機能性デンドリマーの合成と薬物送達システムへの応用

デンドリマーは中心から放射状に枝分かれした構造をもった新しいタイプの高分子です。デンドリマーは内部に物質を封入する空間をもち、ナノカプセルとして利用することができます。また、その表面には多くの官能基を導入することが可能です。このようなデンドリマーの特長を活かし、デンドリマー表面へ生体適合性高分子や官能基を結合することによって、様々な機能性デンドリマーを作成することができます。これまでに、ポリエチレングリコール(PEG)を表面にグラフト化したPEG修飾デンドリマーを開発しました。このデンドリマーは、薬物を結合させたり、内部にカプセル化したりすることで、ドラッグデリバリーシステムへの応用が可能です。
　たとえば、様々なシェル構造をPEG修飾デンドリマーに導入することで、いろいろなバイオ機能をもつデンドリマーを開発しています。また、温度に依存して水溶性を変化させる温度感受性デンドリマーの開発に世界で初めて成功しました。このデンドリマーは、３次元構造をもつ感温性高分子の最初の例です。さらにデンドロン（デンドリマーの部分構造）をもつ脂質を用いて新しいナノ組織体を作製しました。

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