挨拶

センター長より

2019年末に発生した新型コロナウイルス感染症の世界的流行により、医療がひっ迫したのみならず、経済は減速、失業率が上昇し、学校では教育機会が失われました。

このように感染症の流行は社会的影響が極めて大きな疾病であることが判明しました。従来の感染症研究は「微生物と宿主」という個人や特定の微生物単位で病気を研究する「ミクロ感染症学」が中心でしたが、これからの感染症研究は、感染症を単なる個人の病気ではなく「社会の病気」であることを認識し、医学を中心とした生命科学の研究のみではなく社会科学分野も包含し、学際領域を統合した大きな学問単位での研究を行うことが求められます。

本センターは、大阪公立大学の総合知を活かした様々な分野の専門家が集い、大阪府や大阪市、大阪健康安全基盤研究所、企業とも連携した異分野融合型の「マクロ感染症学」を実践する拠点です。大都市大阪が抱える感染症対策「メトロポリタンヘルス」の課題に取り組んでまいります。

大阪ひいては広く国内外の感染症対策について、科学的根拠を国際的見地からも提供するとともに、高度な知識及び技術を修得した感染症対策に携わる人材の育成をめざします。

thumb-175xauto-66696-file

大阪国際感染症研究センター長
掛屋 弘

学長より

大阪公立大学は、140年以上の歴史と伝統を受け継ぐ大阪市立大学と大阪府立大学が統合し、20224月に誕生した日本最大の公立総合大学です。本学は人文社会系、理工系、医療生命系に至る広範な学術領域に15の大学院研究科を持ち、各分野で高度な専門知が集積されています。世界がボーダレスに繋がる現代社会においては、新型コロナウイルス感染症のパンデミックに象徴される、多層的・複合的要因をもつ社会課題に対しては、多様な専門分野の研究者が連携し、多角的・俯瞰的視点から問題の本質を見極め、根本的な解決策を見出す努力が求められます。

「大阪国際感染症研究センター」は、本学の多様な研究分野の専門家が結集し、行政や民間とも連携しながら、包括的視点に立つ感染症対策を検討し提言する研究拠点として設置しました。大阪の公衆衛生対策の強化と専門人材の育成にも取り組み、国際的視座に立ち、持続可能でwell-beingな未来社会の構築に貢献する研究拠点として、本学に期待されている「都市シンクタンク機能」の一端を担って参りたいと思います。


学長
櫻木  弘之