採択プロジェクト
2025年3月31日
- 設立支援
社会的処方としての音楽の健康増進効果検証事業
プロジェクト名
社会的処方としての音楽の健康増進効果検証事業
代表者
黄瀬 浩一(情報学研究科)
共創メンバー
学内
| 氏名 | 所属 |
|---|---|
| 真嶋 由貴恵 | 情報学研究科 |
| 大畑 建治 | 医学研究科 |
| 関山 泰司 | URAセンター |
学外
| 氏名 | 所属 |
|---|---|
| 澤 和樹 | 国立大学法人東京藝術大学(前学長) |
| Sonu Bhaskar | グローバルヘルス神経学研究所(ディレクター) |
| 一坂 浩史 | 大阪府府民文化部(国際交流監) |
| 松田 陽 | 住友生命いずみホール(副支配人) |
| 本田 篤史 | 日本電気株式会社 |
事業内容
音楽と感情の相関を明らかにするため、以下のようなエビデンスを取得した後、これを基に具体的な事業化を検討することを計画した。
-
- 音楽の種類と心理的効果の分析:特定の音楽ジャンル(クラシック、ジャズ、ポップなど)がストレス、うつ、不安に与える影響を調査。具体的にはAIを使って、聴取後の心理的状態を評価するアンケートデータを解析。
- 生理的効果の測定:音楽を聴くことによる心拍数、血圧、ホルモンレベルの変化を測定。AIを活用して生理的データをリアルタイムで解析し、音楽の影響を可視化。
- 個別化された音楽療法の開発:各個人の健康状態や嗜好に基づいたカスタマイズされた音楽プレイリストを生成するプログラムの開発。患者の症状に最も効果的な音楽を提案するアルゴリズムの研究。
- 長期的な健康状態の追跡:音楽を定期的に聴くことが、慢性疾患(心疾患、うつ病など)に与える影響を長期にわたって追跡調査。ウェアラブルデバイスと連携し、健康データを収集。
当初考えていた事業内容については以下の通りであった。
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- 音楽療法アプリ:AIを用いた音楽療法アプリを開発し、ユーザーが自分の健康状態に合わせて音楽を選択できる機能を提供。ユーザーからのフィードバックを基に、個別化されたプログラムを提供。
- 企業向け健康プログラム:企業向けに、従業員のメンタルヘルスを向上させるための音楽プログラムを提供。音楽を取り入れたストレス管理セミナーやワークショップの開催。
- 研究データの商用化:研究結果を基にした音楽と健康に関するデータベースを構築し、医療機関や研究機関に提供。音楽を使った治療法の有効性を証明するための論文や資料を作成し、販売。
- 音楽と健康に関する教育プログラム:音楽療法や音楽と健康の関連性を学べるオンラインコースを開発。健康専門家や音楽療法士向けのトレーニングプログラムを提供。
事業の概念図




事業成果
我々は「健康と音楽」プロジェクトを進めるため、先ず最小限でのプロダクト即ち、MVP(Minimum Viable Product)をリリースすることによる被験者の反応を調べることを第一義に考えた。具体的には、音楽がメンタルヘルスに効用があるという仮説の下、音楽と感情の相関について明らかにするため、音楽鑑賞時の感情をSOLO感情分析技術で可視化できるかを調査した。
その結果、音楽鑑賞時にSOLO感情分析技術により感情の変化を可視化することができたものの、人の属性、曲、主観コメント等との明確な相関は観測できなかった。また追加で検証したウェアラブルデバイスによる感情分析ではSOLO感情分析技術とは異なる結果を得た。
本結果より、音楽鑑賞時の感情の変化はSOLOの感情分析で可視化できるものの、曲、人の属性、主観コメントとの相関、他手法での結果との差異からSOLO 感情分析技術の正確性には疑問が残った。
我々の生成AI研究チームでは、これらの問題点を解消するため、
1.データの多様性と量の増加
より多様な参加者からのデータを収集することで、性別、年齢、鑑賞習慣などの属性に関する相関を分析する基盤を強化、特に、様々な文化的背景や音楽の好みを持つグループを対象にすることで、感情の変化をより包括的に理解できる可能性を考えた。
2.AIモデルの開発
機械学習や深層学習を活用したAIモデルを開発し、感情変化の予測を可能にする。モデルの訓練には、音楽の特徴(メロディー、リズム、ハーモニーなど)や参加者の生理的データ(心拍数、皮膚電気反応など)を組み合わせることで、音楽と感情の関連を発見できる。
3.リアルタイム感情分析
ウェアラブルデバイスやアプリを通じて、音楽鑑賞中の感情をリアルタイムでモニタリングし、分析を行うシステムを構築。このデータを基に、鑑賞中の曲がどのように感情に影響を与えているかを即座に表示することができる。
4.インタラクティブな体験の提供
インタラクティブなアプリやプラットフォームを開発し、ユーザーが自分の感情を簡単に記録・分析できるようし、ユーザーからのフィードバックを取り入れることで、さらなる改良や精度向上を図ることを試みる。
という4つの観点から、リアルタイムでコンテクストを意識した音楽生成により、オンライン会議を拡張する新しいアプローチに取り組んだ。彼らは生成AI技術を活用することで、会議記録に基づくBGMのパーソナライズ化に成功し、生成された音楽に対してほとんどの参加者に肯定的な効果が見られた。
今後の事業計画
今後については、感情の変化を測るために、主観的な評価だけでなく客観的な生理指標(脈拍、血圧、皮膚反応など)を組み合わせることで、音楽による感情の変化を多角的に捉える手法を検討する。
このため、より多様な参加者からのデータを収集することで、性別、年齢、鑑賞習慣などの属性に関する相関を分析する基盤を強化する目的でDr. Sonu Bhaskarのアンケートを活用した主観との比較、別手法での検証に着手する。これにより様々な文化的背景や音楽の好みを持つグループを対象にすることで、感情の変化をより包括的に理解できる可能性を検討する。
加えて以下のような方法でリアルタイム音楽生成技術の活用を検討する。
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- ストレス管理の支援:リアルタイム音楽生成を利用して、参加者のストレスレベルや気分に応じたリラックス音楽を生成し、メンタルヘルスの向上を図る。特に、忙しい職場や学校環境において、気軽にリラックスできる時間を提供する。
- フィードバックに基づく音楽調整:ユーザーからのフィードバックをもとに、その時々の心情や状況に合わせて音楽を調整することで、よりパーソナライズされた音楽体験を提供する。参加者がどう感じているかをリアルタイムで考慮し、音楽のスタイルやテンポを変化させることが可能。
- オンライン健康セミナーのサポート:健康に関するセミナーやワークショップ中に、参加者の集中力を高めたり、リラックス感を促進するためのBGMを生成する。これにより、参加者が情報を受け入れやすくなる環境を作り出すことが可能となる。
- マインドフルネスや瞑想の指導::瞑想やマインドフルネスのセッションにおいて、その時の環境や参加者の状態に合わせた音楽を生成することで、より没入感のある体験を提供する。
- エクササイズ・プログラムの伴奏:エクササイズやフィットネスのクラスにおいて、リアルタイム生成された音楽を使用することで、運動のペースや参加者のモチベーションを高め、特定のリズムに合わせた音楽を生成することで、エクササイズの効果を向上させることができる。
- ユーザーの好みに基づくカスタマイズ:参加者の音楽の好みや文化的背景を考慮して音楽を生成することで、より魅力的で効果的な体験を提供することができる。ユーザーの年齢や国籍に応じた音楽スタイルの選択という観点からもカスタマイズが可能。
これらの具体的な事業を展開することで、「健康と音楽」を融合させた新しいライフスタイルを提案し、全ての人々に音楽を通じたメンタルヘルスを実現する。