お知らせ

2025年7月23日

2025年9月29日開催:第3回研究者交流会

第3回研究者交流会 日々の研究に新しい風を

本学は非常勤教員を合わせると3,000人を超える研究者が活躍する総合大学。カバーする研究分野が大変広いのが強みです。近い分野、遠い分野の研究者との気軽な対話が、日々の研究にきっと新鮮な風を送り込むことでしょう。新しい研究展開や共同研究チームの結成につながることも期待されます。

ポスター発表者が決定しました。たくさんのご応募ありがとうございました。
(2025年9月1日)

チラシダウンロード

日 時 2025年 9月29日(月) 13:30~17:30
場 所

大阪公立大学 中百舌鳥キャンパス 学術交流会館 多目的ホール・サロン

プログラム

  13:30~13:35 学術研究推進本部長挨拶  

  13:35~14:55 ポスターセッションⅠ <奇数番号の発表者>
         (ポスター前での3分間のプレゼンテーション+参加者との交流)

  14:55~16:15 ポスターセッションⅡ <偶数番号の発表者>
         (ポスター前での3分間のプレゼンテーション+参加者との交流)

  16:15~17:15 自由交流

  17:15~17:20 URAセンターより挨拶

参加者

大阪公立大学所属の学生、教職員 ※申込不要・出入り自由です。

共 催

大阪公立大学 URAセンター
大阪公立大学 女性研究者支援室

発表者一覧 (奇数番号:ポスターセッションⅠ、偶数番号:ポスターセッションⅡ)

番号 氏名・所属

テーマ・発表内容・キーワード

1

小牧 裕佳子
工学研究科(都市系専攻) 講師

テーマ : 安全な水道水の供給を目指してー消毒副生成物の毒性機構解明ー
水系感染症予防のための水道水消毒処理は、副次的に消毒副生成物という物質群を生成する。消毒副生成物のヒトへの曝露は幅広く生涯に渡り、膀胱がん・妊娠不良などの健康リスク増加に寄与すると疫学調査で示されている。我々は、疫学調査の事象を反映するエンドポイントを培養細胞系で構築することを目指し、細胞周期異常に注目し研究を進めている。
キーワード : 消毒副生成物、細胞周期、毒性
2

湊 聡美
生活科学部食栄養学科 特任助手

中岡 和代
リハビリテーション学研究科 講師

松田 幸恵
一般社団法人おやこみらい 代表理事

テーマ :こどものビタミンD欠乏・貧血と食行動-早期発見と効果的な栄養教育に向けた検討

こどもの栄養状態は発育発達や将来の健康に影響し、DOHaDの概念からも早期発見および栄養教育の重要性が示されています。私は女性やこどもを対象に基礎・臨床・疫学的研究を進めてきました。近年は香川県の国立病院機構の小児科で700組を対象に食生活調査と血中ビタミンD濃度測定を行い、こどもの簡易質問票の開発を進めています。今後は鉄欠乏性貧血にも注目し、こどもの食行動や発達、脳機能との関連を明らかにし、小児期からの食育・健康教育に資するエビデンスを創ることを目指しています。

キーワード : こども、発達、栄養

3

中村 めぐみ
リハビリテーション学研究科
(リハビリテーション学専攻) 助教

テーマ :自走する予防医療の実現-健康なライフスタイル評価尺度の国際的標準化の取り組みについて

健康なライフスタイルの包括的評価は予防医療の推進に重要である。我々は米国で開発された地域高齢者用の健康評価尺度Health Enhancement Lifestyle Profile: HELPを翻訳し妥当性を検討した。その結果,日本版では社会生活因子に独自の構造が見いだされた。この成果を踏まえ,本研究では日本文化に適したHELP尺度の再構築と,国際的に共通利用可能な標準化された尺度の開発を目指す。

キーワード : 健康なライフスタイル,予防医療,尺度開発

4

桝田 聖子
情報学研究科 准教授

テーマ :ライフステージに応じた健康支援

世界的に長生きの傾向が進む中,可能な限り望む生活を送るためには,個人がライフステージに応じて健康管理をする必要がある.一方,情報通信技術を個人の健康管理に活用することが進んできた.交流会では,ライフステージに応じた健康管理に役立つ情報通信技術の活用方法や課題等々,議論出ればと考えています.

キーワード : ライフステージ 情報通信技術 健康管理

5

松原 三佐子
獣医学研究科(獣医学専攻) 准教授

テーマ :肝疾患における細胞間相互作用の破綻

肝細胞癌は根治手術後も5年以内に約70%が再発し、標的治療の奏効率も30%にとどまる。私たちは、癌細胞が肝類洞内皮細胞の小孔を通過する際、内皮細胞内でアクチン脱重合が誘導される新たな機序を発見・報告した。現在、この過程を担う分子を同定し、肝細胞癌に対する革新的治療戦略の創出を目指している。

キーワード : 肝細胞癌、肝類洞内皮細胞、細胞間相互作用

6

稲田 のりこ
農学研究科(応用生物科学専攻) 教授

テーマ :顕微鏡で明らかにする新しい細胞像

顕微鏡を通して見る細胞の世界に魅了され、新しい細胞像を明らかにしたいということをモチベーションとして研究を行っています。具体的には、主に植物細胞を対象に、①細胞内の新たな構造(細胞核内アクチン繊維)について、②細胞内温度と細胞機能の関係について、研究を進めています。また、それら細胞の構造や動態、機能が、個体の生理機構の制御にどう働いているのかを明らかにする研究も進めています。

キーワード : 植物、細胞、顕微鏡

7

澤井 仁美
理学研究科(化学専攻) 教授

テーマ :からだの中の鉄を分子科学的な観点で「理解する」「観る」「操る」

鉄はすべての生物の生命維持に必須の金属です!
ヒトの健康と鉄栄養の関係は古くから知られていますが、鉄の生体内動態(吸収・感知・輸送・貯蔵など)の機序については未だ「分子科学的な理解」が進んでおらず、鉄や金属の代謝異常による疾病の特効薬はありません。私は、鉄の生体内動態を原子・分子レベルの化学的視点で解明するとともに、細胞での機能との相関について探究しています。また、生きている細胞内の金属を化学種ごとに「観る」ための「軟X線顕微鏡」の開発に取り組んでいます。それらの知見に基づき、生体鉄を「操る」ことで、QOLの向上や金属代謝異常による疾病の治療ができる未来を築いていきたいです。

キーワード : 生体鉄、最先端手法による蛋白質科学、軟X線顕微鏡

8

宮田 真人
理学研究科(生物学専攻) 教授

テーマ :急速凍結レプリカ電子顕微鏡法をもちいた細胞とソルトマテリアルの可視化

急速凍結レプリカ電子顕微鏡法は、生細胞や生体試料を急速に凍結し、その凍結面からレプリカを作製して観察する技術である。この手法を用いることで、細胞表面や内部の微細構造、さらにはリポソームのようなソルトマテリアルの構造などを、高解像度かつほぼ生の状態で可視化することができる。本技術が細胞とソルトマテリアルにおける可視化、解析の強力なツールであることを示す。これにより、生理学的プロセスや材料科学における新しい知見が得られることが期待される。

キーワード : 電子顕微鏡、微細構造、急速凍結

9

松田 真弥
理学研究科(生物学専攻) 助教

テーマ :ヒト細胞における天然物生合成遺伝子の発現とその応用可能性

天然物は多様な構造や強い生理活性を持つ一方、薬として実用化するには副作用や薬物動態など多くの課題があります。私は細胞生物学の立場から、天然物の「生合成遺伝子」をがん細胞に導入し、細胞内で抗がん物質を産生させる新しい戦略に取り組んでいます。本発表では、その基盤となるヒト細胞における天然物生合成遺伝子の発現を紹介します。今後は化合物の構造や代謝の理解が不可欠であり、化合物分析の専門的な知見と結びつけることで研究をさらに発展させたいと考えています。本発表をきっかけに、学内で幅広い分野の先生方と交流できれば幸いです。

キーワード : 天然物、生合成遺伝子、遺伝子治療

10

三浦 夏子
農学研究科(生命機能化学専攻) 准教授

テーマ :微生物の酵素集合体ー発見・解析とその展開

出芽酵母において、低酸素条件下で解糖系酵素群が可逆的に集合し一過的構造体を形成する現象を初めて発見した。本発表ではその形成機構と制御因子の解析結果をもとに細胞の代謝応答機構に迫るとともに、集合体の機能的意義と人為的な応用の可能性を展望する。

キーワード : 出芽酵母、低酸素、解糖系酵素

11

竹内 宏光
南部陽一郎物理学研究所
理学研究科(物理学専攻) 准教授

テーマ :三日月スキルミオンとゴッホの星月夜

19世紀に予言された流体の流動現象(KHI)の量子版(量子KHI)の観測に、世界で初めて成功しました。KHIは速度が異なる二つの流体の境界に特徴的な渦巻き模様を引き起こす現象で、ゴッホの代表作「星月夜」にインスピレーションを与えたと言われています。量子KHIでは渦巻模様の代わりに、2022年に竹内が予言した新種のスキルミオン(三日月スキルミオン)が現われます。講演では星月夜の量子的な「解釈」を紹介したいと思います。

キーワード : 量子流体力学、対称性の自発的破れ、スキルミオン

12

尾島 由紘
工学研究科(物質化学生命系専攻) 准教授

テーマ :微生物が産生する細胞外ナノ粒子の理解と応用

微生物の細胞外粒子である膜小胞に着目し、生産機構を含めた現象の基本的理解とバイオテクノロジー利用に取り組んでいます。特にプロバイオティクスを介したライフサイエンス分野への貢献や、複合微生物系の構築による物質生産反応の確立が対象です。学術的にも興味深い膜小胞現象に着目し、合成生物学を基盤とした微生物セルファクトリーにパラダイムシフトをもたらす「微生物ナノファクトリー」の構築にチャレンジしています。

キーワード : 大腸菌、酵母、膜小胞

13

アンドレエバ森 アドリアナ
工学研究科(航空宇宙海洋系専攻) 准教授

テーマ :航空交通管理における不確実性の克服

航空交通管理(ATM)とは、航空機がより安全かつ効率的に空域と空港を利用できるよう、出発から到着までの運航を総合的に調整・管理すること。これにより、航空機の衝突を防止し、遅延を最小限に抑え、空域の容量を最大限に活用する。現在の航空交通管理のボトルネックの一つは交通流の予測精度の低さである。しかし、乗客の搭乗時刻や風の予測の不確定性により、完璧な予測を行うことは不可能である。不確定性をモデリングすることで、状況にあった交通流制御を可能にする。

キーワード : 航空交通管理、不確定性、データ

14

渡邉 充哉
工学研究科 (物質化学生命系専攻) 助教

テーマ :電気化学プロセスによるナノ結晶合金の創製

湿式ボトムアッププロセスである電解析出(電析)法は,ナノ結晶組織を有する合金を厚肉材として作製することが可能である。開発した等モル比FeCoNiナノ結晶合金は,10 nmに及ぶ結晶粒微細化により1.6 GPaの引張強度を示した。組織制御の観点を中心に,電析合金の特徴と今後の展望を紹介する。

キーワード : ナノ結晶,電気化学,力学特性

15

堀江 真行
獣医学研究科(獣医学専攻) 教授
大阪国際感染症研究センター

テーマ :ウイルスと生物の共進化に関する研究

私たちのゲノムの一部はウイルスに由来します。これらの多くは数百万〜数千万年前に生物のゲノムへ組み込まれ、現生生物に残る“ウイルスの化石”として過去の感染を読み解く手がかりになります。さらに一部は宿主に有用な役割を果たし得ます。本発表では、脊椎動物ゲノムに残るRNAウイルスの一種であるボルナウイルス由来配列に関する私の研究を紹介します。

キーワード : 内在化、ウイルス化石、共進化

16

寺田 伊吹
工学研究科(物質化学生命系専攻) 助教

テーマ :レーザー外場を用いた物性制御に向けて

ものの性質を自在に操ることは,物性物理学の究極目標の一つである。近年,レーザー技術の発展を背景に,光を用いた電子物性制御の研究が急速に進展している。発表者は,特に強い電場で絶縁体から突如大電流が流れる現象に注目しており,そこから生まれる新しい物質の機能を探っている。本発表では,その研究内容と将来展望について話していきたい。

キーワード : 物性理論,非平衡量子系,光学応答

17

山岡 直人
理学研究科 (数学専攻) 准教授

テーマ :歴史動力学モデルにおけるリミットサイクルの存在性

農耕社会の歴史を振り返ると、帝国が栄えては衰えるという盛衰のリズムが繰り返し現れる。本研究では、この普遍的な現象を「歴史動力学」と呼ばれる学際分野の考え方をもとに、数理モデル(微分方程式)で表す。帝国の領土の広がりや人々の社会的なつながりを数式に組み込み、帝国が安定して続く場合と崩れていく場合の違いを明らかにする。数学的には相平面解析を用い、解軌道を追跡することで、帝国の盛衰が周期的に現れる条件を探る。

キーワード : 歴史動力学、数理モデル、周期現象

18

橋本 博文
文学研究科 准教授


宮本 昌彦
文学研究科 客員教授


松宮 宏
文学研究科 客員教授

テーマ :ヘルプマークの認知と理解の促進に向けた社会実装研究

本発表では、若年層を主なターゲットとして作成されたヘルプマークの啓発ポスターについて、大阪メトロ谷町線におけるフィールド観察を通じて、その効果を検討した社会実装研究の結果を報告する。本研究の結果、実際に、1)ポスター掲出によってヘルプマークの認知度が高まる可能性、さらに、2)若年層を中心にヘルプマークに対する肯定的理解が促進される可能性などが示唆された。本発表では、こうした取り組みがもつ社会的意義についても議論する。

キーワード : ヘルプマーク、障害、社会実装、

テーマ :列車乗降時における隙間転落防止にかんする社会心理学的アプローチ

本研究の目的は、列車とホームの隙間転落を防止するためのより効果的な安全啓発のあり方を検討することにある。発表者らは現在、転落の危険性を強調するような啓発のあり方と、危険を回避するための具体的な対処行動を提示するような啓発のあり方が、人々の意識や行動意図にどのような影響を及ぼすのかを分析している。本発表では、これまでに得られた分析結果に加え、啓発のあり方に関する今後の方向性についても議論する。

キーワード : 防護動機理論、安全啓発、デザインストラテジー

19

馬場 裕子
COIL事業部門 特任講師

テーマ :大阪市下の外国ルーツの子どもたちの日本語教育

発表者は、「1990年の出入国管理及び難民認定法」いわゆる「入管法」改正後、しばらくは見えない存在として扱われていた外国ルーツの子どもの日本語教育についての研究に着手した。1990年代の外国ルーツの施策を概観し、2018年から大阪市教育委員会特別顧問として大阪市下の外国ルーツの子どもの支援の枠組みづくりに参画した流れを振り返る。その上で、近年「外国ルーツ枠入試」を設ける大学の取り組みまでを考察し、大阪市下の「多文化共生」の知見を共有する。

キーワード : 外国ルーツの子どもの支援、多文化共生、教育人類学

20

Richard Ssempala
経済学研究科(経済学専攻) PhD student

テーマ :Shaping the Demand for Unhealthy Commodities Using Taxation Policies

Globally, Non Communicable Diseases (NCDs) are taking over the epidemiological profiles of many countries. Diseases emanating from consumption, life style and age a big health concern. According to the World Health Organization, NCDs are estimated to have killed about 43 million people in 2021. Of these deaths, about 18 million NCD deaths were among people younger than 70 years of age. NCDs have been found to be correlated with the consumption of unhealthy commodities  such as  cigarettes , alcohol and sugar sweetened commodities. WHO proposed strategies to contain this problem through  the “best buys” which included use of fiscal measures. Whereas taxation has been appreciated in  many countries, it is not the  same in  most developing countries for several reasons. This research therefore, aim to explore how taxation can help to shape the demand for unhealthy commodities with contextual considerations of realities in developing countries. 

キーワード : Taxation, Unhealthy commodities , Non communicable diseases

21

Tian Yan
経済学研究科(経済学専攻) Visiting Researcher

テーマ :Dying Suffering, Hospice Care and Death Education: a Micro Empirical Study Based on the Improvement of Life Quality in an Aged Society

Advances in medical technology have substantially prolonged life expectancy, but they have also underscored the limits of medicine, complicating end-of-life decision-making. A large body of evidence shows that healthcare expenditures escalate sharply in the last year of life, particularly during the final three months, prompting both medical professionals and society to question the appropriateness of intensive treatments at this stage. Hospice care has become a global trend, especially in aging societies, aiming to deliver more cost-effective and human-centered end-of-life care. Since 2017, China has implemented hospice care through pilot programs, and most hospitals in major cities now provide this option. Based on extensive field surveys, we examine whether this model alleviates the anticipated dilemmas in medical decision-making and analyze its impact on end-of-life healthcare expenditures.

キーワード : Medical Decision;Hospice Care; Advance Directives

[第1回・第2回の開催レポートは下記サイトをご覧ください]

https://www.omu.ac.jp/r-support/rcdre/index_3.html

■お問い合わせ先
大阪公立大学 URAセンター 担当URA:柏崎
mailgr-knky-uracenter@omu.ac.jp