採択プロジェクト

2025年3月31日

  • 設立支援

タイ王国の中規模病院の感染対策支援と相互連携による両国の感染対策の質向上に向けた共創事業

プロジェクト名

タイ王国の中規模病院の感染対策支援と相互連携による両国の感染対策の質向上に向けた共創事業

代表者

喜田 雅彦(大阪国際感染症研究センター/看護学研究科)

共創メンバー

学内

氏名 所属
掛屋 弘 大阪国際感染症研究センター/医学研究科
柴多 渉 大阪国際感染症研究センター/医学研究科
金子 勝規 大阪国際感染症研究センター/経済学研究科
佐藤 淑子 大阪国際感染症研究センター/看護学研究科
岡田 恵代 大阪公立大学医学部附属病院感染制御部(感染管理認定看護師)
藤井 明人 大阪公立大学医学部附属病院感染制御部(感染管理認定看護師)

学外

氏名 所属
朝野 和典 地方独立行政法人大阪健康安全基盤研究所
樫内 伸悟 大阪府健康医療部保健医療室感染症対策課

事業内容

1.レムチャバン病院とのオンラインミーティング開催

大阪公立大学医学部附属病院感染対策チームの感染対策活動(手指衛生と針刺し・切創対策に関する取り組みの現状と課題)を共有し、効果的な対策やベストプラクティスを議論することで、タイ王国チョンブリ県にあるレムチャバン病院の感染対策推進の一助とすることを目的に2024年12月18日にオンラインミーティングを開催した。オンラインミーティングを開催するにあたって、タイ語音声によるプレゼンテーション動画を作成した。

オンラインミーティングを通して、手指衛生や針刺し・切創対策に関する議論を行った。

2.医療従事者の手指衛生の意識向上を目指した教育研修会で活用できる教材開発

医療従事者の手指衛生に対する意識を高めるために、手指衛生実施のタイミングや手技について「視覚化」できる教材を作成し、日本で用いられている感染対策教育用ツールを用いた教育研修会を企画した。

複数の患者の診察・薬剤投与・尿の破棄の3場面の動画を撮影し、手指の汚染をCGで可視化した上で、手指衛生が必要な場面を強調・説明する教育用ビデオを作成した。

3.教育研修会の企画・運営

医療従事者の手指衛生に対する意識を高め、現状評価を行うために、2025年3月11日・12日にタイ王国レムチャバン病院のインフェクションコントロールナースと共に教育研修会を開催した。レムチャバン病院の医療従事者137名が参加し、教育用ビデオを視聴し、自分の手指消毒の手技について視覚化された結果を確認した。

事業の概念図

概念図

事業成果

1.オンラインミーティングを通した感染対策上のニーズ抽出について

オンラインミーティングを通じて、レムチャバン病院の感染対策に関する多くの具体的な課題が明らかになった。特に、新規の手指消毒剤の導入や教育講習会開催のための予算措置、安全器材導入の困難さ、針刺し・切創対策としてのリキャップ防止の実効性の検証が必要であることが議論された。今後の取り組みとして、感染対策推進に関する教育講習会の企画・運営や携帯型手指消毒剤の試験導入が提案された。

2.感染対策に関する教育研修会における教材作成について

レムチャバン病院の感染対策上の課題解決に寄与できる教材作成を行うことができた。

3.教育研修会の企画・運営

教育研修会後のアンケートで参加者の9割から高い満足度の評価を得ることができ、医療従事者の手指衛生に対する意識向上に寄与できた。さらに手指衛生を実践するための方略や課題についての個人の考えを収集することができた。参加者の7割が「携帯型手指消毒剤導入の必要性を考えていること」、参加者の4割が「手洗い設備の増加」と「手荒れ対策」について手指衛生を推進するために必要と考えていることが明らかになった。

一連の事業成果については、2025年に開催される第40回日本環境感染学会総会・学術集会の一般演題で発表予定である。

今後の事業計画

1.携帯型手指消毒剤の導入と効果検証

(1)目的

携帯型手指消毒剤の導入による効果の検証

(2)計画

製品選定:効果、安全性、持続時間等の評価基準に基づき、タイ王国で使用可能な携帯型手指消毒剤を選定する。

教育と啓発:使用方法と手指衛生の重要性について、ポスターや動画を用いた教育活動を実施する。

(3)効果検証

携帯型手指消毒剤の導入前後で「Hand We!(モレーン社の手指衛生の定量測定ツール)」を活用して、医療従事者の手指衛生の手技を可視化する。

携帯型手指消毒剤の導入前後の手指衛生順守率・感染症発生率(耐性菌・医療器具関連感染)・血液培養検査数・血液培養コンタミネーション率・在院日数をモニタリングする。

2.ブラパー大学医学部附属病院感染制御チームとの連携

(1)目的

タイ王国の中でも、設備・病床数・予算等が潤沢な医学部附属病院における感染対策に関する教育の課題を検証する。

(2)計画

医療従事者の手指衛生遵守率、耐性菌発生率、血液培養コンタミネーション率等を共有し、感染対策上の課題を検討する。

共有された課題に対する解決策および評価方法を検証する。

3.感染対策におけるコンサルテーション事業

(1)目的

感染症予防、院内感染対策における知識や実践方法を教育・啓発する専門部門を設立し、コンサルテーション事業として、国内外に限らず地域社会全体の感染対策能力の向上

(2)計画

部門構成:大阪国際感染症研究センターの人材育成部門に「Infection Control Education Center」を設置し、人材育成部門の研究員による組織化を行う。

コンサルテーション機能の設置:Webページ上にコンサルテーションフォームを作成し、医療機関や学校から感染対策に係る教育に関する依頼を受けられるシステムを設置する。

教育研修会の企画・運営:コンサルテーションフォームで依頼のあった機関とオンラインミーティングを通して、課題を明確化し、教育研修会の企画・運営を行いながら、感染対策に関する教育事業を展開する。