7. 細菌芽胞の耐性メカニズムの解明と制御システムの開発

 芽胞(細菌胞子)は、全ての代謝を停止した休眠細胞であること、スポアコア内は極度の脱水状態であること、胞子の表層はコートタンパク質、外膜、ペプチドグリカンコルテックス、primordial germ cell wall、内膜などの多層構造で防護されていること、さらにスポアコア内にはDNA保護タンパク質である低分子酸化可溶性胞子タンパク質(small acid-soluble spore protein, SASP)やジピコリン酸(dipicolinic acid, DPA)を含有している点で栄養細胞とは著しく異なっています。

 Bacillus属の胞子は様々なストレス処理に対して栄養細胞とは比較にならないほどの高い耐性を示すことから、レトルト食品や缶コーヒーなどの食品製造分野では殺菌・保蔵など品質管理上で常に問題となっています。具体的には胞子は熱、紫外線、圧力、酸化剤や他のストレスに対して防御能力が高く、70-80℃程度の加熱処理では短時間で殺滅することはできません。

 微生物制御研究センターでは油など食品含有成分による耐性化促進現象や、過酢酸や食品乳化剤による殺胞子剤としての効果について、熱死滅効果や発芽機構への影響を含めて研究を進めています。

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