両親の染色体統合のメカニズム解明

両親の染色体統合のメカニズム解明

受精とは、卵子に精子が進入した後に両親の染色体(DNA)が一つに統合される、極めて緻密なプロセスです。この「統合」にわずかでも異常が生じれば、受精卵の成長は止まり、新しい命へと繋がる道は閉ざされてしまいます。

当研究室では、受精卵のありのままの姿を捉えるライブセルイメージング技術と、現象の裏側に迫る分子生物学的な解析を武器に、以下の課題に挑んでいます。

  • 動態解析: 染色体統合の異常は、いつ、どのように発生するのか?
  • 運命追跡: 異常が生じた受精卵は、その後どのような経過をたどるのか?
  • 原因究明: エラーを誘発する根本的な要因(分子メカニズム)は何なのか?

私たちは、受精卵の中で起きている現象を一つずつ紐解くことで、染色体異常の発生を抑えるための技術基盤を構築し、生殖医療の発展に貢献することを目指しています。

これまでの研究により、「中心体」と呼ばれる細胞小器官が、両親の染色体を正しく出会わせるためのポイントであることが分かってきました。

受精卵には、精子から一つの中心体が持ち込まれます。中心体は微小管を形成し、その上をモータータンパク質(ダイニン)が移動することで両親の染色体を包む二つの核 (前核) が中心体に向かって引き寄せられ、両親の染色体が統合されます。この中心体の配置が、前核の接近と両親の染色体の統合に重要であることを明らかにしました。

研究成果1

Takada et al. Centrosomes regulate pronuclear apposition ensuring parental genome unification in cattle. Reproduction (2025)