採択プロジェクト
2025年3月31日
- 設立支援
大阪都心回遊性向上研究プロジェクト ―データを活かしたネットワーク型自治プラットフォームによるまちなか再生―
プロジェクト名
大阪都心回遊性向上研究プロジェクト ―データを活かしたネットワーク型自治プラットフォームによるまちなか再生―
代表者
嘉名 光市(工学研究科)
共創メンバー
学内
氏名 | 所属 |
---|---|
高木 悠里 | 工学研究科 |
阿久井 康平 | 現代システム科学研究科 |
学外
氏名 | 所属 |
---|---|
入谷 琢哉 | 大阪市建設局 |
中上 貴裕 | 大阪市建設局 |
中西 祥人 | 大阪市建設局 |
中塚 一 | 株式会社地域計画建築研究所(アルパック)/一般社団法人ミナミ御堂筋の会 |
絹原 一寛 | 株式会社地域計画建築研究所(アルパック)/一般社団法人ミナミ御堂筋の会 |
山本 英夫 | 戎橋筋商店街振興組合 |
山口 敬太 | 国立大学法人京都大学 大学院工学研究科 |
吉村 有司 | 国立大学法人東京大学 先端科学技術研究センター |
高松 誠治 | スペースシンタックスジャパン株式会社 |
小坂 英智 | 株式会社unerry |
吉岡 秀 | 一般社団法人大阪活性化事業実行委員会/株式会社産業経済新聞社(産経新聞) |
入江 浩介 | 南海電気鉄道株式会社 |
廣田 真由 | 南海電気鉄道株式会社 |
岸本 しおり | 有限会社ハートビートプラン |
土崎 伸 | 株式会社オリエンタルコンサルタンツ |
吉川 令 | 株式会社オリエンタルコンサルタンツ |
事業内容
多様な主体が様々な活動を展開する大阪ミナミエリア(御堂筋を中心とする南海難波駅~道頓堀付近のエリア)において、各主体がデータを共通基盤として、エリア全体の視点で課題をシェアし、連携を深めていく、新たな自発ネットワーク型の自治サイクルを実現することで、ミナミのまちなか再生を目指す。
2024年度
- ミナミエリアにおける各種ステークホルダーの既往の活動、情報・データ等の掘り起こし、把握
例:商店街や行政が取得するAIカメラデータ、商業施設が取得する人流・カメラデータ、イベント集客データ、道路協力団体の活動蓄積データ(ゴミ、維持管理活動…)の収集・共有 -
- 国内外の広域エリアマネジメント等におけるネットワーク化策の情報収集・事例把握
(3月下旬にバルセロナ都市生態庁およびSuperblockプロジェクトの調査を予定)
- 国内外の広域エリアマネジメント等におけるネットワーク化策の情報収集・事例把握
- データ共有の試行、スキームの検討
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- 御堂筋での人流等のデータについて、関係者とデータ・情報を可能な範囲で持ち寄り、効果確認・課題の議論を試行する
- 上記を踏まえ、本エリアに適した、現実的な活動・データの共有のあり方、ユースケースを検討
例:商業施設が取得する来訪者の発地・特性情報を活かした、周辺商店街との連携キャンペーン
- 回遊性創出研究会の実施:大阪公立大学・ミナミ御堂筋の会を中心に中心組織が連携して検討
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- 既往の回遊性創出研究会を4回実施(2024年5月28日、9月2日、12月5日、2025年2月5日)(2回分が当該プロジェクト採択後研究会)
- 上記の情報・データや課題・効果の効果の共有、連携にあり方について情報・意見交換
- スマート御堂筋トライアルの実施(御堂筋をフィールドとして、企業やベンダーのテクノロジーを活用した社会実験を募集・審査し、研究会で共有し、2025年度に実施 2025年3月14日審査会)
- シンポジウムの開催
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- 成果報告と今後の展開および広報を兼ねたシンポジウムを開催(2025年3月25日開催)
- 先進事例調査
屋外空間の歩行者空間化とデータを用いて都心再生・まちなか再生が進められている先進事例として、フランス・パリ市、スペイン・バルセロナ市を対象に海外事例調査を実施した。パリでは、都心部メインストリートであるシャンゼリゼ通りの歩行者空間、セーヌ川河岸道路の公園化プロジェクト、環状道路(Rond-Point)の広場化プロジェクトの視察を行った。バルセロナでは、スーパーブロック(Superilla)/緑の軸(Eixos Verds)のプロジェクトが実施されたDistricte Eixample(サンアントニ地区,ジャーマネッツ地区等)、スーパーブロックのパイロットプロジェクトである旧グラシア地区、ポブレノウ地区等の視察を行った。またこれらのプロジェクトを都市シンクタンク的役割から先導したバルセロナ都市生態学庁の関係者に対し、一連のプロジェクトのプロセスやデータの活用方法等に関してヒアリング調査を実施した。
事業の概念図
事業成果
概ね計画通りの成果を得た。ミナミエリアにおける各種ステークホルダーとの研究会を開催し、収集データの分析を行なった。携帯基地局データやGPSデータではミナミの人の集散状況が確認できた。とりわけ、近年のミナミにおいてインバウンドが急増していることで、局所的な混雑が発生しており、エリアの面的な回遊性の向上を誘発する必要性が改めて確認された。今年度は大阪メトロの協力を得て、駅改札内とミナミ市街地においてビーコンを設置することで、駅利用者とまち来訪者の「ひも付け」を行う実験を実施し、駅とまちとの関係を可視化する成果を得ている。加えて、回遊性向上の有効な取り組みとして、東西道路(通称横道)の通行を活性化させるための取り組みとして、南地中筋と共同で、道路空間利活用社会実験を行い、東西道路への歩行者の誘引をすすめる実験を行い、一定の成果を得た。さらに、2025年度に実施される万博サテライトプランとして、道路空間の次世代の新たなデザインと利活用像を可視化する取り組みについて、大阪市とともに検討を行なった。2025年度にはこうしたサテライトプランの効果検証としてのデータ収集を行う予定である。
また、道路空間のDX化をイノベーションの場として活用するべく、ベンダー等の企業に御堂筋でのフィールド提供を行うスマート御堂筋トライアルを公募し、事業者を選定している。2025年度はこれらの実証実験フィールドとしても活用する予定である。
先進事例調査としてのパリ、バルセロナの調査では、歩行者空間のデザインおよび挿入されている機能、沿道建築物低層部の用途やデザイン等を調査した。これらが来訪者による空間の使い方、交通モードの調整等に寄与していることを確認した。以上より、都心部における屋外空間の歩行者空間化について空間のデザインと機能に関する知見を得た。特にバルセロナのスーパーブロックでは、都市全体の気候変動や大気汚染への対応という都市政策上の大きな目標に対してスーパーブロックを位置づけ、その実践にあたってはパイロットプランの実施と検証から段階的に大型プロジェクトの実施に進めるという一連のプロセス、それぞれの歩行者空間のデザイン手法、プロジェクトの合意形成におけるデータの活用方法、再整備された歩行者空間に挿入された水・エネルギーのインフラを効率的に制御するデータの活用方法等について把握した。以上の調査によって、都心再生・まちなか再生に資する空間デザインとデータの活用方法に関する知見を得た。
今後の事業計画
2019年度から継続している研究会の成果によって、関係者間でのデータプラットホームの必要性については、共有が図られつつある。まち単位での滞留・人流に関するデータプラットホームは、竹芝や大丸有など大規模再開発事業での導入実績はみられるものの、既成市街地の繁華街において大規模な導入事例はなく、事業が実現すれば大きなインパクトがある。また、国土交通省が作成している道路空間利活用に関するガイドラインにおいて、当該研究会活動が掲載されるなど、国内トップレベルの活動成果として注目されており、高く評価されている。
2024年度は大阪市で開催された世界ストリート会議(大阪市、国土交通省、ニューヨーク市、パリ市、シカゴ市、メルボルン市)において、回遊研の取り組みも紹介された。
大阪市長会見においても4回も回遊研に関する活動についても触れていただいた。
2025年は大阪・関西万博が開催され、そのタイミングにあわせ、産官学連携により道路空間での多面的な利活用に取り組む「万博サテライトプラン」の取り組みを実施する予定である。こうした経験を踏まえ、多様な主体が共同して、エリアマネジメントに取り組むための人流や滞留、駐輪、ゴミなど様々なまちに関するデータプラットフォームの自治基盤の確立に向け、データ等も活用した官民連携の自律的なスキーム・体制・事業構築へ、他の部局含めた行政機関、事業者とのアライアンスを構築し、ミナミの回遊戦略を構築するための研究会活動に取り組む。2025年度については、データプラットフォームの運用を試行し、2026年度にはデータプラットフォーム実証実験を行う。2027年度にはプラットフォームを設立し、事業化スキームを確立する。2028年度には自走化を目指す。プラットフォーム設立が見込めない場合は撤退する。
〈以下、市長広報実績〉
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- 2025年年3月26日(予定) みちの未来体験EXPO「Art Walk御堂筋」の実施について
- 2025年1月30日 みちの未来体験EXPOの実施について
- 2024年11月7日 「The World Street Congress OSAKA 2024」を開催します
- 2024年8月30日 2025年大阪・関西万博をターゲットとした「 御堂筋サテライトプレ社会実験 」および9月2日から「 御堂筋チャレンジ2024 」を実施します
〈その他メディア掲載〉
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- 日経コンストラクション(2025年2月20日)2車線閉鎖で幅13.5mの歩道が誕生
- 日経クロステック(2025月2月14日)「人中心」の空間に変貌遂げる大阪・御堂筋、歩道拡張でにぎわい創出目指す ほか多数