採択プロジェクト
2025年3月31日
- 設立支援
都市大阪の歴史文化と多文化共生に関わる地域歴史遺産・資源の活用ネットワーク拠点構築事業
プロジェクト名
都市大阪の歴史文化と多文化共生に関わる地域歴史遺産・資源の活用ネットワーク拠点構築事業
代表者
佐賀 朝(文学研究科)
共創メンバー
学内
氏名 | 所属 |
---|---|
仁木 宏 | 文学研究科 |
岸本 直文 | 文学研究科 |
磐下 徹 | 文学研究科 |
齊藤 紘子 | 文学研究科 |
伊地 知紀子 | 文学研究科 |
久堀 裕朗 | 文学研究科 |
奥野 久美子 | 文学研究科 |
菅原 真弓 | 文学研究科 |
西田 正宏 | 現代システム科学研究科 |
安竹 貴彦 | 法学研究科 |
崎島 達矢 | 経済学研究科 |
塚田 孝 | URAセンター |
水内 俊雄 | URAセンター |
学外
氏名 | 所属 |
---|---|
大澤 研一 | 大阪歴史博物館 |
三好 英樹 | 大阪府教育庁文化財課 |
朝治 武 | 公益財団法人大阪人権博物館 |
吉村 智博 | 公益財団法人大阪人権博物館 |
事業内容
①大阪の歴史文化研究拠点の構築事業は、都市文化研究センター(UCRC)を拠点として文学研究科の日本史・国文学や文化資源学にわたる研究者が蓄積してきた都市大阪の歴史・文化・社会・芸術などに関わる研究成果をふまえて、本学が所蔵する多くの歴史資料や古典籍だけでなく、大阪府内に所在している多様な歴史遺産や文化資源をネットワーク化し、その一体的な活用を進めようとするものである。すでに大阪府教育庁文化財課や大阪歴史博物館をはじめとして大阪府内自治体の文化財や自治体史の担当者とは協議会の場をつくり、ネットワーク化の課題や手法について検討を進めている。
②大阪の多文化共生に関わる地域資源ネットワーク構築事業は、人権問題研究センターとも連携して活動している「大阪コリアン研究プラットフォーム」を軸に、大阪の在日コリアンに関する多彩な史資料や記録・資源を集積し、デジタル化や利用のネットワークを構築することで、歴史・言語・文化など多方面にわたる在日コリアン研究の発展はもちろんのこと、自治体とも連携して多文化共生の街づくりにも貢献するものである。2023年4月には「大阪コリアタウン歴史資料館」がオープンし、地域の多彩な記録や記憶を展示し、観光客にも地域の生活文化の来歴を示することで多文化共生の街づくりにも貢献しようとしている。
両事業では、歴史的に豊富な文化と経験の蓄積を有する都市大阪の多くの記録資源の所在情報をネットワーク化し、そこに大阪府内の関係機関が蓄積しているアーカイブ情報やデジタルデータをも組み込むことで、体系的な検索や一体的利用を可能にし、その潜在的な利用可能性を飛躍的に高めることを目標として、すでに実践を進めている。
こうした地域歴史遺産・地域資源のネットワーク化とその利用は、過去の歴史遺産の保存・活用を促進し、地域市民の歴史や文化に対する膨大な需要や要請に応えるもので、現代における多文化共生の街づくりに核を与え、観光資源としての活用やダイバーシティ、国際化にも繋がりうる。大阪府市との連携や産官学の連携は、「儲かる」部分だけでなく、こうした地域市民のWell-Beingに深く関わる歴史・文化にまで広げる必要がある。本学が進めるスマートシティ戦略の一環にも、欠かせない取り組みである。また資料情報のネットワーク化は、大学自身が研究・教育の重要な資源としても活用しうるものであり、研究・教育の充実や国際的な利用を通じて大学の知名度向上にも資する。
上記①②の拠点構築事業を前進させるため、下記のような取り組みを進める。
-
- 関係自治体との協議会の開催とネットワーク・連携拠点構築に関する具体策の検討
(大阪府市だけでなく府内の協力してくれる自治体にも参加を要請する) - ネットワーク・連携拠点構築のための調査・準備事業の推進
- ネットワーク化の対象となる地域歴史遺産・地域資源等の所在情報の作成と標準化の推進
- 上記の地域歴史遺産・地域資源等のデジタルデータ作成とネットワーク化の推進
- 関係自治体との協議会の開催とネットワーク・連携拠点構築に関する具体策の検討
事業の概念図
事業成果
申請書では、上記の取り組みを2024年度には、以下の形で推進するとしてあった。
(1)の協議を常設化し、②が関わる区役所等とも連携しつつ恒常的な会議体を立ち上げる。並行して(2)を進め、(3)の地域資源の所在情報をサンプル的に収集し、複数の所蔵主体にまたがる所在情報の標準化のためのパイロット事業を行う。(4)のデジタルデータ作成とネットワーク化についてもデータ作成の部分から着手する。
実際には2024年度後期の短期間であったため、(1)の協議の連絡体制は整ったが、個別自治体との連携協議を除いては、まだ恒常的な会議体の協議は開始できていない。(2)(3)については、戦略的研究・拠点形成型(代表:岸本 直文教授)との連携により順調に進んでおり、(3)と関連する大阪府内の自治体が保有する地域歴史遺産・地域資源の所在情報についての調査を進め、(1)の協議の対象となる資料群の情報を着実に蓄積することができた。(4)については、今後、具体化を図るために、過去のネットワーク型の史資料所在情報共有に関する取り組みにおける標準化の事例などの収集に努めた。
また、個別自治体との連携協議としては、文学研究科日本史学教室が長年の連携実績を持つ和泉市教育委員会文化財活用課(特に市史担当)との共創事業に関する協議が具体化し、まずは、同市が予定している文書館の開館に向けた取り組みを支援すべく、文学研究科「新機軸」特設サイトに和泉市との連携に関するWebページを設置し、支援と普及に努めることで合意した。本共創グループ創成支援事業の予算を投じて、当該Webページが近日中に開設の予定である。
その他、上述の戦略的研究・拠点形成型が主催した市民向け講演会(2025年3月29日開催「大阪の歴史・文化の価値を考える ―大阪公大に歴史文化研究拠点を―」)の内容や会場展示の企画・準備にも協力し、当日は200名近い来客があり、大成功を収めた。戦略的研究・拠点形成型は2025年度も継続するため、引き続き、連携して本共創グループの自治体等との連携事業を促進する形を取りたい。
今後の事業計画
本事業は継続のための加速支援事業の申請を行うため、今後の事業計画については、そちらの申請書に譲りたい。