研究

研究内容

 

臓器線維症治療薬の開発

肝硬変を始めとする臓器線維症は、治療における薬剤貢献度が低い難治性疾患である。本研究室では、まず肝硬変の原因細胞である肝星細胞に着目し、我々独自で開発したスクリーニング系を用いて肝星細胞の活性化を抑制する候補化合物を探索し、動物個体への薬理効果ならびに薬理作用の分子機序を検証している。現在、前臨床試験の段階であるが、医師主導治験も含めた臨床試験へ向けて医薬品開発を行っている。(本研究に関する特許:特許第7142886号、特開2022-066026

 

非アルコール性脂肪肝炎から肝硬変へ進展する病態分子の解明

非アルコール性脂肪肝炎(NASH)は、本邦で増加している疾患の一つで、肝硬変へ進展しうる。本研究室では、肝胆膵病態内科学と連携しながら、NASH患者や肝硬変患者の病態を解析するとともに、上皮細胞膜タンパク質(EMP1)、プリオン(PRNP)、代謝酵素(EPHX1)、核内受容体(FXR, PPARγ)の遺伝子を改変したマウスに高脂肪食などを摂取させたNASHモデルマウスを作製して、マウスNASH病態を詳細に解析しながら、肝硬変へ進展する因子の解明に挑戦している。

 

肝恒常性維持における細胞間コミュニケーションの解明

肝臓は、他の臓器と比べて細胞外基質が非常に少ない臓器であり、肝細胞を始めとする細胞間でネットワークを形成しながら恒常性を維持していると考えられている。本研究室では、肝類洞(肝臓の毛細血管)周囲の細胞間コミュニケーション、肝細胞、肝星細胞ならびに肝類洞内皮細胞で奏でる分子相互作用を、細胞間接着ならびに分泌因子の視点から解析している。この研究を通して非アルコール性脂肪肝炎や肝硬変といった慢性肝疾患の解明や再生医療への応用を目指している。

 

肝臓の臓器老化と肝疾患における分子連関の解明

近年、肝臓の臓器老化は慢性肝疾患と深く関連していると考えられているが、肝疾患に関わる老化関連因子が明らかになっていない等、不明な点が多い。本研究室では、電子顕微鏡や光学顕微鏡を用いて臓器老化における形態の変化を捉えながら、質量分析装置等を用いた代謝物や蛋白質の変化さらにRNAシークエンス解析等による遺伝子発現の変化を明らかにして臓器老化と肝疾患に関わる因子の同定に挑戦している。

 

再生医療を目指した臓器膜の開発

人工多能性幹細胞(iPS細胞)が樹立されて以来、再生医療に向けた研究が盛んに行われるようになった。本研究室では、肝臓の再生医療に向けて肝臓の被膜(漿膜)の再構築に取り組んでいる。また、開発した被膜にバイオ3Dプリンタを用いて肝構成細胞を導入しミニ肝臓の形成に挑戦している。