概要

人文学学際研究センター(Humanities-based Interdisciplinary Research Center: HIRC)の理念

 大阪公立大学大学院文学研究科は、2025年4月1日、人文学学際研究センター(Humanities-based Interdisciplinary Research Center: HIRC)を開設しました。HIRCは、大阪公立大学森之宮キャンパスを拠点とし、人文学を主軸とした文理にわたる多彩な学問分野の融合を目指した学際的な研究を積極的に進めていきます。

 HIRCは2003年に設立された文学研究科都市文化研究センター(以下、UCRC)を発展的に改組する形で開設するものです。HIRCは、これまでの人文学のディシプリンに立脚しながら、他の学問分野と積極的に交流することで、本来の意味での「学際的研究」を目指していきたいと考えています。そのためには、UCRCで培われた財産を継承し、学内における多彩な研究科や、国内外の諸研究機関との協働関係を積極的に築きつつ、人間とその社会、歴史、心理、教育、思想や文化、多様な言語や文学、コミュニケ―ション等に関して、学際性・国際性を意識しつつ、様々な切り口と方法でアプローチ学術研究を追求していきます。
 HIRCは文学研究科内における研究・教育の支援や、関連する諸事業を牽引することを主たる目的としつつ、本学の他の多くの部局との連携の拠点組織となります。メンバーは文学研究科の専任教員、HIRC研究員、特別研究員(HIRC研究員との兼任も可)などによって構成され、若手研究者の研究活動に対する支援や、学際的研究、国際共同研究、地域連携等に取り組んでいきます。
 なお、学術誌『人文学学際研究』の刊行や、教員と研究員との共同事業(シンポジウム、調査研究)、各種のデータベースやアーカイブ構築などの基盤的な活動のほか、新たな研究領域とのパートナーシップを追求すべく、HIRC研究員制度を維持し、高度な学術交流のプラットフォームとしての活動を続けていきます。


人文学学際研究センター(HIRC)設立の経緯

 HIRCの前身である都市文化研究センター(UCRC)は、大阪市立大学大学院文学研究科が申請した21世紀COEプログラム「都市文化創造のための人文科学的研究」の採択(2002-07年)に伴い、研究・教育拠点の中核を担う場として2003年に設立されたものです。当時は、上海、北京、ハンブルク、ロンドン、バンコク、ジョグジャカルタにサブセンターを設置し、国際的な共同研究、教育、交流の拠点となりました。その取り組みは、5年間のうちに160点以上の刊行物、事業推進担当者、協力者、研究員(若手)による数百にわたる論文として結実しました。比較都市文化史、ツーリズム研究、文化資源論、知識人研究などをテーマに、都市に関する歴史的アプローチと現代文化論的視座の融合を試み、大きな成果を挙げました。
 2006年には、これまでの研究の蓄積を活かし、現代の様々な都市の諸問題に対して実践的に取り組む全学的組織、都市研究プラザが開設されました。同プラザのプロジェクトは2007年から始まったグローバルCOEプログラムに採択され、そのテーマ「文化創造と社会包摂に向けた都市の再構築」は、都市文化研究センターの21世紀COEプログラムを受け継ぐものとなりました。また2007年度より文学研究科が進める教育プロジェクト「インターナショナルスクール」が、文部科学省の「大学院教育改革支援プログラム」に採択され、UCRCの一部門として、若手研究者の国際発信力を向上させるための様々な支援事業を実施してきました。
 文学研究科の森之宮キャンパス移転に伴い、UCRCを舞台に展開してきたこれまでの活発な教育研究活動を全学的な規模でさらに展開させることを目指し、UCRCを発展的に解消するかたちでHIRCが設立されました。


所長挨拶

 人文学学際研究センター(HIRC)は、文学研究科の多くの専門分野の教員の研究をつなぎ、本学他部局、さらに国内外の諸機関との協働を推進し、人文学をつなぎ目とする学際研究のハブ拠点へと展開することをめざしています。
 「人間」とは何なのか、「人間」が形作ってきた歴史や社会、文化とは何なのか、それらの問いを通じ「人間」の本質を探る知的探究こそ、人文学にほかなりません。理工系を含めた学術研究あるいは技術開発を進めるのも、これらを今日の社会において用いていくのも人間であり、人文学はその存在意義が改めて問われているといえるでしょう。
 HIRC2025年度に発足しましたが、この2026年度は、専任教員を配置し、これに、専門分野に所属するとともにHIRCの仕事を担う両属教員7人を置き、実質的な出発をする年度となります。HIRCのめざす研究センターにむかって、どのような体制で、いかなる共同研究を展開していくのか、まずは新メンバーで議論し組織としての基盤を作っていく必要があると考えています。またそのためにも、そうした姿を打ち出す学際的イベントを模索し開催していく必要があるでしょう。運営のコアメンバーのみならず、文学研究科全体として、研究科の特色ある研究センターへと育てていくことが重要と考えています。

 

portrait_kishimoto岸本 直文(人文学学際研究センター所長)