採択プロジェクト
2026年3月31日
- 設立支援
「ブルー・オーシャン」大阪湾の実現を目指す産官学民連携の推進
プロジェクト名
「ブルー・オーシャン」大阪湾の実現を目指す産官学民連携の推進
代表者
千葉 知世(現代システム科学研究科)
共創メンバー
【学内】
| 氏名 | 所属 |
|---|---|
| 大塚 耕司 | 現代システム科学研究科 |
| 黒田 桂菜 | 現代システム科学研究科 |
【学外】
| 氏名 | 所属 |
|---|---|
| 宇山 浩 | 国立大学法人大阪大学 |
| 中谷 祐介 | 国立大学法人大阪大学 |
- 大阪府環境農林水産部
- 大阪市環境管理課
- 国連環境計画 国際環境技術センター(UNEP-IETC)
活動内容
申請当初予定していた大きく3つの事業のそれぞれについて活動を行った。
第一に、政策改善に対する貢献として、次のことを行った。
- 大阪海ごみゼロプランの見直しに対する専門的知見の提供
計画期間の中間年にあたる2025年に中間評価と計画の見直しが行われたことから、計画を所管する大阪府環境農林水産部環境保全課と複数回にわたって意見交換を行い、学術的知見を大阪府に提供。〈千葉〉 - 大阪湾流域圏における海洋プラスチック政策に関する共同調査
大阪府環境農林水産部脱炭素・エネルギー政策課と共同で調査を企画・設計し、大阪湾流域圏の市町村に対する質問紙調査を実施。大阪湾の保全に関わる市町村の政策実施状況と課題を網羅的に把握。〈千葉〉 - 大阪府環境審議会 循環型社会推進計画部会委員として新規に就任し、大阪府循環型社会推進計画の改定に際して専門的知見を提供。〈千葉〉
- 大阪府内からのごみ流出量に関する実態把握調査
大阪府内の複数地点に設置された防災用河川カメラの画像に対して、深層学習に基づく物体検出モデルを適用し、河川浮遊ごみの流下個数を計数。また、分布型水文流出モデルをベースに、プラスチックごみの陸域動態モデルを開発。シミュレーション結果より、寄与の大きい河川の特定や清掃活動の効果等を評価。〈大阪大学 中谷〉
第二に、府民・市民の意識醸成に対する貢献として次のことを行った。
- 第45回全国豊かな海づくり大会1年前プレイベントとして2025年10月26日に岸和田市の波切ホールで開催された「第23回魚庭の海づくり大会」に大阪府環境保全課と共同でブース出展。ブースでは、大阪湾の環境に関するポスター展示、大阪府環境保全課が作成した大阪湾の藻場の水中映像を放映。〈大塚〉
- 2026年11月14日、15日に開催される第45回全国豊かな海づくり大会、ならびに1年前プレイベントの実施に携わる事業者の選定(大阪府水産課担当)に際し、審査委員を務めた。〈大塚〉
- 阪南市におけるイベントへの参加。現代システム科学研究科1年次配当科目「地域実践演習」の一環として、阪南市で開催された2回の環境学習イベントに参加。1回目は2025年10月25日に西鳥取漁港内、株式会社漁師鮮度で開催された「食育イベント」(現代システム科学研究科3年次生が企画)。大阪湾の環境問題に関する教育、大阪湾の魚介類の調理と試食など。2回目は2025年12月7日に西鳥取漁港内、株式会社漁師鮮度で開催されたワカメの種付けイベント。学生8名がスタッフとして参加、一般約50名が参加。〈大塚〉
第三に、行動変容スキームの実験として、大阪府環境農林水産部が実施し、一般社団法人加太・友ヶ島環境戦略研究会(KATIES)が受託したクリーンアップ・環境教育イベント(2025年7月5日)に学生が企画したゲーミフィケーションの仕組みを導入。質問紙調査によって効果を測定、大阪府に報告。
千葉 知世准教授
活動成果
三つの柱に沿って活動を展開し、それぞれにおいて具体的な成果を得た。
第一に、政策改善への貢献として、まず大阪府の海洋プラスチック・海ごみ対策に関わる複数の政策プロセスに関与し、学術的知見のインプットを継続的に行った。大阪海ごみゼロプランの中間評価・見直しに際しては、計画の実効性を高めるための科学的根拠に基づいた提言を行った。また、大阪府環境審議会 循環型社会推進計画部会に委員として新たに就任し、審議会では、海洋プラスチック問題を循環型社会の構築という広い文脈に位置づけた議論を促し、陸域・河川・海域を一体的に捉えた政策の方向性について専門的見地から意見を述べた。こうした政策インプットの積み重ねは、計画・施策の科学的根拠を強化するとともに、行政と研究者との継続的な協働関係の構築に寄与した。また、大阪府環境農林水産部脱炭素・エネルギー政策課と連携した質問紙調査については、今後の広域的な政策立案に向けた基礎資料として活用される予定である。 大阪府内からのごみ流出量に関する実態把握調査では、深層学習による河川浮遊ごみの計数と陸域動態モデルを組み合わせた数値シミュレーションの結果、大阪湾へのプラスチックごみ流入量の多い河川等が推定されるとともに、清掃活動等の効果が評価され、今後の政策立案に対して重要な示唆を与えた。これらの知見は大阪府に対して報告・共有されており、政策の科学的根拠の強化に貢献した。
府民・市民の意識醸成においては、漁港での体験型イベントや大規模な海づくり大会へのブース出展など、性格の異なる複数の場において、学生・教員が一体となって啓発活動を展開した。体験・参加型の場では、大阪湾の環境問題に関する知識の提供にとどまらず、食や自然体験を通じた感情的・身体的な関与を促すことで、参加者が海洋環境保全を自分ごととして捉えるきっかけを提供した。また、より広い一般市民が集まるイベントでのブース出展では、視覚的な展示と映像を活用することで、大阪湾の現状について関心層のすそ野を広げることに貢献した。異なる手法・対象・規模の活動を組み合わせることで、特定の層に偏らない多面的な意識醸成が実現したといえる。
行動変容スキームの実験では、クリーンアップ・環境教育イベントにゲーミフィケーションの仕組みを導入し、その効果を質問紙によって評価した上で大阪府に報告した。参加者の行動変容を促す仕組みとして一定の有効性が確認され、今後の普及啓発施策への応用が期待される。
概念図

今後の活動計画
引き続き大阪湾の海洋プラスチック問題に貢献していくため、漁業者・自治体・事業者・NPO等の多様な主体が協働して海洋プラスチックの排出抑制・回収・分別・資源化に取り組む仕組みを設計・構築することに貢献していきたい。行政の政策実施コストを抑えながら民間主体による対策を拡充できる方策を検討し、海洋プラスチック問題の改善に向けた地域実装モデルの確立を大阪で試みて参りたい。