お知らせ
2025年4月1日
【新設のお知らせ】「超硫黄レドックス生命科学研究所」が始動しました
このたび大阪公立大学において、「超硫黄レドックス生命科学研究所(Institute for Supersulfide Redox Life Sciences)」が設立され、2025年4月1日より本格的に活動を開始いたしました。
■ 研究所設立の背景と目的
硫黄は、生命現象を支える不可欠な元素として、エネルギー代謝や酸化還元反応、シグナル伝達などに関与しています。近年、分子内に硫黄原子が複数連結した「超硫黄分子(supersulfides)」が生体内で酵素的に産生され、これまでの常識を覆すような多様な生理機能を担っていることが次々に明らかとなっています。
しかし、超硫黄分子は極めて不安定であり、詳細な構造解析や機能解明のためには高度な技術と研究基盤が求められます。
本研究所は、こうした最先端の超硫黄分子研究を総合的かつ分野横断的に推進し、基礎化学・基礎生物学の新知見の創出から、医療・創薬・食品・環境・エネルギーなど社会実装に向けた応用研究にまで展開することを目的としています。
■ 研究内容の概要
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超硫黄分子の合成と構造解析
安定化技術の開発と精密合成法を確立し、質量分析、NMR、ラマン分光、X線結晶構造解析などにより新たな分子構造の解明を進めます。 -
動態解析
オミックス解析技術を駆使し、動物・植物・微生物・ヒト臨床検体を対象に、生体内での超硫黄分子の存在様式と変動を網羅的に解析します。 -
生理機能の解明
細胞・組織・個体レベルでの抗酸化作用、タンパク質修飾、シグナル制御など、超硫黄分子の生体内機能を多角的に探ります。 -
応用研究(食品・医療・創薬)
神経変性疾患、がん、炎症性疾患などを対象としたバイオマーカー・創薬研究や、機能性食品の開発に取り組みます。 -
環境・エネルギー分野への応用
超硫黄分子の化学特性を活用し、触媒技術やバイオ燃料生成など、環境調和型技術の開発を目指します。
■ 研究所体制
研究所長:居原 秀(理学研究科 教授)
理学・農学・獣医学・医学各研究科の教員が参画し、国内外の研究者との連携体制も構築しています。
■ 今後の展望
超硫黄分子を軸とした学際的研究を通じて、生命科学の新たな地平を切り開くとともに、健康長寿社会の実現や環境負荷の低減、資源循環型社会の構築に貢献してまいります。
今後とも、皆さまのご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。
超硫黄レドックス生命科学研究所(Institute for Supersulfide Redox Life Sciences) HPリンク