挨拶
センター長より
2019年末に発生した新型コロナウイルス感染症の世界的流行により、医療がひっ迫したのみならず、経済は減速、失業率が上昇し、学校では教育機会が失われました。
このように感染症の流行は社会的影響が極めて大きな疾病であることが判明しました。従来の感染症研究は「微生物と宿主」という個人や特定の微生物単位で病気を研究する「ミクロ感染症学」が中心でしたが、これからの感染症研究は、感染症を単なる個人の病気ではなく「社会の病気」であることを認識し、医学を中心とした生命科学の研究のみではなく社会科学分野も包含し、学際領域を統合した大きな学問単位での研究を行うことが求められます。
本センターは、大阪公立大学の総合知を活かした様々な分野の専門家が集い、大阪府や大阪市、大阪健康安全基盤研究所、企業とも連携した異分野融合型の「マクロ感染症学」を実践する拠点です。大都市大阪が抱える感染症対策「メトロポリタンヘルス」の課題に取り組んでまいります。
大阪ひいては広く国内外の感染症対策について、科学的根拠を国際的見地からも提供するとともに、高度な知識及び技術を修得した感染症対策に携わる人材の育成をめざします。
大阪国際感染症研究センター長
掛屋 弘
学長より
大阪公立大学は開学1年前の2021年度から、「総合知で、超えていく大学。」をキャッチフレーズとし、内外に向けた情報発信を進めてきました。15研究科の専門知を互いに理解し、多様な知を融合して新たな価値を創出する「総合知」を、大阪公立大学では大切にしていきたいと考えております。
「大阪国際感染症研究センター」は、まさにこの「総合知」を発揮し、本学が持つ多様な学問分野を最大限に活用し、また行政等と連携・補完しながら、アカデミアの立場から感染症対策を構築・提言する拠点として設置しました。
大阪公立大学には、大阪の都市課題の解決や成長に貢献するため、教育・研究・社会貢献の3機能に加えて「都市シンクタンク機能」「技術インキュベーション機能」の2つの機能を実装しました。都市シンクタンク機能すなわち行政や社会への提言能力を有する機関として、大阪の公衆衛生対策の強化、大阪に定着する専門人材の育成に対して国際的見地からも取り組んで参ります。
学長
辰巳砂 昌弘