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2026年8月3日

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科学的知見と人の温もりを融合し、真の健康長寿「ナイスエイジング」を切り開く

2027年5月、健康長寿医療と介護の新たな未来を拓く拠点、「大阪健康長寿医科学センター」が誕生します。同センターは、大阪公立大学医学部附属健康長寿医科学センター病院、大阪公立大学医学部附属健康長寿医科学センター研究所と大阪市立介護老人保健施設が併設されており、認知症研究やケアの高度化に注力していきます。今回は、同センター病院長予定者の柴田 利彦先生にインタビュー。病院の強みや未来への展望を語っていただきました。

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Profile

柴田 利彦

大阪公立大学医学部附属健康長寿医科学センター病院 病院長(予定者)
大阪公立大学医学研究科健康長寿医科学講座病因診断科学特任教授

1985年大阪市立大学医学部卒業。大阪市立総合医療センター副院長、大阪市立大学大学院医学研究科外科学講座 心臓血管外科学教授(2022年より大阪公立大学)などを務め、特に低侵襲心臓手術や心臓弁膜症におけるロボット支援手術を推進する。現在は大阪公立大学大学院医学研究科健康長寿医科学講座病因診断科学特任教授。20274月より大阪公立大学医学部附属健康長寿医科学センター病院長に就任予定。

  • ※所属は掲載当時

「大阪健康長寿医科学センター」の施設概要をお教えください

当センターは、大阪市立弘済院(※)が長年培ってきた認知症医療や介護の豊富な知識と経験を継承し、大阪公立大学の都市シンクタンク機能を活かしてさらに発展させ、「研究所・病院・介護老人保健施設(老健)」が三位一体となった健康長寿医療の拠点です。

病院は、認知症疾患医療センターとして鑑別診断や専門医療相談、地域連携機能などを担い、神経精神科や脳神経内科などの複数の診療科と、もの忘れ病棟・一般病棟で計120の病床を有します。1階には診察室の他、回想法室やロボットセラピー室、作業療法エリアを備え、認知症リハビリと身体リハビリを推進します。

2階には手術室や、PET-CTSPECT等の画像検査ができる医療機器を配し、脳・もの忘れドックでの超早期診断を行います。5階のもの忘れ病棟では専門ケアにより行動・心理症状をやわらげ、在宅復帰を支援します。

研究所は認知症に特化した医学部附属の施設で、次世代診療システムの確立を目指します。3階では研究にご協力いただける市民の方々を募りながら、産学連携のもと検査を実施するコホート研究を行います。他にもAIを駆使する分子生物実験室などを設け、人材育成や現場への実践的サポートを行います。 

介護老人保健施設「弘済長寿苑」は、ご本人の意思や尊厳を守る専門的な認知症ケアとリハビリを実践。病院や研究所と一貫した支援体制を敷き、地域で安心して過ごせる仕組みづくりに取り組みます。 

※大阪府吹田市に所在し、認知症・高齢者医療、介護、研究・教育を一体的に担ってきた大阪市の中核的な医療福祉施設。施設の閉鎖に伴い、その機能は健康長寿医科学センターへ継承される予定。

病院のビジョンと、そこに込めた思いをお聞かせください

これまで心臓外科医として、命を活かす(キュア:治療)現場に身を置いてきましたが、同時に人生の最期までその人が幸せに暮らせるよう支えるケア(介護・看取り)の視点も医療の重要な役割だと考えています。自身の家族の老いを目の当たりにし、単に長生きするだけではなく、その人らしく幸せに生きる本質を追求した結果、行き着いたのが「ナイスエイジング」という考え方です。

これは、患者さんの年齢や身体能力、精神能力に相応しい形で社会生活に適応できるようサポートすることで、その人なりの身体・感覚機能を維持し、心豊かに年齢を重ねることを意味します。そのためには、認知症や心の健康に関わる「縦軸」と、目・鼻・耳・喉などさまざまな感覚器のフレイルや足腰のフレイル(衰え)に関わる「横軸」をより良い状態に保ち、両立させることが重要です。

頭はしっかりしていても体が動かない、あるいはその逆であっても真の幸福とはいえません。当院では認知症の専門分野をはじめ、整形外科、眼科、形成外科、皮膚科など多岐にわたる診療科を備え、これらを包括した総合的なリハビリテーションに注力していきます。従来の術後リハビリとは異なり、認知症や加齢に伴う衰えをできるだけ緩やかにするためのリハビリを実践し、健康長寿の実現を目指します。

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病院ならではの強みや特徴、理念についてお聞かせください

国や自治体が運営する規模が大きな健康長寿を冠した病院に比べ、当院は120床(老健施設を除く)という大変コンパクトな病院です。だからこそ、私たちが取るべき戦略は選択と集中、つまり「スモールメリット」を最大限に活かすことです。

あれもこれもと網羅する総合デパートではなく、特定の分野で圧倒的な価値を提供する一流の専門店(ブランド)でありたいと考えています。他の病院が取り組めないような領域に特化し、「本当に開設されてよかった」と、心から皆さんに思っていただける医療とケアを目指します。

また、医療者目線に偏るのではなく、「自分の親だったらどのように対応してほしいか」というご家族の視点を常に大切にします。患者さんの尊厳を重んじ、認知症だからといって意思を抑え込むのではなく、患者さんご本人の尊厳とやりたいことを第一に尊重する方針を徹底します。 

大学附属病院としての役割や独自の強みをお聞かせください

大学の附属病院という位置づけですから、常勤の医師は全員が大学教員です。そのため新しい研究や知見を世の中に発信していく大切な役割を担っています。私のもとには、モチベーションの高い医師や看護師、メディカルスタッフが、自発的に集まってくれました。「ここなら独自の医療ができる」という熱意あふれるチームと共に、理想の医療の実現に努めます。

優秀なスタッフを惹きつける先生の行動指針をお教えください

「何事も楽しくやる、そして本気でやる」です。その原点には、若くして亡くなった伯父の遺影の裏に添えられていた「何事も善にとらえよ、笑って難を受けよ」という言葉がありました。コロナ禍の対応や今回病院長を引き受けたことも含め、大変な局面でも常にポジティブに捉えて本気で取り組んできたからこそ、結果として周囲も助けてくれると考えています。

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世間では「判断力の差は情報の差」といわれることもありますが、トップとして最後に決断を下すために必要なのは、情報量ではなくどこまで腹をくくれるかという覚悟の差です。どれほど悩む局面であってもトップは常に面白がり、楽しそうにしていなければならないという強い指針を持っています。

地域社会の中で目指す病院のビジョンをお聞かせください

私たちの根底にあるテーマは「絆」です。職員間の繋がりはもちろん、患者さんやご家族、そして地域社会との心の繋がりを何よりも大切にしていきます。

地域で認知症をサポートするさまざまな活動やチームとシームレスに連携し、大阪市の福祉政策や国の認知症施策の重要な一翼を担う存在として周囲から目標にされるような施設を目指します。

そのために掲げているもう一つのテーマが「突き抜ける」という言葉です。当センターのシンボルマークにある3つの要素は「研究所」「病院」「老健」が一体となって連携している姿を表し、上へ伸びるラインは常識を「突き抜ける」という意志を表現しています。

私たちは完全にゼロからスタートする病院であり、古い慣習は一切ありません。スタッフのユニークなアイデアを試行錯誤しながら形にし、科学的な知見と人間の温もりを融合して、健康長寿の新しい時代を切り開いてまいります。

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参考

既成概念にとらわれない認知症医療へ。 二人のリーダーが描く、次世代のケアのかたち

大阪公立大学医学部附属健康長寿医科学センター病院

大阪健康長寿医科学センター