そして講談社の三村さん。今回は貴重なお時間を割いていただき、本当にありがとうございました。また堺に、府大に、お越しいただける機会を楽しみにしております。

最後に、作品中で広報担当者が最も学生におススメしたいフレーズは、コミックス第12巻に出てくる「転機」についての議論で、「実は毎日ってのはつながってっからいきなり変わったりしない。だから転機を期待してそれを待たなくても、いつだってやりたい事をやればいい」というやりとりです。光陰矢のごとし、このフレーズや『もやしもん』を読んだたくさんの学生が、躊躇することなく何かにチャレンジしてくれたらいいなと思います!

写真:話しをする石川さんと大木教授

参加した学生からも感想をいただきました!

筒井 ひかりさん(生命環境科学域4年)

私は『もやしもん』を読んで、菌が大好きな漫画家さんが書いているのだろうと思っていました。しかし実際はそうでなく、菌をテーマにした漫画を書くと決まってから府大の図書館で猛勉強したと聞き、非常に驚きました。府大の図書館と食堂がもやしもんの原点と聞いたときはなんだかうれしかったです。今回初めて知ったこともあれば、そんな話あったな!と懐かしむこともあったので、もう一度読み直したいと思いました。また、石川さんはとてもフランクな方で、漫画のこと以外にも様々なお話をしてくださり、あっという間に時間が過ぎてしまいました。お忙しい中、貴重なお話をしていただき、感謝の気持ちでいっぱいです。あり がとうございました。

阪下 七海さん(生命環境科学域4年)

小学生のころから愛読していたので、今回の対談はとても楽しみにしていました。『もやしもん』の中に出てくる微生物の専門的な知識から大学生のセリフまで、 府大の中から生まれてきたと聞いた時は、沢木たち登場人物と同じ舞台で学んでいるのかとちょっとワクワクしました。また、専門書は専門家が解るように書くから素人にはとても解りにくい、という話にとても共感しました。素人に向けた専門書の少ないことにがっくりした中高生時代が思い出されたと同時に、大学に入学し学びの入り口に立ったころの初心を忘れてはいけないなと思いました。

【取材:皆藤 昌利(広報課)】

おまけ:石川さんの好きな朝食はりんご。好きなお酒はワインと日本酒などの醸造酒だそうです!