研究内容

 近年、高分子化合物が汎用的な構造形成材料としてのみならず、高度な機能や性能を有する高付加価値型材料として様々な分野で利用されるようになり、精密な「高分子材料設計」の重要性が増しています。当研究室では、新しい機能や性能をもつ高分子材料を創り出すための基礎研究を、合成から構造・物性、機能解析に至る幅広い分野にわたり一貫して展開することをモットーとしています。具体的には、各種の重合法や化学修飾法を駆使して構造の明確な高分子化合物を合成し、その分子的な性質と分子集合体(高次構造制御)としての性質をそれぞれ精密に解析することにより両者の相関を明らかにし、これを設計指針として新しい機能性高分子材料の創成を目指しています。




研究戦略の図_621




 特に、リビングラジカル重合法(LRP)が汎用性と簡便性に優れる新しい精密重合法として注目されていますおり、当研究室では、この重合法の基礎と応用の両面で国内外でも特色ある研究を行っています。なかでも、固体表面に極めて高い密度で固定され、高度に膨潤伸張した濃厚ポリマーブラシ表面の構築技術は大きな武器となっています。我々は、本法を用いて、完全な溶媒分散性と高い構造均一性を併せ持つ、濃厚ポリマーブラシで表面修飾した複合微粒子を世界に先駆けて合成しました。



微粒子合成の図_621



 有機材料から無機材料にわたる様々な材質、球状からロッド、シート状にわたる様々な形状の微粒子表面にポリマーブラシをグラフトすることが可能です。




各種微粒子_600

 また、ポリマーブラシ付与複合微粒子の特殊構造を利用した応用展開を行ってきております。複合微粒子を2次元、3次元に規則的に配列させることで新しいタイプのコロイド結晶、コロイド液晶を構築しており、コロイドの自己組織化に関して基礎、応用の両面を意識した研究に取り組んでいます。また、コンポジット材料の異種界面制御に我々の複合微粒子を用いており、イオニクス材料や自己修復材料などを創成しています。そして、生体機能性材料の開発も行っています。




応用展開の図_600