研究内容
- ①生理活性天然有機化合物の合成研究
生理活性天然有機化合物は、創農薬や、機能性食品、化粧品、生命機能解明のためのツールとして用いられる重要な化合物です。当研究室ではこれまで、抗酸化性海洋天然物のスルガピロン、大豆イソフラボン代謝産物のエクオール、レスベラトロール、ヒガンバナ科アルカロイドのクリナシアジンなどの合成を行ってきました。
スルガピロンB エクオール レスベラトロール クリナシアジン
スルガピロン:Ohmukai, H.; Sugiyama, Y.; Hirota, A.; Kirihata, M.; Tanimori, S. J. Heterocyclic Chem. 2020, 57, 1090–1100.
エクオール:Uemura, T.; Saito, Y.; Sonoda, M.; Tanimori , S.
Synlett 2021, 32, 693-696.
レスベラトロール: Uzura, S.; Sekine-Suzuki, E.; Nakanishi, I.; Sonoda, M.; Tanimori, S. Bioorg. Med. Chem. Lett. 2016, 26, 3886–3891.
クリナシアジン:Kuwata, Y.; Sonoda, M.; Tanimori, S. J. Hetrocyclic Chem. 2017, 54, 1645-1651.
現在は、様々な生理作用を示すことから注目されるメトキシフラボンの合成を行っています。
- ②創薬、創農薬を指向した複素環化合物のグリーン合成
近年環境調和に配慮したグリーンかつ持続可能性のある合成法の開発が求められています(グリーン・サスティナブルケミストリー)。また、複素環化合物は医薬品や農薬、機能性電子材料などの開発に有用な化合物群です。当研究室では現在、毒性の低いヨウ素反応剤を利用した水中下での複素環化合物の合成を行っており、低炭素有機合成を目指しています。
ヨウ素を触媒に利用した水中下キナゾリン導体の合成:
Tomotani, Y.; Tanimori, S. Synth. Commun. 2025, in press.
- ③食品機能性成分の合成
食品には様々な機能性成分が含まれています。健康を維持したり、抗酸化性を示す、発がん性物質等の有害物質の作用を緩和するなどの成分が発見されています。しかし成分量はわずかなものも多く、十分にその機能性が調べられていないものも多くあります。このため化学合成による供給が必要です。
当グループでは様々な生理活性が報告されていることから注目されるメトキシフラボンの合成を行っています。
ケルセチンのペンタメチル体 黒ウコンの成分
「長寿遺伝子」産物SIRT1を活性化(永田ら、東大院農)
- ④新規香気物質の合成
香料は、食品、香水、化粧品、芳香剤や洗剤等のトイレタリー用品など幅広い製品に利用される重要な化合物の一つです。現在においても新しい香りを求め、自然界や有機合成による探索が続けられています。当研究室では生分解性がよいことから注目される脂環式ムスクの誘導体の合成を行っています。
ヘルベトリド ロマンドリド 新規誘導体 新規誘導体
フルーツ、桃、イチゴ様 スイート、カラ
メル、バニラ様
脂環式ムスクヘルベトリド、ロマンドリドならびにその新規誘導体の合成
- ⑤化粧品有効成分の合成
化粧品には、美白剤、紫外線吸収剤、保湿成分、高酸化剤などのさまざまな機能性成分が使われています。当研究室では抗酸化性天然物スルガピロンやレスベラトロール、美白活性天然物グラブリジンの合成研究を行っています。またロドテノールやオキシベンゾインの誘導体の合成も手掛けています。
ロドテノール 美白剤 オキシベンゾイン 紫外線吸収剤