業績

2025年10月22日

レントゲン画像のラベル誤りを検知するAIモデルの開発

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大規模なレントゲン画像データセットに含まれる撮影部位や撮影方向のラベル誤りを、高い精度で自動検知・修正する2つの深層学習モデルを開発しました。

論文

Deep learning models for radiography body-part classification and chest radiograph projection/orientation classification: a multi-institutional study

European Radiology

10.1007/s00330-025-12053-7

著者談

医療AIの開発や日々の診療において、画像に付与されたラベル情報は重要です。しかし、データが大規模になるにつれて、人為的な入力ミスなどによる誤ったラベルの混入は避けられません。今回私たちが開発した技術は、こうした誤りを自動で効率的に見つけ出すものです。このモデルを活用することで、医療データの質が保たれ、より信頼性の高いAI研究や安全な診療環境の構築に貢献できると考えています。

論文概要

近年、医療分野では人工知能(AI)の研究が盛んに行われており、学習に用いる画像データセットの大規模化が進んでいます。しかし、膨大なデータの中には、撮影された体の部位や画像の向きに関する情報(ラベル)が誤って登録されているケースが少なくありません。ラベルの誤りは、AIの学習効率を下げるだけでなく、臨床現場での混乱を招く可能性もあります。そこで本研究では、複数の医療機関から収集した大規模なデータを用いて、レントゲン画像の撮影部位と、胸部レントゲン画像の撮影方向や回転を自動的に判別する2つのモデルを開発し、その有用性を検証しました。

論文詳細

本研究では、合計86万枚以上のレントゲン画像を使用し、2種類の深層学習モデルを構築しました。1つ目のモデルは、画像を「頭部」「首」「胸部」「腹部」「骨盤」「四肢」など7つのカテゴリに分類するものです。2つ目のモデルは、胸部レントゲン画像について、撮影方向(背中からか、胸からか、横からか)と、画像の回転(上下左右の向き)を判別します。

学習に使用していない外部の施設データを用いて検証した結果、部位分類モデルは98.5%の正解率を達成しました。また、胸部画像のモデルにおいても、撮影方向の分類で98.5%、回転の分類では99.9%を超える高い正解率を示しました。性能の指標であるAUC(曲線下面積)は、ほぼすべての項目で0.99以上という結果が得られました。この技術により、大規模データベース内の誤った情報を効率的に修正できるため、今後の医学研究や診療業務の質向上に役立つことが期待されます。