採択プロジェクト

2024年10月15日

  • 設立支援

「レジリエントな都市大阪のあり方」政策共創ユニット

プロジェクト名

「レジリエントな都市大阪のあり方」政策共創ユニット

代表者

手塚 洋輔(法学研究科)

共創メンバー

学内

氏名 所属
山﨑 重孝 法学研究科
阿部 昌樹 法学研究科
高田 倫子 法学研究科
永見 瑞木 法学研究科
杉田 菜穂 経済学研究科
松永 桂子 経営学研究科
水上 啓吾 都市経営研究科
菅野 拓 文学研究科
吉田 大介 情報学研究科
福島 若葉 医学研究科
千葉 知世 現代システム科学研究科

学外

  • 大阪府政策企画室 等5名
  • 大阪市政策企画室 等5名

事業内容

方向性

本学が担うべき都市シンクタンク機能の一形態として、研究者と実務家との双方にとって意義があり、意欲(能動性)が持続する場を構築する。具体的には、国政・地方行政に通暁した客員教授のコミットメントのもと、40代を中心として、将来、大学・行政を主導していくような研究者(法学・政治学、経済学、財政学、経営学、都市工学等)と大阪府・大阪市の政策企画職員とが継続的に連携することを主眼に置く。その際には、今後、女性教員・女性職員が活躍していくことを見据え、ジェンダーバランスに留意し、ダイバーシティの視点を意識する。

テーマとしては、20年~30年後の社会像を見据え「レジリエントな都市のあり方」を切り口に、限られた資源(とりわけ若者)を踏まえた、息の長い検討が不可欠となる政策課題を扱う。総合大学と総合行政主体(自治体)という2つの総合性を掛け合わせることで、他にない取り組みとして、大阪公立大学が主体性を持ち、大学のポテンシャルを活かすことを目指す。付随して、「万博のレガシー」にも位置付けつつ、J-PEAKS等の成功例とし、各種成果報告やアウトカム指標に貢献する役割を果たしたいとも考えている。

2024年度の内容

以上の方向性を念頭に、2024年度は、次年度以降の連携の場の構築に向けて、研究者・実務家を架橋するかたちでの会合を重ねることを通じて、研究者側の組織化を進めるとともに、大阪府市上層部も含めて認識の共有を深めることに注力することとした。

具体的には、(1)研究者側の組織化、(2)府市との調整、の2つを固めていくことが前提となる。こうした取り組みは、往々にして、持続しないきらいがあることに深く留意し、意欲が持続する場をどのようにしたら実現できるか、を中心に検討を重ねていった。

その際、山﨑客員教授が総務省自治行政局長時代に旗振りし、松永教授(経営学研究科)も参画した「自治体戦略2040構想研究会」の成果(この考え方は、その後の地方制度調査会等の国の施策や自治体の計画策定に反映されている)が前提となることを確認した。加えて、過去に大阪市の自治体シンクタンクである大阪市政研究所に参画した経験を持つ阿部教授(法学研究科)は、その経験から得られる教訓と、今後、大学が都市シンクタンクを進める上で必要な事項を整理検討した上で議論の素材を提供した。

以上のような作業を通じて、事業成果で見るように、2024年度中に、連携の場を発足させる段取りを付けることができた。

事業の概念図

概要図

事業成果

結成支援事業による事業成果は以下の通りである。

    1. 研究者側の組織化については、阿部・手塚が中心となって、本事業の立ち上げに向けて、社会科学系4部局(法・経済・経営・都市経営)から気鋭の研究者の参画を取りつけ、複数回会合を開催した(2024年度メンバー)。さらに、1月以降、次年度の本格始動を見据えて、その他の分野(文・医・情報・現シス)にも広げて組織化をはかった。これにより、現時点では、8部局12名の教員を数えるに至ったことは、分野横断的な総合性を確保することにつながっている。加えて、女性教員が半数を占め、ジェンダーバランスも含めて大学の多様性を打ち出すことにまずは成功したといえるだろう。
    2. 行政側については、山﨑・手塚が中心となって、法人の協力を得ながら、大阪府・大阪市それぞれに説明の機会を設け、意見交換を行った。現状の問題意識なども認識共有を行い、本プロジェクトの企画を鍛えていくことにもつながった。結果として、府市ともに、本プロジェクトの趣旨への賛同を得て、具体的な人選が確定するまでに至った(府5名、市5名、合計10名)。政策企画を担当する職員のみならず、技術系も含めて、幅広く適任者の推薦がなされたことは、本プロジェクトへの期待があるものと推察される。
    3. 次年度以降の本格始動への足がかりとして、初期メンバーを中心として、設立支援金を活用して、調査研究を進めるとともに、今後も参照できるよう地方制度改革に関するオンラインデータベース(「地方制度と地方分権」第1部・第3部)を導入した。本データベースは、全学で利用できるのものであり、知的還元の一つとして位置付けられる。
    4. 2025年2月17日に開催された第4回文系5研究科 学際融合・連携勉強会において、阿部教授(法学研究科)が、「自治体シンクタンクでの経験から都市シンクタンクについて考える:大阪市政研究所の活動を中心に」をテーマに話題提供を行い、文系研究科教員と意見交換を行った。
    5. 2024年度事業の集大成として、2025年3月28日に、本プロジェクトのプレオープンイベントを開催した。大学側・行政側双方から、ほぼ全員が参加し、山﨑客員教授による基調講演と意見交換を行った。次年度の本格始動に向けた第一歩として位置づけられる。

今後の事業計画

    1. 2024年度を試行期間とした上で(0年度)、2025年度~2026年度の2年間を第1期間として設定する。
    2. 2025年度は、概ね1.5ヶ月~2ヶ月に1度程度のペースで会合を開催し、議論の場を始動させる。企画は大学側メンバーの持ち回りを想定し、徐々に行政側からも企画を出してもらう双方向型に移行する。話題提供と意見交換を1セットとして行い、終了後は適宜懇親会を行う。(場所は、UR森之宮ビルの「政策共創オープンラボ」スペースを念頭に置く)
    3. 2025年秋の森之宮キャンパス開設に合わせて、中間報告的なイベントを行うことも検討する。(メディア対応含む)
    4. さしあたりの目標は、中長期の社会経済トレンドを念頭に、いかに5年~10年の行政計画に具体化できるか、その方策を検討し提言することにある。個別の政策内容というよりは、政策プロセスの提案のほうにまずは軸足を置くことにるのではないかと考えている。他のプロジェクトと異なる本プロジェクト(総合性)の意義もさることながら、行政へのインパクト・有用性も高いのではないかとの見込みによる。こうした政策プロセスを実装することにより、限られた政策資源を有効に活用できる道筋を作ることができ、ソーシャルインパクトとしては極めて大きいものになろう。
    5. この取り組みを通じて、近い将来に大阪府市行政を牽引する実務家と、同じく大学・部局を牽引する研究者とが人的ネットワークを構築することで、将来にわたって信頼関係(顔の見える関係)を基礎とする構想力のある研究者・行政職員を育成する好循環を作り上げていく。