採択プロジェクト
2026年3月31日
- 設立支援
産・官・学連携による橋上空間の包括的マネジメント・モデルの構築
プロジェクト名
産・官・学連携による橋上空間の包括的マネジメント・モデルの構築
代表者
高木 悠里(工学研究科)
共創メンバー
【学内】
| 氏名 | 所属 |
|---|---|
| 嘉名 光市 | 工学研究科 |
| 阿久井 康平 | 現代システム科学研究科 |
| 武田 重昭 | 農学研究科 |
【学外】
| 氏名 | 所属 |
|---|---|
| 山口 敬太 | 国立大学法人京都大学 |
| 川口 将武 | 学校法人大阪産業大学 |
| 木村 優介 | 学校法人常翔学園 大阪工業大学 |
| 小松 靖朋 | 大阪市建設局 |
| 近安 規晃 | 大阪市建設局 |
| 石崎 友唯 | 大阪市建設局 |
| 杉山 岳彦 | 京阪ホールディングス株式会社 |
| 田中 恵里 | 京阪ホールディングス株式会社 |
| 湯木 佳代 | 京阪ホールディングス株式会社 |
| 田中 良明 | チームまちプラス/北新地みらい会議事務局 |
活動内容
本共創事業は、橋上の日常管理と利活用、さらには橋梁の持続可能な維持管理と都市魅力の向上を目指して、橋上空間を包括的にマネジメントする方法論の確立のための実践と調査研究を行ったものである。大阪都心部における橋上空間のマネジメントに関する社会実験「水都大阪ブリッジテラス」と連携し、本共創事業を行った。水都大阪ブリッジテラスでは2025年度の春・秋の2回、中之島ガーデンブリッジ、水晶橋、錦橋、本町橋の4橋を対象に社会実験が行われた。本共創事業では、中之島ガーデンブリッジ及び水晶橋を対象に社会実験と連携して、以下の事業を行った。

高木 悠里講師
(1)社会実験の企画・運営への参画
水都大阪ブリッジテラス実行委員会と連携し、以下(2)と(4)を見据えながら、中之島ガーデンブリッジと水晶橋に関する企画・運営に参画した。
(2)社会実験の事後評価(効果検証調査)
中之島ガーデンブリッジと水晶橋の社会実験を対象に、橋上及び周辺の通行や滞留、回遊行動を調査した。実施した調査は以下である。
-
- 通行・滞留調査
橋上空間の通行・滞留行動を調査した(橋上空間の賑わい等)。特に中之島ガーデンブリッジでは広幅員の橋上空間を活かした多面的な活用可能性の検証、水晶橋では橋上に可変ファニチャーを設置した場合の効果検証を行った。 - 回遊行動調査
橋の周辺の回遊行動を調査した(橋上利活用の周辺波及効果)。 - 利用者評価調査
社会実験来訪者へのアンケート調査から、来訪者の意識と評価を調査した。 - 担い手評価調査
マネジメントの担い手(マネージャー/プレイヤー)へヒアリングから、担い手の意識を調査し、今後の参加・継続の可能性や課題を調査した。
- 通行・滞留調査
(3)先進事例調査
国内調査では、金沢市・犀川大橋(道路協力団体制度)、北九州市・勝山公園鷗外橋(公園の付属施設/指定管理)、岡崎市・桜城橋(公園の付属施設/直営管理)、富山市・ブールバール(道路の付属施設)の事例を調査した。海外調査では,橋上空間を魅力的に利活用しているイタリア・フィレンツェのポンテ・ヴェッキオ、ヴェネツィアのリアルト橋の利活用状況と管理制度を調査した。
(4)将来像の検討・提案
上記の調査結果に基づき、橋上の日常管理と利活用の実現に向けて、橋上の空間デザインや地域主体による橋上の利活用・マネジメントのあり方や必要な制度・スキーム等を示した将来構想をとりまとめた(社会実験の実施主体:水都大阪ブリッジテラス実行委員会による策定・公表)。
活動成果
本支援による成果を活動内容の(1)~(4)に分けて整理する。
(1)社会実験の企画・運営への参画
社会実験の企画・運営に参画し、事後評価や将来像の検討提案を見据えた社会実験の実施が可能となった。また社会実験の企画・運営・検証を通じ、共創研究グループの連携体制を構築・強化した。
(2)社会実験の事後評価
①通行・滞留調査
社会実験によって橋上の通行量が増大し、滞留時間も増加することを把握し、橋上空間の利活用が橋及び周辺のまちの魅力向上に資する可能性を示した。また滞留調査では、橋上利活用のレイアウトやプログラム(イベント・店舗等の種類、内容等)によって滞留の位置・規模・時間やアクティビティの種類等に影響を与えることを把握した。今後の利活用における橋上のレイアウト、プログラムの効果的な配置計画、実施計画に関する研究成果を得た。
②回遊行動調査
社会実験来訪者の回遊行動を調査し、回遊範囲・距離・時間等がいずれもポジティブに変化していることを明らかにした。社会実験に伴い周辺回遊が促進され得る可能性を示唆した。社会実験が周辺のまちへの波及効果を有する可能性が明らかとなり、周辺のまちに存在する様々な担い手(マネージャー/プレイヤー)に対し、社会実験のメリットを定量的に示すことができた。
③利用者評価調査
社会実験来訪者へのアンケート調査から、橋上利活用のレイアウトやプログラムに対する満足度を把握した。①とあわせて、今後の利活用における橋上のレイアウト、プログラムの効果的な配置計画、実施計画に関する研究成果を得た。また社会実験により橋上空間及び橋梁そのものへの印象が様々に変化することを解明した。橋上の利活用がシビックプライドの醸成に寄与する可能性を示した。
④担い手評価調査
社会実験での連携、事後評価の検証結果の共有により、担い手の方々からは概ね高評価を得ている。また今後も継続的な参加意向を得ている。また社会実験におけるイベント・店舗出店等の必要経費を賄う程度の収益(来訪者からの収益)は確保されていることを確認している。ただしそこから社会実験への参加料・出店料やコンサルフィーを支払い、事業全体としてマネタイズするまでには至っていない。
(3)先進事例調査
先進事例の調査により、橋上空間の維持管理・利活用に関する方法、課題、空間デザイン上の工夫等を把握した。今後、水都大阪ブリッジテラスの取組に反映予定である。
(4)将来像の検討・提案に分けて整理する
橋上の空間デザインや地域主体による橋上の利活用・マネジメントのあり方や必要な制度・スキーム等を示した将来構想を「水都大阪ブリッジテラス未来デザイン」を作成、公表した。
概念図

今後の活動計画
水都大阪ブリッジテラスの社会実験は2023年から始まった。本共創事業が始まった当初は2025年まで社会実験が予定されていたが、本年度の取組を経て、今後、2026年~2027年の2年間は社会実験を継続することとなった。
また本共創事業の活動内容(4)『将来像の検討・提案』のなかで作成した「水都大阪ブリッジテラス未来デザイン」においては、水都大阪ブリッジテラスのこれまでの取組(2023年~2025年)を第1フェーズ、次の2年間(2026年、2027年)を第2フェーズ、さらにそこから次の2年間(2028年、2029年)を第3フェーズと位置付けたうえで、2030年以降を第4フェーズとして、本格的な橋上マネジメントのスタートを目指している。本共創事業が目指す事業の全体計画もこれと一致するものであり、従って、本共創事業化が達成される目標時期は、2030年である。
今後の予定として、2026年~2027年は社会実験として橋上空間の維持管理と利活用を継続する。この際、これまでの社会実験を踏まえて、産官学連携のもと、民間が主体となった橋上の日常管理・利活用の実装を目指す。そのために、橋上空間のハード整備とソフト対策(担い手の確立、制度化)が必要である。橋上空間のハード整備については、特に水晶橋を対象に、可変ファニチャーの恒常的な設置を検討しており、主に大学・行政の連携のもと実装化を進める。ソフト対策については、引き続き社会実験のなかでマネタイズを含めてその確立を目指す。 事業化が達成された場合のソーシャルインパクトは以下である。
本共創事業における先進事例調査の結果、日常的に橋上空間をマネジメントする事例は極めて少なく、調査した先進事例においては公園内の施設を利用する事例、橋上にベンチ等を設置しイベント時だけ一時利用する事例、古来より橋上に店舗を設置し営業はされているが維持管理は別のスキームで行われている事例などは確認されたが、純粋な橋梁(公物管理としての橋梁)を日常的に管理・利活用をセットでマネジメントする事例はみられないことを把握した。これらの先進事例は様々な面から参考になるが、橋梁の持続可能な維持管理や都心部における良質な公共空間の魅力的に活用といった文脈からは、本共創事業が最も先進的であるといってよい。従って、本事業が達成された場合に社会にもたらす効果は大きい。