採択プロジェクト

2024年10月15日

  • 設立支援

クリーンな空気による感染症に強い都市づくり

プロジェクト名

クリーンな空気による感染症に強い都市づくり

代表者

山﨑 伸二(大阪国際感染症研究センター/獣医学研究科)

共創メンバー

学内

氏名 所属
掛屋 弘 大阪国際感染症研究センター/医学研究科
金子 幸弘 大阪国際感染症研究センター/医学研究科
植松 智 大阪国際感染症研究センター/医学研究科
福島 若葉 大阪国際感染症研究センター/医学研究科
城戸 康年 大阪国際感染症研究センター/医学研究科
堀江 真行 大阪国際感染症研究センター/獣医学研究科
安木 真世 大阪国際感染症研究センター/獣医学研究科
日根野谷 淳 大阪国際感染症研究センター/獣医学研究科
畑中 律敏 大阪国際感染症研究センター/獣医学研究科
アワスティ・シャルダ 大阪国際感染症研究センター/獣医学研究科
綿野 哲 大阪国際感染症研究センター/工学研究科
秋吉 優史 大阪国際感染症研究センター/工学研究科
朝田 良子 大阪国際感染症研究センター/工学研究科

学外

氏名 所属
佐藤 友子 株式会社ローカルパワー
三浦 孝典 大幸薬品株式会社
朝野 和典 独立行政法人大阪健康安全基盤研究所
  • 鉄道事業者

事業内容

    1. 通勤ラッシュ後に車庫に入庫した鉄道車両内の空気を、バイオサンプラーを用いて回収し、空気中の病原体粒子を培養し、そのような細菌が浮遊していたかを調べた。また、本調査の際、プラズマクラスター搭載車両と非搭載車両に分けて調査した。
    2. 空間除菌法確立を目的に空間中に豚コロナウイルスを噴霧し、ミストの次亜塩素酸水を噴霧してウイルスを賦活化できるかを検証した。
    3. 本学事務職員とダイキン工業株式会社を訪問し、換気や空間除菌によってクリーンな空気を提供することで、感染症予防に役立てる共同研究について議論した。
    4. 東京に本社を置くイーソリューションズ株式会社の佐々木社長(公立大学法人大阪OMUシニアアドバイザー)、稲葉副社長を訪問し、本プロジェクトを含む大阪国際感染症研究センターが取り組もうとしているプロジェクトについて説明し、共創の場申請に向けてのアドバイスを依頼した。

事業の概念図

概念図

事業成果

    1. 車庫に入庫した鉄道車両内の空気を(2両3箇所)を、バイオサンプラーを用いて空気1,000Lを寒天平板上に回収後、37℃で培養しコロニーを形成させた。その結果、プラズマクラスター搭載車では5.0±1.7コロニー/1,000Lであるのに対し、プラズマクラスター非搭載車では9.1±2.1コロニー/1,000Lであった。プラズマクラスターによって若干の除菌効果が期待できる可能性を示す結果となった。しかしながら1回だけの結果であり、今後再現性を確認する必要がある。また分離菌の菌種はブドウ球菌属菌など表皮常在菌が含まれていた。一方、本実験で少なくとも車両内の菌数や菌種を同定することが可能となった。
    2. 空間中に噴霧した豚コロナウイルスを1,000ppmの次亜塩素酸水を30秒間噴霧すると豚コロナウイルスを100分の1以下まで減らすことができた。
    3. ダイキン工業株式会社を訪問し、換気や空間除菌など空間中の微生物粒子を制御することにより感染症対策を行う共同研究について申し入れた。現在も引き続き話し合いを続けている。
    4. イーソリューションズ株式会社を訪問しJSTの共創の場に向けての大阪国際感染症研究センターの取り組みについて説明すると同時に、JSTの共創の場の申請に向けた協力を依頼した。

今後の事業計画

クリーンな空気による感染症に強い都市づくりプロジェクトは、①幅広く様々な閉鎖空間あるいは人が密集する空間にどのような病原体が存在するかをモニタリングし、②病院、高齢者施設や保育園、幼稚園、学校など易感染性宿主が集まる空間を感染症に罹患しにくくするための換気法、空間除菌法を構築する。そのためには、(1)数理シミュレーションによる空間中の病原体微粒子の挙動を解析し、(2)高度微生物教育・研究センターを用いた空間除菌の系を確立する。これらの技術・ノウハウを企業と共有し事業化する。これらの目的を達成することができれば、日頃から感染症にとらわれず、人々が自由に行動することが可能となる。また、万が一パンデミックが発生しても、新型コロナ感染症流行時のような、厳しい行動制限がなされることなく、人々が自由な行動を取れるようになり、差別や偏見も防ぐことが期待できる。