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2025年5月12日
飯田グループホールディングス株式会社と大阪公立大学の共同研究「人工光合成技術」において、世界最高水準の蟻酸生成効率を実現-新エネルギー技術による脱炭素社会へ貢献-
飯田グループホールディングス株式会社(本社:東京都武蔵野市、代表取締役社長:西野弘)は、大阪公立大学(大阪市阿倍野区、理事長:福島伸一)と共同研究を行っている「人工光合成技術」において、太陽光からの純粋蟻酸生成効率が世界最高水準の4%に達したことをお知らせいたします。
飯田グループホールディングス株式会社と大阪公立大学「人工光合成研究センター」は、2015 年より人工光合成技術を活用した「IGパーフェクトエコハウス」の実現に向けた共同研究開発を行っております。従来、太陽光は再生可能エネルギーの筆頭として利用されていますが、その強度は気象条件・時間に大きく左右されるという大きな課題がありました。その課題を解決すべく、飯田グループホールディングスと大阪公立大学の共同研究チームは、太陽光エネルギーを活用した、電解セルでの化学反応プロセスを全自動制御するシステムの新規開発に成功しました。
今回開発したシステムは、太陽光の強度に合わせて供給するガスや水量を制御することで、常に一定濃度の純粋な蟻酸が得られる仕組みとなっており、得られた蟻酸は、半永久的に保存することが可能となります。
さらに、本技術の実証実験(大阪公立大学杉本キャンパス)において、太陽光から純粋な蟻酸水溶液を製造するエネルギー変換効率が、装置運転に必要なエネルギーも含め、世界最高水準となる4%に達しました(※)。これらの結果より、本全自動制御システムは、強度が変動する太陽光から蟻酸を安定して生成する仕組みとして有用であることが実証されました。
なお、この内容は、2024年11月のPVSEC-35(第35 回国際太陽光発電科学技術会議)にて「全自動で太陽光を化学エネルギーの形に資源化する装置」として発表し、講演賞を受賞しました。
※蟻酸は、水素と二酸化炭素からなる有機物の一種であり、常温常圧で液体であることから、水素エネルギーの貯蔵媒体として注目されています。例えば、本全自動制御システムで製造する10%の蟻酸水溶液20 L には、約1,000L 相当の水素が含まれており、これは約3 kWh のエネルギーに相当し、日本の家庭で一日に必要なエネルギーの1/5 に相当します。このことからも、蟻酸は水素エネルギーを安全に貯蔵・運搬できる物質として非常に有益な有機物といわれています。
左から 飯田GHD梶田研究員、人工光合成研究センター 松原 康郎准教授、天尾 豊教授
第35回国際太陽光発電科学技術会議で講演賞を受賞